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兎にも角にも

kanseisha-weblog

最先端の原初住居

2012-03-06 19:11:49 | Weblog
最近読んだ本(というか写真集)から。
世界中の家について紹介された本(※)で、10年以上前の発行だが今見ても非常に興味深い。
発展途上国の家も多数あり、極めてプリミティブではあるが、各地の気候風土や慣習が色濃く反映されており、実に理に適った住まいとなっているように思う。
様々な視点からの論評があると思うが、大別すると「巣」と「洞窟」に分けることができる。
砂漠には洞窟のような住居が多く、多湿地帯では巣のような形式が多い傾向にある。(当然と言えば当然だが)
巣にしろ洞窟にしろ、そこには内部と外部を分けるという意識が働いているわけで、その仕切りがどのように構成されるかで、出来上がる住まいの性質が決まってくる。
ただし、どの家も無理やり仕切っているという印象はない。
外の状況に対して程よく適当な仕切りがつくられている。
そこに調和を感じ取ることができ、その調和は実に説得力がある。

最近の建築プロジェクトの中にも、巣や洞窟を連想するものは多々ある。
コンピューターによって複雑な構造解析が可能になっていることもあり、不定形なチューブ状の空間や細い部材で編みこんだような空間をつくることも可能な時代である。
この技術の進歩は素直に素晴らしいと思うのだが、少し不思議な感覚も覚えてしまう。
最先端の技術を駆使しながら極めて原初的な形式の空間を創造する。
これがどういうことなのか?
本能的な欲求によるものか、時代の流行りなのか、もっと別の理由によるものか。
(何となく一周したという感じもするが・・・)

現在の建物の在り方、住まい方について考えさせられる一冊である。


※出典:「地球生活記―世界ぐるりと家めぐり」(小松義夫)

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