県指定の無形文化財、胡四王神楽の権現さま(獅子頭)の衣装を新調したいと庭元からお話があった。
我が家の先祖が明治38年、実に112年も前に獅子頭を彫刻、奉納し、後、代々衣装をお召替え奉納し、直近では56年前、昭和38年に庭元と合同で奉納したものだ。
奉納した先祖は万延元年の生まれ、明治38年に45才で彫刻し獅子頭を奉納したと言うことになる。
80才の高齢で没した、その先祖は彫刻をよくこなし、多くの獅子頭や、細やかな彫刻を施した仏壇を作り、お椀やお膳などの什器もいっぱい作った。
お椀の細かな絵柄模様や漆は、埃を嫌うからと、土蔵にこもって塗ったと言われている。
山頂の胡四王神社社殿は、慶応3年の竣工と言われ、名工二代目勘次郎が拝殿の向拝柱や脇障子に見事な龍の彫刻を施した頃、先祖も時々訪れては名工の技に刺激を受けていたに違いない。
庭元の提案を了承し、春のお祭りには新調された、ご衣裳で先祖の奉納した権現様が舞われる。
腕も良いが酒も好きだったと伝わる。
子孫は酒好きだけが遺伝し、先祖がせっかく建てた土蔵を解体し、
樹齢90年程のヒバの大木は切り口が径60㎝余、9mの大木、
代々植林した屋敷林を、風で散乱する葉を嫌い、見事に伸びた杉やヒバの大木を、伐採し燃やしてしまう。
おまけに土蔵にあった多量の漆塗りの什器も邪魔者扱いしている。
積善の余慶を図った先祖は呆れかえり、嘆いているに違いない。