岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

『草競馬』

2006-03-10 19:09:57 | 田舎暮らし

Cimg0850  北上川は大河である。母の実家のある対岸には渡し舟で渡った。船頭さんは対岸の番小屋にいる。「ホーッ」とか「オーイ」と大きな声で何度か呼びかけると、ようやく聞きつけた「善作じいさん」が動き出すのが見える。やがて川に渡したワイヤーにつないだ船で向う岸に渡る。子供が5円か10円ぐらい 母の実家でもらうお小遣いは船賃といって貰った。

 船場(ふなば)と言われたこの付近を発着点として早春、旧暦のお雛様かお彼岸の中日に広大な河川敷を利用して文字通りの草競馬が行われた。農耕馬や馬車引きと言われた運送用の大きな馬に乗っての競争はダイナミックそのものの競馬である。

 以前には「けいが」(どの字を宛てるのか不明)レースもやったと聞いた。往年のバートランカスターの「ベン・ハー」を思い出して欲しい、あれの田舎版である。木製の一輪車を馬に引かせて競争する、かなり危険だったらしい。幼い頃、土蔵に立てかけられている「けいが」の記憶がある。

 子供心に楽しかったのは馬ならぬ牛に乗っての競争、牛に乗る騎手(?)は牛の体型上尻に近いほう(尻尾)に乗る。牛の歩みが騎手にもろに振動になって伝わるのでたまったものではない。牛歩とは言うが走ればそれなりに早い。騎手は振り落とされたりしがみついたり、果ては牛に逃げられたり。桑の木の中を走り、麦畑を通って直線に入る頃、ムチが入る。砂煙をあげて巨体の馬たちがゴールする。

賭けをしていたとも思えないし馬の運動会だったんだろうと思う。大人はその後、どぶろくを楽しんだことだろう。雲雀鳴く、のどかな春の思い出である。

 今、船着場の少し下流には花巻大橋が架かり更には高速道路まで川をまたいでいる。

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