ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝聞くは一時の恥…〟ですよ!

2020年10月16日 | 俳句

 昨日はとても良いお天気でしたが、朝夕はちょっと冷えて、最低気温は14度だったと。今日も…と思ったのですが、天気予報をみると、1日中曇りで最高気温も22度なんですって。この調子ならあっと言う間に炬燵が欲しくなりそう…今年は冬が早いのかも知れませんね。

 前回、〝思い込み〟はコワイ!ということを書きましたが、似たような言葉で〝思い違い〟というのもありますよね。思い込んだり思い違いをしたまま年を取ってしまって、今にして知ることもよくあります。

 そういえば私には忘れられないことがあるんです。長年国語教師を勤めてきたという自負は一応持っていましたが、俳句に関しては全くの素人。〝国語の先生なら俳句もおてのものでしょう。いいですね~〟なんて、よく言われましたが、俳句はそんな生易しいものではありませんでした。

 馬酔木に入門して1年足らずの頃、若手勉強会へ参加したときのことが、今でも私は忘れられません。だってあのときの〝恥〟が今の私を作ったといってもいい過ぎではないんですから。

 それまでは本格的な句会らしいものに出たことがなく、吟行も初めてという…、なのにそんな勇気がどこにあったのかと今でも思います。そんな自分が全国から集まってきた人たちに混じって、なんとか無事に終わろうとした矢先の最後の句会でした。今までは発言を求められたことが一度もなかったのに、この時は突然〝あなたはこの句をどうして採らなかったのですか?〟と聞かれたんです。もうビックリ!

 採った句については内容が分かった上で採っていますから、答えようもあります。この時参加した若手は30人以上はいたでしょうか。そうすれば投句3句でも100句にはなるでしょうし、それが句稿というものではなくて、見たこともない清規用紙というものが次々と廻ってくるのですから…。

 地域の句会では、既にプリントした句稿を見て選句していましたので、このような句稿のない句会はしたことがなかったんです。ついていくのがやっと。それで解らない句は飛ばして解る句だけを選句していましたから、そりゃあもう慌てましたよ。そして、口走った言葉が…

 〝今日は天気がよくて、雨は降りませんでしたので採りませんでした〟と。みんなが唖然と…したかどうかは覚えていませんが、直ぐにある方から〝木の実時雨というのは、雨ではなくて木の実が時雨のように落ちてくることなのよ〟と。聞いた瞬間顔から火が出るようでした。

 そうなんです。〝木の実〟も〝時雨〟も知っていましたが、それが一つになった〝木の実時雨〟という季語を知らなかったんです。今なら笑い話でしょうが、それぐらい何も知らずに参加したんですよ。〝初心者大歓迎〟の言葉につられて…。とんでもないことで、若いといってもみなそうそうたるベテランばかりだったんです。

 まだ初心者なんだから…など慰めにもなりませんでした。まるでカルチャーショックです!ここは私のような者が踏み込む世界ではないんだと、その時は本気で思い、もう俳句はきっぱりと辞めようと心に誓って帰りました。ちょっと大げさですか?でも、私もまだ若かったんですからね。それが、今こうしてどっぷりと俳句に浸かって、朝から晩まで俳句三昧ですもの。実は今日も俳句教室で、明日は午前中がきらら教室、午後からは馬酔木句会なんですよ。先のことなんか分からないもんでしょ!アハハ…

 今NHKの朝ドラ「エール」の放送で、〝若鷲の歌〟というのがあったでしょう。それを聞いていてフッと想い出したことがありました。

 随分前ですが、広島の江田島の見学に行き、そこで句会をしたときのことです。投句の中にその〝若鷲の歌〟を詠んだ句が出ていました。結構点が入っていたような…。それで先生が、採らなかったYさんにどうしてかと聞かれたんです。その答えが、〝若い鷲なんてどこにもいなかったし、見たこともないから採りませんでした〟と。すぐに大笑いになったんですが、当の本人はきょとんとして、なぜ???と。

 当時の先輩方は、この歌を唄ったりして、あこがれたんだとか。でも、若い人なら知らないのが当然でしょ。ちなみに今の俳句界では50代でも若いといわれます。当時は40歳までが若手でしたが、今では若い人がいなくなって、私が若手といわれる人たちの選をしている「あしかび抄」は、50歳までなんですよ。最近はそれも1年1年少なくなっていって…これからどうなることやら。頭のいたいことですが…

 このように知らないということで、恥をかくことって多々あるでしょう。その時の彼女も、私と同じように笑われた分だけきっと心に深く残り、それからの精進の糧となったに違いありません。だから、今はもう立派な馬酔木同人になっていますものね。

 〝聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥〟とよくいいますから、どうせ恥をかくなら早い方がいいですよ。若いときなら尚更…。そういう恥をかいたり失敗を繰り返して、人は成長していくものではないでしょうか。

