老麗・美しく老いる

「美しく老いる」を余生の目標として、そのあり方を探る。

一茶の「やせ蛙」

2008-11-10 00:12:07 | Weblog
私性の強い文学作品の鑑賞は
「作者の属性を熟知した上で観賞する方が、
作品をより一層深く味わうことが出来る」
とする考え方と、
「属性を捨てて作品のみで鑑賞すべきだ」
という考え方とがある。

10月31日に長野県の小布施にある「岩松院」へ行ってきた。

本堂の天井に葛飾北斎の晩年の作品
「八方睨み鳳凰図」があるので有名な寺だが、
小林一茶の「蛙合戦の池」でも有名だ。
その小さな池の畔に

 やせ蛙まけるな一茶これにあり

と刻んだ小さな句碑がある。

一茶は、52歳の時、匊(28歳)を嫁に迎えた。
菊は、一茶が54歳の4月14日に初児・千太郎を産む。

この句は、
その直後の4月20日に当地を訪れて詠んだ句だが、
作句の背景には病弱な千太郎がいた。

しかしながら、
こうした一茶の声援、祈りや願いも空しく、
生後わずか28日で他界してしまった。