老麗・美しく老いる

「美しく老いる」を余生の目標として、そのあり方を探る。

レンジの神様

2009-05-24 07:06:18 | Weblog
わが家の台所には、
四ヶ所同時に煮炊きが出来る竈があった。

竈の薪(たきぎ)は、
煮炊きする物によっても異なるが、
基本的には、薪(まき)、麦わらや豆木、胡麻木、
桑枝(くわで)、もみ殻、枯れ枝、落ち葉等、
燃える物は手当たり次第に何でも燃やした。
 
しかし、
いずれも直ぐに燃え尽きてしまう物ばかりだから、
必ず火の番人がいて、
適宜、焼(く)べる必要があった。
そのために、背後には燃やす材料が
いつも堆(うずたか)く積まれてあった。
 
火の番は、竈火災の番人でもあり、
退屈な仕事だが、大事な役でもあった。
しかし、作業は簡単だったので、
子供の頃からやらされた。
嫌で仕方がなかった。
竈で燃える明かりで宿題をし、本も読んだ。
 
竈には、荒神様が祀られていたが、
家の建て替えと共に竈は無くなってしまった。

今では、正月や節の祝いに、
ガスレンジの傍に幣束やお供えをしているが、
神様もガスレンジには宿りづらいだろう。