昭和の時代

アナログの時代がなつかしい

大奥、城明け渡し(BS放送)

2018-01-02 10:02:50 | 日記
 天璋院は城に入る薩州に幕府の威光を見せつける為に絢爛たる調度品を残した。
 で放送は終わっているが、本には以下の様に書かれている。

 4月8日、大総督より11日迄に(3日後)江戸城明け渡しの儀御沙汰あり。閣老、参政等が天璋院を
説得するも頑として受け付けぬ。
 ”将軍家には当今御謹慎中にて未だ何分の御沙汰も無く。。。。。その先途をも見届け奉らず早や空城を
明け渡す所存なるにや、。。。。。吾身不肖ながら此に在る上はいつかな明け渡し申すまじ。。。。”

 困り果てた閣老達ちは、3日迄の立ち退きを、3日間の立ち退きと騙し承諾させた。
”初め閣老等は総督宮に向ふ3日を期して立退くことを約し奉りしが院に説くに及びて3日迄にというべきを
3日間なりと騙し拵たるなりけり、いかに時にとりての方便とはいへ君を欺き奉るの他に方便無かりしにや ”

”斯くて天璋院殿は唯だ3日が間の立ち退きなれば手回りの器具のみで事足れり、不自由は3日の間なりと仰
せられて御頓着なき様なるに、御附のものも着換の衣類、化粧道具等を用意し一橋邸へ移られた。
静寛院様も流石名残を惜み給いて天璋院殿よりは遥かに遅れて11日の午時頃田安邸へ御立退きあらせられけり。”

”諸院御立退きありし後は御用人指揮して火の元に注意し、扨て御休息、御座の間、御化粧の間、御対面所等へは
壁に雪舟探幽の筆三幅対の軸を懸け、床に金銀製の鶴亀、或いは金銀製の万年青へ珊瑚八分玉の実十三個を結ばせ
たる、或いは七賢人を彫刻して金の象眼打ちたる銀瓶へ金赤銅の葉、珊瑚の実を結べし南天を挿みたるを置き、
違棚へは梨子地の硯箱、香道具一式、古今千載集その外蒔絵の碁盤等を据え装飾に美麗を尽くした。”
 
天璋院の意思と言うより、天璋院を騙した閣老たちのせめての償いにと飾り尽くしたものと見える。