 俳句は、ある程度の年齢になってから始めますので、その〝恥をかく〟ことがイヤ、興味があるけどと…尻込みされる方が多いようです。最初から何でも知っていれば、それはもう初心者じゃないでしょう。何も知らないから初心者…なら恥をかくのも当り前!年齢だけでみるから恥ずかしいのであって、俳句年齢でみれば〝あなたはまだ小学生にもなっていないのよ〟と、私は教えます。だから、小学生が手習いをするように俳句のことは何でも聞いて早く上達して下さいと。

 そういう話をして、みなさん納得されると見違えるように上手くなっていきます。ある意味〝学ぶ〟ということは〝恥をかきに来る〟と思ったらいいのかも。

 私も未だに恥をかいています。さあ、みなさんも一緒にもっともっと恥をかきましょう。そう考えると、俳句に限らずなんにもコワイものはありませんからね。じゃあ、ガンバリマっしょ!

 写真は、夕方の〝酔芙蓉〟。初秋の季語なんですが、まだこんなに咲いています。まるで先日の台風で目が覚めて若返ったように次々と…。


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9 コメント

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いつまでも恥を (fukurou)
2020-10-17 09:12:35
ちわき様
おはようございます。
私はいつまでも恥をかいています。
相当の年齢になっていますのに、知らないことばかりで困ります。
私も一応教師の端くれでしたので、特に自然科学のことは広く浅く知っているつもりでしたが、不勉強がたたって、最近は新しいことばかりで、ついていけません。(笑)
知らないこと分からないことはすぐにお尋ねすることにしています。
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こんばんは (ミルク)
2020-10-17 18:00:33
年ばかり増えても知らないことばかりというか、
知らないことの方が多いです(^-^;
ちわきさんにも、そのような時があったんですね。
私は、年をとって、何か始めてもなかなか覚えにくいです。
恥はいっぱいありますよ~でも、もう忘れちゃった(笑)
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Unknown (ちわき)
2020-10-17 19:13:37
fukurouさん、こんばんは!
同類の方がいてよかった…
今更ながら思い知らされることって、次から次に出てきますよね。今まで私は一体生徒に何を教えてきたのかと…。こちらがもっともっと学ばねばいけなかったのにとも思いました。
俳句を始めてからは、自分ながらよく学んでいます。こんなことならもっと早くに始めていたらもっとマシになっていたのではと思うことしきりですが…。
でも、死ぬまで学ぶことが出来るとしたら、それはとても幸せなことですよね。
一緒に恥をかきながら頑張りましょう。
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Unknown (ちわき)
2020-10-17 19:23:20
ミルクさん、急に寒くなりましたね。
そちらはいかがですか?
この調子なら今年は雪が多いかも…
〝旅の恥はかき捨て〟というでしょう。芭蕉も言ったように人生も一種の旅…この世という仮の宿に泊っているとすれば、一生恥をかいては捨てて、…それを忘れていくからいいのでしょう。
ミルクさんは、そうやっていろいろなものにチャレンジしてきたから〝若い〟のですよ。
みんなからそう言われませんか?
私も恥をかきながら頑張ってるので、〝若いですね~〟と言われますよ。アハハ…
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ほぼ毎日… (すず)
2020-10-18 10:28:09
記事を更新するたびに恥をかいています。
何年もたって読み返し、気付くことも💦

絵手紙教室で「むなかたしこう」について先生が話されていたのですが、最初は宗像市かと思い、でも、文脈から違うな~と。
「むなかた むなかた」と繰り返す先生に、話の途中で申し訳なかったのですが、質問しました。
「むなかたって何ですか?」
回答は、
「ネットでぐぐって下さい」でした。
棟方志功
その後、何度も模写し、美術館で2度も鑑賞し、お蔭様で長いお付き合いとなりました。
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Unknown (ちわき)
2020-10-18 11:42:32
すずさん、こんにちは!
アハハ…よくありますよね、こんなこと。
人は自分に一番近いところで反応します。だからすずさんが〝ムナカタ〟といえば地名が直ぐに浮かぶんですよね。東北や関東の人などは宗像市を知りませんからね。
私は横文字に弱い!高校時代から…中学の英語はまあなんとかついていって苦手科目ではなかったのに…
今はそれで困っています。横文字文化が今年のコロナでは一層加速したような…
今朝も主人に〝レジスト〟って何?すずさんのブログによく出てくるので…何となく自己流アレンジのことかなと思っていましたが、〝市販のレジスト?〟ヘエッ?読んでいくともっと分からない言葉ばかり…
音楽も、ましてや演奏なども縁の無い私には…音符より難しい!
知らないということはそんなもの。
猫でも自分の食べたものしか見向きもしません…これ、美味しい刺身なのに~と。
恥をかくほど賢くなる…これからもそんな人生、楽しいですよね!
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ちわきさん、ありがとうございます! (すず)
2020-10-18 12:51:34
日常的に使用している自分にとっては、説明すべき単語だということにすら、気付かずにいました!
こちらにコメントさせて頂いて良かったです!

