春分の日が過ぎた、ある夕の出来事。
「ピンポーン!」今の時間の来客は宅配便かな?
玄関には大きな鞄を抱えた青年、「うん! あれ!・・・〇〇君?、何で!」
この春、社会人一年生になる名古屋近郊に住む孫が、ニコニコしながら立っている。
「よく来た、よく来た」突然の来訪に意味不明のまま家にあがる。
聞けば、事の次第を知らないのは、じいさん、ばあさんと小4生の孫の三人だけで、家族がみんなで仕組んだ、明日のばあちゃんの誕生日のお祝いセレモニーとのこと。
最初の孫だから、随分と可愛がった。
小学一年まで過ごした熊本では、祖父母参観があると聞いて、おみやげをいっぱい持って、新幹線を乗り継いで、熊本の小学校まで駆けつけたこともある。
名古屋近郊に転勤になってからも、ばあちゃんと何度か訪ねたが、少しおとなしすぎることを心配していたが、今では、すっかり新社会人入りの心構えが感じられた。
彼岸過ぎの咲いた花に雪は珍しい事ではない。
桜が咲き始めた、暖かな名古屋から来た孫は、一面の銀世界をスマホで撮りまくっていた。
僅かの滞在、どこか行きたいところは?
やっぱり、花巻の「マルカン」へ行きたいと言う。
小っちゃい頃から、花巻に来るたびに立寄った「マルカン」の大きなソフトクリームが懐かしいらしい。
「マルカン」で腹いっぱい食べて、春の突風のように2泊だけで帰った。
花巻空港を離陸して2時間45分、
「いま、家に着いたよ、どうもありがとう」
嬉しい、嬉しい、春のサプライズでした。
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