シリア問題 米ロ合意に安倍外交が一役 〈本音のコラム〉佐藤優 

2013-09-20 | 国際

米ロ合意 安倍外交が一役 〈本音のコラム〉佐藤優
 2013/9/20 Fri. 中日新聞
 スイスのジュネーブで14日、米国とロシアがシリアの化学兵器を国際管理下に置く枠組みについて合意した。これで米国によるシリアに対する一方的攻撃は当面回避される。
 本件は、東西冷戦終結後の米国によるレッドライン外交の終焉を示すものだ。レッドラインとは、「この線を越えたら容赦しない」と米国が一方的に設定するルールのことだ。過去、米国がレッドラインを越えたと判断したイラク、アフガニスタンなどは武力による制裁を受けた。
 今回、米国はシリアに対して化学兵器の使用がレッドラインであると警告した。8月21日、シリアの首都ダマスカス近郊で化学兵器(報道によればサリン)が使用され、多数の死傷者が発生した。米国はシリア政府軍が化学兵器を使用したと断定し、空爆を行なおうとしたが、国際的反発を懸念して妥協した。
 外交的には、ロシアの対米包囲網づくりが成功した。この過程で当事者がどこまで意識しているかわからないが、日本が少なからぬ役割を果たした。安倍晋三首相は、オバマ大統領から米国のシリア攻撃を支持するように要請されたが、言質を与えなかった。また、10日午後のプーチン大統領との電話会談で、安倍首相はシリアの化学兵器を国際管理下に置くロシアの提案を支持した。安倍首相の平和外交がジュネーブの合意を後押しした。
 (作家・元外務省主任分析官)
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【シリア情勢】安倍首相、ロシア提案を支持 日露首脳が電話協議
 産経新聞2013.9.10 19:37
 安倍晋三首相は10日夜、ロシアのプーチン大統領とシリア情勢をめぐり電話で協議した。首相は、シリアの化学兵器を国際的管理下に置くというロシアの提案について「前向きなものと評価し、支持する。アサド政権の真摯な対応の有無などを注視する」と語った。
 首相は「シリア情勢の正常化に向け、積極的に貢献していく」とも述べた。プーチン氏は「現在シリア側に働きかけている。作業は難しいが、一定の進捗(しんちょく)がある」と応じたが、具体的な中身には触れなかった。
 両首脳とも日露平和条約締結交渉に触れなかった。
 電話協議は、2020年夏季五輪の東京開催が決まったことに祝意を伝えるためロシア側から申し入れがあり、約15分間行われた。プーチン氏は「安倍首相への国際社会の信頼の印だ」と称賛。首相は「(ロシアで行われる)ソチ五輪の成功を心から祈念する」と応じた。
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米ロの板挟みに悩む安倍首相―G20ではシリア問題の対応に苦慮
 WSJ Japan Real Time 2013/09/05 5:20 pm .
 安倍晋三首相は昨年政権についた後、オバマ米大統領やプーチン・ロシア大統領と個人的な関係を構築するため、並々ならぬ努力を続けてきた。安倍首相は米国との同盟関係強化を最優先の政策課題に掲げるとともに、北方領土問題を巡るロシアとの紛争解決を目指している。
 だが、米ロ関係が冷却化するなか、安倍首相は難しい立場に追い込まれている。
 5-6日にロシアのサンクトペテルブルクで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する安倍首相にとって、シリア問題が焦点の1つとなる今回のG20は特に対応が難しい。
 オバマ大統領はシリアのアサド政権が化学兵器を用いたと主張し、シリアへの軍事攻撃を目指しており、日本政府は米国の最も親密な同盟国としてオバマ大統領を支持する必要性を感じている。だが、それは日本とロシアの関係に複雑な問題を投げかける。ロシアはアサド政権を支援しており、米国と対立しているからだ。
 今のところ、日ロ関係はうまくいっているようだ。プーチン大統領は安倍首相との会談にかねてから積極的な姿勢を見せている。今回、サンクトペテルブルグでの安倍首相とプーチン大統領の会談は安倍政権誕生後3度目で、日本側には北方領土問題の解決につながるのではないかとの期待感が高まっている。
 日本政府はプーチン氏との2者会談について、シリア問題から距離を置き、日ロ問題に焦点を当てたい考えだ。ある日本政府高官は匿名を条件に、「シリア問題は会談の議題にはならない」と述べた。
 一方、オバマ大統領は安倍首相に対して一定の距離をおいており、中国の習近平国家主席には多くの時間を割いているのとは対照的だ。一方、中国側も安倍首相と習近平国家主席との初の2者会談を求める日本政府の要請を拒否している。
 今回のG20では、オバマ大統領は習近平国家主席と2者会談、及びシリア攻撃を支持しているフランスのオランド大統領との会談は早々に決めていたが、安倍首相と会談は、前日の夜、ギリギリのタイミングでやっと設定した。
 これまで安倍首相がオバマ大統領と公式会談したのは就任後1度だけで、それも米政府が安倍首相の訪米を1カ月先延ばしするよう要請した後だ。それとは対照的に、オバマ大統領はその後、習近平国家主席をカリフォルニア州のリゾートに招き、2日間にわたって緊密な会談を行っている。
 オバマ政権と安倍政権の間には、わずかではあるが緊張関係が広がっているようだ。一部の米政府高官によると、米政府は、安倍首相の中国や韓国に対するタカ派的な姿勢が東アジアの緊張を高めかねず、米国が望まざる紛争に巻き込まれる恐れがあると懸念している。
 一方、日本側でも、中国や北朝鮮との紛争が起きた場合、米国が本気で日本を守ってくれるか懐疑的な見方が生まれ始めている。
 安倍首相は2日、G20の場で2者会談ができないということを前提に、オバマ大統領と30分にわたり電話で会談をおこなった。日本政府当局者によると、オバマ大統領はその中で、日本を含む主要国がシリア問題で密接に協調行動をとることの重要性を強調した。
 しかし、安倍首相は米国に対する支持表明を避け、米議会の審議を見守っていくとの考えを示した。
 日本は憲法の規定により、国連の承認なしに行われる外国の軍事行動を支持するには高いハードルがあり、まして軍事行動に参加することは難しい。だが、外交専門家は、オバマ大統領が実際に武力行使に踏み切った場合、日本はいずれ強力に支持する姿勢を表明せざるを得なくなるとみている。欧米が1998年に国連の承認なしにコソボに軍事介入した際、日本は米国の立場を「理解する」と表明しただけだった。
 青山学院大学国際政治経済学部の中山俊宏教授は日本は今回は「理解する」というより、もう一歩踏み込んだ対応になるだろうと話している。これは今回のシリアの件は大量破壊兵器や核不拡散の問題で、北朝鮮やイランにメッセージを送る意味合いもあるからだと話している。 記者:Yuka Hayashi
 *上記事の著作権は[WSJ Japan Real Time]に帰属します
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