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漫画世代

2006-03-19 | 真実の世界
 青年会のホームページを活性化させるためにブログの頻繁な更新を!と前回の役員会で決意しあいました。こまめに更新する秘訣は何か?やはり自分の得意分野について熱く語ることでしょう。というわけで、漫画の話。
 何を隠そう、漫画世代です。なるべく早弁をして、昼休みはお互いに貸し借りしあった漫画を熱心に読みました。そんなふうに自分の世界に入ってしまったら、友人同士のコミュニケーションは、いつ図るのかと尋ねられたことがありますが、卒業して五年たってもシーズンごとに同窓会するくらいの仲良しっぷりなので、きちんとこころはつながれていたのでしょう。普段はなかなか話しかけられないようなクラスメイトにも、「漫画貸して」だけはきちんと言えました。ロッカーの中には貸した後返却されて、もって帰るのが面倒な漫画がぎっしり並べられ、漫画図書館ができていました。
 若かりし頃に読んで、今も大好きな作品があります。遠藤淑子の「マダムとミスター」白泉社。古本屋で再会して思わず購入。ジャンルとしてはラブコメディーとも言えるかもしれないけれど、ラブの要素は限りなく薄いです。だからこそ想像力(妄想?)をかきたてるのかもしれませんが。でも多分この漫画家さんは家族の間に存在するあたたかくて穏やかな力について描きたいのだとわたしは思っています。この漫画のメインキャラたちは血のつながりはありませんがお互いを必要としあって、生活を共にしています。ポジションとしてはマダム(未亡人。21歳)と執事(亡くなった雇い主と養子縁組していたのでマダムとは親子関係。きっと20代)。この二人は天涯孤独で、それぞれのルートをたどってお屋敷に暮らすようになります。出会った二人のまわりではいつもなんだか笑える事件が頻発して、それを共有するたびに絆が深まっていくというか、それを確認しあうというか。もともとは赤の他人だったのに、日常を分かち合いながら居心地のよい空間がこのお屋敷に広がっていく快感にひきつけられます。二人の間にあるのは熱情でも激情でもなく、あえていうなら家族愛とでももうしましょうか。とても穏やかで、安定した信頼の情なのです。
 実際の家族はなかなかこうはいかなくて、家族愛っていう言葉が押し付けや暴力にまで感じられるようなときもあると思うのです。家族のなかで必ずしも無償の愛のルールが働いているかというと、もう胸が騒ぎます。でもだからこそ、無償に愛したり愛されたりすることを描きたい、表現したいと思う人がいて、それを読みたい、信じたいと思うわたしがいるのかな。
 無償で人を愛することが稀有なのはもちろんだけれど、無償で愛されることを受け入れるのも至難の技だと思うことがたびたびあります。やはり、放蕩息子の兄のように、これだけ父に仕えたんだから一番に愛されるべきだとか、ファリサイ派と徴税人のたとえのように、律法を守って祝福にあずかれることを感謝しますと言ってしまいたい衝動は強いなと。愛は奪うものって誰のセリフだったかな?
 無条件に愛されてしまうことを受け入れる、砕かれた心を自分のうちにたずねながら眠ります。
                                   真実