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『屍鬼を読んでます。』

2006-04-24 | スケジュール
タイトルからして縁起の悪そ~うな名前ですが、今、屍鬼というタイトルの本を読んでいます。作者は小野不由美。十二国記と呼ばれるシリーズものが有名です。・・・と、前回のあさのあつこにしても有名有名と言ってるけど、あくまで私の周りでの話かもしれないですね。まぁ、屍鬼は新潮文庫なんで意外と読んでいる人も多いのでは??と期待しているんですけど。

この屍鬼なんですけど、何せ長い。本当に長い。全部で文庫本5冊あります。ハードカバーの時には上下巻だったのだけど、持っているだけで筋トレ気分になるくらいに重かった。分厚い本で言えば、京極夏彦とかが有名どころなんですけど、あれはまだノベルス版なんでサイズが小さくていいですよ。ただ、製版業界の限界に挑戦しているなぁとは思うけどね。講談社文庫で1000ページ越えが見れるとは思わなかったし。
まぁ、そんな長い本なんですけど何か好きで今までで5回くらいは読み返している気がします。そんなに読んでいるのに、覚えていないエピソードとか、人物がいて、何度読んでも得する感じ。長い分、人物も数え切れないくらいに出てくるので、色んな人に感情移入できるのもお得な感じかもしれません。うちの兄貴も屍鬼を読んだのだけど(というか、兄貴が買ってきたはず)、「こんだけ多かったら誰か一人には感情移入できるし、当たり外れがない分、この本はズルイ。面白いけど」と言っていましたね。

卒塔婆とか棺とかを作ることを生業にして成り立っている小さな小さな村が舞台。村社会の色んなしきたりとか、人間関係とか人物描写とかがかなり細かくて、作者気合入れて書いたなぁ~と思います。他者を受け入れない小さな村で次々と村民が病に倒れ亡くなっていく、その裏にはある少女の影があって・・・というようなホラーというかミステリーというか。自分の属している集団に相容れない集団が存在した時、その相容れない集団のせいで自分たちの生存が脅かされてしまう時、どんなことをしでかすかわからない怖さが自分たちにはあるなぁなんて思いつつ読んでいます。
もっと登場人物を絞って、描写を削ったら、もう少し短い話にまとまるんだと思う。それでも作者が何でこんなに一人ひとりを書こうとしたのかなぁと考えています。村人全員書くつもりか?というくらいに、一人ひとりを書いてんですよね。以前十二国記のある話のあとがきで、「戦いのシーンでは書ききれなかったけれど、たくさんの人が亡くなっている。文章にならずに行間で亡くなった人もいる。その人たちの人生も書いてみたかったけど、それをするとほんの幅よりも分厚い本になってしまうので・・・」ってなことを書いてたなぁと。10人死んだ、という言葉で締め括らないで10人がどんな風に生きてどんな風に亡くなっていったのか、それを一人ひとり書くことを今回は大事にしてんのかな。

全5冊のまだ2冊目の頭です。後3冊と3/4冊を楽しみながら読むことにします。