KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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あなたもマラソン・ランナーになれる・・・わけではないvol.1~ランニングのデメリット

2008年11月08日 | あなたもマラソンランナーになれる
先月、佐々木功氏の「ゆっくり走れば速くなる」をこの欄で紹介した際、最後に予告したように、これからランニングを始めて、マラソンの完走を目指したいという方々に向けての、ささやかなアドバイスになりそうな事を書いていくシリーズを立ち上げてみた。タイトルを読んで、
「なめとんか?」
と思った方もいるかもしれないが、この元ネタをばらすと、作家の豊田有恒氏の自伝的エッセイ「あなたもSF作家になれるわけではない」を拝借した。

人生の3分の1を楽しんできたマラソンについて、振り返ってみようと思ったのだが、自らの原点を振り返ることで、ランナーとして再出発できるか、あるいは、これを機に、ランニングから遠ざかってしまうか、今の時点ではまだ、決めてはいない。

まず、第一回は、走り始めようかと思っている人のために、あえて、「ランニングの効用」ではなく、「問題点」から書こうと思う。こんな事、「ラ○ナーズ」や「ク○ール」では特集しないからね。


僕が走り始めて間もない頃、「スポーツは身体に悪い」という本が刊行され、話題になった。
「マラソンをやっている。」
というと、
「まあ、随分健康的な趣味をお持ちで。」
と言われたこともあるのだが、正確に計算したことはないが、走り始めてからの16年に消費した医療費は、それ以前の16年間と比較してかなり増えているはずである。はっきり言ってランニングは「身体に悪い」
これは事実である。

曲りなりにも、ある時期、僕はフルマラソンで3時間を切ることを人生の大きな目標としていた。それが実現したところで、何ら金銭的な報酬を得る可能性は皆無であることを分かっていながら、その目標に向けて、自分自身に少なからぬ額の投資を行っていた。いや、見返りを期待しない投資などありえない。ただの散財だ。佐々木功氏も書いていたように、マラソンで3時間を切ろうとするレベルというのは「健康のために走る」というレベルではない。

トップランナーがレース出場を断念する原因となるような故障を僕も次々と経験してきた。シンスプリント、ハムストリングスの肉離れ、足底筋膜炎、ガングリオン、剥離骨折・・・。さすがに疲労骨折だけは経験していないが、ランニングを始めていなければ、自分の足に鍼を打つことなど経験していなかっただろう。健康保険が使える治療院をランニングクラブの先輩から紹介されていなかったら、とっくに止めていただろうなと思う。

いきなり、こんな話をして、これからランナーになろうかという人たちのやる気を削ぐわけではない。そんな痛い思いをしてもなぜ、僕が走るのを止めなかったか、たぶん、それがこれから話し始めようとする話のメインテーマだと思う。

医療費が増えたのは怪我のせいだけではない。それまで僕は風邪をひいても病院に行かなかった。置き薬を飲んで早く寝るだけだった。一日でも早く治したいという気持ちが強まり、病院に通うようになった。健康診断の結果が芳しくなければ、精密検査にも足を運んだ。自分の身体についての注意力というか関心度が高くなったのだ。

健康というのは、あくまでも結果であって、目的ではない。というと、暴論みたいだが、河川敷のグランドで野球やサッカーに興じる中年男性たちは、「健康のため」だけにそれらのスポーツを行っているわけではないはずである。

ランニングというと、健康のためとか、あるいは「罰」のために行うというイメージの人が少なくないと思う。しかし、長い距離を自分の身体が欲するペースで走ることは、本当に「楽しい」ことなのだ。ミュンヘン五輪のマラソン金メダリスト、フランク・ショーターもかつて語っていた。

「僕は“あのスピード”で自分の身体が動く時のフィーリングが好きなんだ。」

かつての勤務先にて、職場の上司から言われたことがある。

「(僕の本名)さん、あんたももう年なんやけん、マラソンなんかお止めや。身体に悪いやろ。」

禁煙の職場でも平気でくわえ煙草で作業をして、僕が何度注意をしても灰皿に煙草を置きっ放しにするような男に、健康のことをどうこう言われたくないものだと思って相手にしなかった。

しかしながら、ランニングはある面健康に悪い、と言うよりも、きちんとやらないと、故障(怪我)とは紙一重の「危険」な行為である、ということはこれから走り始めたいと思う皆さんには自覚してもらいたいと思う。長く続けたいと思うのであれば、危険を回避するための智恵と知識を得る努力は怠らなくなるからだ。


今後、随時、シリーズとして、続けていきたいと思っている。正直言って、スポーツライター気取りで、日本マラソン界の将来を憂い、陸連の悪口書いたり、駅伝有害論を説いたりするよりも、キーをたたく指の動きが進むし、何よりも楽しい。次回以降をお楽しみに。最低、週一回の更新を目標にします。



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