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東京発世界行

written by Ken
 



ジョー・パス同様、一つの時代を築いたジャズ・ギタリストに、ジム・ホール(1930-)がいる。

本作、"Concierto" (邦題 『アランフェス協奏曲』) は、1975年に録音・発表されたジム・ホールの大傑作である。
まずは参加ミュージシャンを見てみよう。

 Jim Hall (g)
 Chet Baker (tp)
 Paul Desmond (as)
 Roland Hanna (p)
 Ron Carter (b)
 Steve Gadd (ds)

当時はまだ無名に近いスタジオ・ミュージシャンだったスティーヴ・ガッドを除く全員が、モダン・ジャズの歴史に足跡を遺した名プレイヤーである。
特に、トランペットのチェット・ベイカー (1929-1988)、アルト・サックスのポール・デスモンド (1924-1977) は、すでに絶頂期を過ぎた時期の演奏だが、実にリラックスした音を出し、ギターと複雑に絡み合っている。

オリジナル LP に収録されていたのは4曲。
A 面に3曲と、B 面一杯に収録された表題曲である。
アルバム・タイトルにもなっている 「アランフェス協奏曲」 は、スペインの作曲家、ロドリーゴによるクラシックのギター協奏曲をジャズにアレンジしたもの。個人的にクラシック音楽をジャズ風にアレンジした音楽には良いものがほとんどないと思うのだが、この演奏ばかりは例外といってよいほど素晴らしい。
テンポ・ルバートで始まるテーマ部分に続いて、繰り広げられるソロ・パートはしっとりと落ち着いたスロー・ボサノヴァなのだ。19分を超える大作だが、一気に聴かせる名演奏である。ドン・セベスキーのアレンジも上品だ。

このアルバムが発表された1970年代半ばという時代は、クロスオーヴァー~フュージョンが大流行した時期である。
本作のように古典的なウェストコースト・ジャズ特有の落ち着いた雰囲気の音楽は、本国アメリカではほとんど顧みられなくなり、多くのベテラン・ミュージシャンはヨーロッパや日本に活動の拠点を移して行った。
そんなことを考えながら、「アランフェス協奏曲」の物悲しいテーマを聴くとき、これは滅び行くウェストコースト・ジャズへのレクイエムなのではないかと思うのである。


Concierto
Jim Hall
SONY


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アマゾンのカタログに載っている国内盤は4曲のみですが、米国盤には未収録曲、別テイクなど合わせて5曲が追加収録されています。
どの曲も良いので、米国盤をおすすめします。

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