己亥(キガイ・つちのとい)2019年 - 「猪」とは「ぶた」のこと
【己】コ(呉音)/キ(漢音)
・おのれ, つちのと
・曲がりつつ起き立つさまを示し、後世の起の原字。
・植物の若芽がむっくと起き立つ時期。
・字形は、古代の土器のもようの一部で、屈曲して目だつ目じるしの形を描いたもの。
はっと注意をよびおこす意を含む。
人から呼ばれてはっと起立する者の意から、おのれを意味することになった。
※戊・戌・戍/巳・已・己 おぼえ方(漢字家族)
https://blog.goo.ne.jp/kanjikazoku/e/011ddf90f542319dfac8d11ff5aa1fa5
【亥】ガイ(呉音)/カイ(漢音)
・ブタの全身に行き渡った骨組みを表す象形文字。
・亥は核(カク) ─ 骸(ガイ・骨組み)の原字で、亟(キョク・全身に行き渡る) ─ 極(上から下まで張った大黒柱) ─ 革(カク・全身を拡げ伸ばしてかわかした皮革)などと同系で、全部に行き渡る意を含む。
・豕(シ)=(豚)の字と似ているが、亥は豚そのものではなく、豚の骨組みを示す。
・い(ゐ)。十二支の第十二番。
※十二進法の体系(骨組み)が全部張りわたった所に位置する数だから、十二番めを亥(ガイ)という。
※時刻では午後十時およびその前後二時間、方角では北北西、動物ではいのししに当てる。
【猪】【豬】(呉音・漢音)
・い(ゐ)。いのしし(ゐのしし)。いのこ(ゐのこ)。
・ぶた。
※本家の中国では、「猪」といえば「ブタ」のこと。
だから西遊記に登場する「猪八戒」(チョハッカイ)とは「ブタの八戒(ハッカイ)」という意味。
日本語の「いのしし」をあえて中国語で言い表すとすれば「野猪」。つまり「野生のブタ」
※『十二支考-猪に関する民俗と伝説』(南方熊楠)によれば・・・
---今村鞆君の『朝鮮風俗集』二〇八頁に「亥は日本ではイノシシであるが、支那でも朝鮮でも猪の字は豕の事で、イノシシは山猪と書かねば通用しない。すなわち朝鮮では今年はブタの年である。ブタの年などというと余りありがたくないが、朝鮮ではブタには日本人よりよほど敬意を表して居る・・・----
・「猪」の字は、古くは「豬」(豕+者)と書いた。
・「者」というのは、「煮」(火力を集中する)のもとになる字で、コンロの上で柴を燃やして、火熱を放散させないようにしているさまを描いている。それは「集中していっぱいにつめる」という意味を含んでいる(藤堂明保・漢字の話Ⅰ)
▼者の家族 ・・・ 集中する
[都](ト・人間が集中して、いっぱいにつまった所-みやこ)
[堵](ト・土をいっぱいつめる)
[暑](ショ・日の熱が集中する-あつい)
※「豬」(チョ)とは、「充実して肉がいっぱい詰まったけもの」という意味。
※のち、へんを「犬へん(けものへん)」にかえて「猪」と書くようになった。
※「猪」(チョ)と最も近いのは、貯蓄の「貯」(チョ・いっぱい詰め込んである)ということば。
【豚】トン(漢音)/ドン(呉音)
・ぶた
・古代では「いのしし・ぶた」の仲間を「豕」(シ)といった。
・豕(シ)の野生のものを「猪」(チョ)といい、肉づきよく飼いならしたのを「豚」(トン)というようになったとされる。
・現在の北京語では「猪」(チョ)といえば「ぶた」のこと。中国では「ぶた」と「いのしし」の区別はないので、あえて「いのしし」を表現しようとしたら「野猪」(ye3zhu1)というしかない。
・字形は、「肉+豕」で、食肉用に飼い慣らした「豕」。
・「トン」と呼ぶのは、鈍重の「鈍」(ドン・ずっしりと重い)や、「敦」(トン・ずっしりとつまった)などと同型のことばだから。
・「豚」(トン)とは、ぶたのずんぐり太った、鈍重な姿に着目した名称と考えられる。
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