岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

胡四王の強力 ②

2021-01-26 11:37:29 | いなか暮し

 胡四王の強力 ②  「花巻の伝説」  昭和58年発行  及川 淳 著から 

 たとえば、矢沢に嫁に行ったその息女は、夫が妾を寵愛するのに嫉妬して、夫を口説いた。
 夫がそれをしかりつけると、やにわに夫をこわきにかい込んで、家の柱を礎石から一尺余りも上に持ち上げて、夫の頭をその間に挟もうとした。
 夫は平あやまりにあやまって、やっと許されることができた。その妾が即座に離縁されたのはいうまでもない。
 またあるとき、夫の乗馬二匹が、放れ駒となってそのあたりをはね回り、中間どもが取り押さえかねて騒いでいると、つかつかとその場に進んだ彼女は、二匹の首を両脇に抱え込むようにして取りしずめたなど、数々の強力伝を残している。

  胡四王神社の険しい参道の途中に、二つの大きな石が並んで立っており、両石といっている。
 佐兵衛主従が、力比べをしたと言われている石である。
 ウソをついたものがこの石の間を通ろうとすると、二つの石がその間をせばめてしまうので、どうしても通り抜けることができないと言い伝えられている。

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胡四王の強力

2021-01-26 10:39:02 | いなか暮し

 晴れた日には胡四王山から岩手山、早池峰山、姫神山までも望める。
 延暦の昔、坂上田村麻呂が持仏の薬師如来を祀ったのが始まりとされる胡四王山(神社)は稗貫氏の時代にひじょうに栄え、南部領となっても代々の藩主の崇敬を受け、社領も寄進された格式の高い神社である。

 周辺に伝わる伝説も多い。

 胡四王の強力  「花巻の伝説」 及川 淳 著 昭和58年発行 から
    
 慶長の頃、新堀(花巻市新堀)の城主、新堀佐兵衛というものが、この胡四王山に百日の間こもって、大力を授かることを祈願した。
 このとき、佐兵衛は家来を一人供に連れてこもったが、この者は、自分には主人の倍の力を得させたまえとて、佐兵衛が一度祈るときは二度、二度水垢離をとれば四度というふうに、何でも倍々とつとめた。
 満願の日の夜の事である。佐兵衛は夢の中で「これを食せば、なんじがが願いかなうべし」という神の声を聞き、神前の大きな桃を一つ食べた・・と思うところで目が覚めた。家来もその時、同じ夢を見ていたが、神から与えられた桃は二つであった。
 家来が目を覚ましたとき、佐兵衛は、すでに立願成就の御礼参りということで、水垢離をとり、神前に拝礼していた。
 家来もまた、佐兵衛の後につづいて参拝を済ませた。
 坂を下って帰る途中、佐兵衛が力のほどを試してみようとして、傍らの立木に挑んでみると、それをやすやすとねじり倒すことができた。
 佐兵衛にうながされて、家来の者が試みたところ、それよりも大きな木を、造作もなく倒し転がした。
 主従は、それから何度も力わざを比べてみたが、いつも家来のほうが上であった。
 佐兵衛は、それを見て、内心はなはだおもしろくなく、事にかこつけて、その家来を殺してしまった。
 その所業のゆえか、新堀の家では、その剛力は、男子に伝わらず女子に伝えられた。
 
  

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