自動車メーカー各社が高齢者や身体障害者の福祉車両の開発に力を入れている

2009-01-30 | 社会
自動車メーカー 福祉車両に注力 高齢化社会 潜在需要にらむ
business-i 2009/1/30
 自動車メーカー各社が高齢者や身体障害者の乗降を容易にする福祉車両の開発に力を入れている。高齢化が急速に進むなか、従来の福祉施設などに加えて、一般家庭でも購入する動きが強まっているためだ。
 福祉車両は助手席シートなどに回転・昇降といった機能を搭載し、体が不自由でも簡単にクルマに乗り降りができるように工夫した自動車の総称。スロープを使って車いすごと後部ドアから乗り込めるタイプもあり、高齢化社会をにらんで主に軽自動車メーカーが商品開発を競っている。
 スズキは今月15日から、「ワゴンR車いす移動車」の販売を始めた。車両全体を低床設計にするとともに、車いすを搬入するスロープを従来よりも緩やかにして、介護者の負担を軽減した。車いすを電動で固定するタイプなどもそろえている。希望小売価格は、ベース車よりもやや高めで、装備などにより144万8000円から。
 スズキは「ウィズシリーズ」として2000年から福祉車両を販売してきたが、次世代車との組み合わせにも積極的だ。昨年11月からは、静岡県と共同で燃料電池セニアカーの実証実験に乗り出しており、現在、浜名湖ガーデンパーク(静岡県浜松市)の移動用として貸し出しされている。
 一方、ダイハツ工業は軽自動車ムーヴの福祉車両「フレンドシップシリーズ」を昨年末に発売した。昇降シートを操作するワイヤレスリモコンを標準装備したのが特徴で、介護者などがより使いやすくした。
 日産自動車の子会社、オーテックジャパンも昨年11月、小型車キューブをベースにした福祉車両「ライフケアビークル」を発売。助手席が電動で回転・昇降し、降車後のシート格納時間を短縮できる早送り機能やリクライニング操作ができる多機能リモコンを採用した。
 日本自動車工業会によると08年度上期(4~9月)の福祉車両の販売台数は、前年同期比5.9%増の1万7456台と台数が着実に増えている。高齢者は今後も増え続ける見通しのために、自動車メーカーは「潜在需要が大きく、中長期的にも販売の拡大が見込まれる」との見方をする。
 高齢者向け商品に関しては、ホンダのように2足歩行ロボット「アシモ」の技術を生かして、リハビリ用の歩行サポート機器などを開発する動きも出ている。自動車メーカーは、多様な技術を蓄積しており、この強みを生かして福祉車両のほか、高齢者・身体障害者の支援関連機器にも力を入れていく考えのようだ。

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