ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

今日は〝立冬〟…でも吟行のつづきなんで~す!

2021年11月07日 | 俳句

 今日の何と気持ちのいい天気でしょう。雲ひとつない青空は久し振り!さしづめ今日は「立冬」なんですから、もう〝小春日和〟と言っていいかも。

 「立冬」は、二十四節季の一つ、陰暦10月の節ですが、陽暦では今日。「小春」も陰暦10月の異称で、立冬過ぎの穏やかな日和の続く頃を〝小春日〟とか〝小春日和〟というんですよ。

 風ひびき立冬の不二痩(や)せて立つ  水原秋櫻子

 この句には「十国峠」の前書きがあります。〈風ひびき〉と〈不二痩せて立つ〉がこれからの冬へ向う厳しさを予感させるような立冬の句ですね。この日は、天気もよく空も澄んで、真向かいに不二がはっきり見えたんですって。それで却って不二の山肌が痩せて見えたのでしょう。

 ゆけむりの風と遊べる小春かな    倉田紘文

 この句はまさに今日のような日和でしょうか。上掲句と同じく風があるのですが、その風と〈遊べる〉という把握が優しさと温かさを感じさせ、太陽が惜しみなく降り注いでいる景が見えてきます。また〈ゆけむり〉とありますから、きっと故郷の別府温泉郷を見て詠まれたのだと…季語の「小春」がとっても似合ってますよね。

 さて、今日は佐々並への吟行会最終です。「夏木原」から車で20分も掛からない、最終目的地の「佐々並市重要伝統的建造物群保存地区」(重伝建地区)へ。

 ここには何度も来ていますからおおよそのことは分りますが、何だか来る度に廃れていて…空き家が多くなっているような気がします。カナシイ!

 こういう歴史的に意味のあるところでも、何も発展性がないので、生活の糧が得られず人は増えませんものね。伝統というものは一旦失ってしまうと、二度と手に入らないものだから、これを保存するということはとても大事なことでしょう。ですが、現実の問題としては非常に難しいものがありますね。

 佐々並市(いち)は、萩市の南部を占める旧旭村の南縁に位置する農村集落で、かつての萩城下町と三田尻(防府市)を結ぶ萩往還の中間点に位置することから、江戸初期に農業を基盤としつつ、萩往還の整備に伴って参勤交替の際などに藩主が休息する御茶屋を中心とした、宿駅機能を有する集落として栄えたところです。近年に至るまで町並みの地割に大きな変化はなく、かつこの町並みの特徴を示す建築物や工作物、環境物件が現在まで数多く残っているのです。それで、平成23年に国選定重要伝統的建造物群保存地区に選定され、堀内地区・平安古地区(昭和51年選定)、浜崎(平成13年選定)と合わせて、萩市の重伝建地区数が4地区となり、ひとつの市町村に所在する数としては京都市とともに全国最多になっているんですよ。

 また、ここの名物「佐々並豆腐」は、昔ながらの手作りの味で、県内外に広く知られています。今はその豆腐は、土山隆幸さん(7代目)方で作られていて、創業は1800年頃とか。一時途絶えかかったらしいのですが、現在は7代目が跡を継がれて、旅館とお食事処「はやし屋」を開業されています。

 もちろん私たちの昼食もそこの豆腐料理を頂き、その後も場所をお借りして、句会を4時30分まで行いました。ちょっと固めの佐々並豆腐…、先祖代々受け継がれた伝統の味について7代目の土山隆幸さんは「豆腐作りは、一夜水につけた大豆をすりつぶして豆乳を絞り出して、釜で4、50分につめる。このあと、水とにがりを加えてタンパク質をかためる”よせ”(塩析(えんせき))という工程に入るが、にがりの量、温度加減で全く味がかわるほどで、ここに佐々並豆腐の極意がある。」といわれていました。

 写真は、佐々並の街並を抜けると佐々並川があり、その橋のたもとが昔は高札場跡で、今はこの看板が立っていました。更に行くと西岸寺。ここまで来ると先ほどから降り始めていた時雨がどんどんヒドくなって、傘を持ってきていませんでしたので山門で雨宿りです。この山門から見た紅葉と銀杏の木。山門は1850年頃建てられたものとか。ここのイロハカエデが樹高20mの古木で、とても綺麗に紅葉していました。ところが、ナンと銀杏は全く青々として…どうなってるの?ですよ。ここでも異常気象のせいかと、感が狂ってしまいました。

 おまけは、萩往還の〝市頭(いちがしら)一里塚〟と〝貴布禰(きふね)神社〟の写真です。

 最後に、佐々並のマンホールの蓋も往還道の石畳が描かれていました…ほら、時雨に濡れているでしょう。最初に書いた久保田万太郎の〈一トしぐれありし文化の日なりけり〉の句のように、私たちは歴史の里に来て〝ひとしぐれ〟に逢うという吟行でした。それもまたよしです。風情があって…やっぱり、俳句はいいもんですね!オシマイ!



コメント (2)
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