…という訳でして。以下の文を記事に追加させて頂いた次第です。

「ちなみに、レジストとはレジストレーション(registration)の略で、エレクトーンの場合は、音の選択だと思って頂けたらOKです。」

これで大丈夫でしょうか~。
人生、知らない事だらけだからこそ、面白いですよね。
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コメント (風の盆)
2020-10-18 19:47:53
気になったんだな

>”聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥〟
良く聞くことはあるな

恥か
羞恥心という感情は誰にでもある
恥ずかしいこととは、どうなんだろうか

木の実時雨
乙な言葉だな、粋な言葉だな
普通の社会では使用しないな
俳句特有ではないかな

時雨という気候用語は一般的に使う
木の実時雨とはどうかな
俳句と言う社会、内々の言葉のような気がする
木の実時雨とは俳句の社会、季語、俳句だけの社会で通用する言葉のような気がするな

言わば隠語と言うようなものだな
その木の実時雨が一般の社会でも使うようになれば、造語した者はありがたいだろうな

かぐや姫が「なごり雪」を作った
当時は名残の雪だったと、なごり雪と言う普通名詞は造語は無かったな

聞くは一時の恥か
ただ知らなかっただけだな
それを知らない、無知を恥と感じるのは道徳の要素もあるかな
その社会のことを知らなければ聞けば良いんだな
考え方が様々、色々あるな

昔の百姓とか職人には学問はいらないと
その通りなんだな
学問とか知識は物の役に立たず、かえって弊害もあるんだな

しかし、学問が役に立つことが分かってしまったな
権力者にとって、あるいは上に立つ者には学問は銭になるし、使いようによっては役に立つ

カーナビゲーションとは便利なものだ
天文学とか数学は答えは一つと
真実は一つなんだと
だからGPSによって位置情報が分かってしまう
引力も分かったし、数学で大抵のことも分かると

答えが一つとは驚異だな
人文科学などは答えは、考え方は様々であるが、理系では1+1=2なんだな

権力者や支配者が学問とは役に立つ、銭もうけもできる、軍備に利用できることが分かってしまった
そうすると、自分の配下に置きたがる
権力者は財政と軍備を握っている
逆らうと死に至ることもあり得る

芙蓉は大柄で大輪で派手だな
芙蓉の雪の精を取りか
富士は初冠雪したと

酔芙蓉なら余計に良いな

>若い鷲なんてどこにもいなかったし、見たこともないから採りませんでした〟と。すぐに大笑いになったんですが
江田島なんだな
大笑いか
小生にとっては、何とも言えないな

以前に句会で自分の句を採用した者がいたとか
その者はその後どうなったかな
聞くは一時の恥か
小生にはその者がどうなったか気になるな


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Unknown (ちわき)
2020-10-18 22:41:19
風の盆さん、こんばんは!
コメント有難うございます。
〝木の実時雨〟…俳句界の隠語ですか…確かに、俳句でしか通用しない言い方やことばが結構あって、初心の頃は四苦八苦していました。辞書にない言葉ですものね~。
でも、「蟬時雨」や「虫時雨」は辞書にも載っていますよ。「木の葉時雨」というのが、続古今和歌集にあったようですので、そこから派生して出来たのか、または誰かが作ったのかも知れません。
俳人は字数が少ない分短くても意味の通じる言葉を開発したがると言った方がいいでしょうか。
「鳶の笛」というのは、ちょっと忘れましたが、ある有名な俳人が使うようになってからあっと言う間に広がった言葉です。旨く鳶の鳴き声を言い表していますから、みんな納得したんですね。これは人工的に鳶の声に似せて作った笛ではなく、鳶の声そのもののことを言います。〝鳩笛〟とかは作ったものですが、これは秋の季語…。〝鳶の笛〟は季語ではないんです。オモシロいでしょう。
理系は1+1=2…文系は2でも3でも…あるときは5でも10でもいいんですよね。
〝事実は小説よりも奇なり〟ですもの。アッ、関係なかったかしら…
富士はもう随分前に初冠雪したような気がしますが…1昨日は立山と白山が初冠雪と報道してましたよ。
大笑いは…嘲笑とかではなく、この歌を知らないなんて、わあ若いわね~という、朗笑とでもいうのかしら…そんな好意的な笑いで、固かった句会が和やかになったんです。
どうも私の表現がマズかったかしら…
ところで、風の盆さんが一番気になったこと…
〈以前に句会で自分の句を採用した者がいたとか… その者はその後どうなったかな〉の話。
実は、先週の金曜日にその教室があったので行ってみると、その人が来ていませんでした。幹事さんが連絡したら〝足が痛いから辞めさせて貰う〟ですって。〝この前元気だったけど、事故か何かで怪我でもしたのかしら?〟…みんな不思議がっていました。
もしかして私がブログに書いたから?そんなことはないわよね。だって知らないはずですから…???
この方はこの教室が開講したときも申し込んで1回だけ来られて、辞められましたので、よく覚えていたのですが…
どうなんでしょう?風の盆さんだったらどう受け取りますか。教えてくださいませ。
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