国策捜査はあったのか/疑念は小沢一郎・民主党元幹事長に関する一連の事件を覆う

2010-09-29 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

国策捜査はあったのか 特捜へ膨らむ疑念 大阪地検 証拠改ざん
 大阪地検特捜部の押収資料改竄事件。事件はここ数年、話題とされる「国策捜査」への疑念を膨らませた。現在、その疑念は小沢一郎・民主党元幹事長に関する一連の事件を覆う。改竄事件は本人についての検察審査会の2回目の議決、資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件の公判に影響しかねない。さらに来月1日召集の臨時国会でも、与野党の論戦に微妙な影を落としそうだ。【中日新聞・特報 2010/9/29Wed. 加藤裕治、篠ケ瀬祐司】

 「彼が作った調書は、すぐ見つかった。万年筆が多い中、筆書きの太い字でサインしてあった」。福島県の発注工事をめぐる汚職事件で、収賄罪に問われた前知事の佐藤栄佐久被告は、そう語る。彼とは厚生労働省が舞台の文書偽造事件で、フロッピーディスク(FD)を改ざんした疑い(証拠隠滅容疑)で逮捕された大阪地検特捜部検事の前田恒彦容疑者のこと。福島県の事件では贈賄側の水谷建設の元経営トップをはじめ、数人を調べた。
●民主議員標的に
 前田容疑者は大阪に限らず、数々の特捜事件に携わっている。東京地検特捜部が捜査した福島県知事汚職事件のほか、小沢氏の資金管理団体「陸山会」などについての政治資金規正法違反事件でも重要な役割を担った。
 「陸山会」事件では西松建設などからの献金を政治資金収支報告書に正しく記載しなかったと、小沢氏の元秘書で衆院議員の石川知裕被告と公設秘書だった大久保隆規被告ら計3人が逮捕、起訴された。前田容疑者は、大久保被告の取り調べを担当している。
 この事件では、かつてない「国策捜査」批判がわき上がった。「総選挙が取りざたされている時期に異例の捜査。不公正な国家権力の行使だ」。昨年3月、当時、党代表だった小沢氏は、こう訴えた。国民の中にも「民主党と自民党で検察の対応に差があるのでは」といぶかる声が上がった。
 というのも、自民党の二階俊博議員側も当時「政治とカネ」の問題を抱えていた。だが、小沢氏側の逮捕者が3人だったにもかかわらず、二階氏側はゼロ。略式起訴された会計責任者が罰金刑となっただけだった。
 この政権交代直前、東京から大阪地検特捜部に戻った前田容疑者が主任検事として捜査を進めたのが、厚労省の文書偽造事件。大阪特捜の標的と目されたのは当時、民主党衆院議員だった石井一参院議員。民主党の重鎮の一人とされてきた。
 検察は当初、石井氏が実体のない障害者団体から厚労省幹部に口利きしたという構図を描いていたが、「口利きしたとされる日、石井氏はゴルフに出かけ、アリバイがあった。石井氏を聴取したのも前田容疑者だった。しかし、検察は、その後も村木厚子厚労省局長(現・内閣政府政策統括官)の逮捕、起訴へと突き進んだ。
 その結果、村木氏は無罪。福島県の事件では佐藤被告は1審、2審有罪で、上告中。とはいえ、2審は“賄賂額ゼロ”という異例の認定で「実質無罪」との指摘もあった。
●「調べ強引」の声
 陸山会の3被告は公判で自白調書について争い、無罪を主張するとみられる。改ざん事件は小沢氏についての検察審査会の判断、陸山会事件や、そのほかに事件にどう影響するのだろうか。
 「被告人質問の中で、改ざん事件を取り上げるつもりだ」というのは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)をめぐる詐欺事件で弁護人を務める落合洋司弁護士。1審で執行猶予判決を受け、控訴審で争っている被告は前田容疑者の調べで自白調書を取られていた。
 元検事でもある落合氏は「怒鳴りつけるなど、ひどい調べをする検事と思った。調書を信用した審判決を変えなければ、と考えている。改ざん事件は裁判官の心証に影響するだろう」と話す。
 冒頭の前福島県知事、佐藤被告は前田容疑者の調べを「調べられた人々から聞くと、脅し、いじめで検察の構図に沿うよう供述させる。村木さんの事件も部下をいじめ虚偽の事件をつくった。私と同じ構図だ」と説明。そうした「流儀」は検察全体を貫くものとみる。
 「検察は実績を挙げて出世したいという欲で捜査する。上が命じたら、部下は、うそでも何かを見つけようとする。改ざんは検察の体質が招いた」
 自分の事件への影響について、佐藤被告は「裁判官の判断。分からない」と言葉を選びつつ、こう付け加えた。
 「村木さんの無罪判決後に講演したら、会った人々から『佐藤さん、おめでとう』と言われた。検察への国民の視線は厳しさを増している」
揺れる政界
 改ざん事件は政界にも波紋を広げているが、その形は単純ではない。
 民主党内部で先の代表選で小沢氏を推した議員らの間では、前田容疑者逮捕を受け「これで小沢さんんも元気が出る」と歓迎する声が漏れた。
 前田容疑者は「陸山会」事件の捜査などにかかわっており、捜査に疑問の目が向けられれば「政治とカネ」をめぐる小沢氏に対する風当たりも弱まるという見立てだ。
 「小沢氏本人だけでなく、最近の閣僚や党幹部人事で冷遇された小沢グループ全体も勢いを取り戻す」(同党関係者)
 一方で、検察への信頼が揺らぎすぎることへの警戒感もある。というのも、小沢氏はこれまで「強制力を持った検察の捜査に勝るものはない」として、そこで「シロ」となったことを根拠に国会の政治倫理審査会への出席を拒んできた。検察の信頼性が崩れれば、この理屈も通らなくなる。
 党内の小沢氏と距離を置く人々も「取り調べの可視化」などを推進する点で改ざん事件は好材料だが、その結果、小沢氏批判の柱を失うリスクもあり、対応は慎重だ。
 野党側はどうか。自民党の国対幹部は「検事一人の問題でなく、検察上層部からの指示がなかったかなどは当然追及しなければいけない」と強調。臨時国会では、尖閣諸島沖の漁船衝突事件での検察や政府の対応と併せ、「検察ネタ」を格好の政府攻撃材料と位置づける。
 だが、ここでも「攻め具合」は悩ましい。
 「検察捜査がおかしいと強調しすぎると、小沢氏の『政治とカネ』問題がかすんでしまいかねない」(同党幹部)
 別の野党幹部は「政治介入」批判を懸念し、「当面は捜査の推移を見守るしかない」という。
 「漁船衝突事件の中国人船長釈放では、管政権が那覇地検の判断に介入したのでは、と質す。それだけに改ざん事件で検察当局への追及を強めすぎると、逆に『野党側が政治介入している』との批判を浴びかねない」

平野貞夫「メルマガ・日本一新」  小沢一郎氏との懇談

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暴走検察の果て 「罪なき罪」をつくる検察の大罪
暴走する「検察」

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検察官は一行政官に過ぎない/最高検の調査に客観性を担保する第三者性を持ったチームを構築せよ

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