東京地裁、カルロス・ゴーン被告を保釈 逮捕から108日ぶり 2019/3/6

2019-03-06 | 社会

ゴーン前会長 保釈
NHK NEWS WEB 3月6日(水曜日) 19時34分
 5日に保釈を認める決定が出された日産自動車のカルロス・ゴーン前会長は保釈金10億円を納め、東京拘置所から保釈されました。身柄の拘束は最初の逮捕から108日間に及んでいて、今後、ゴーン前会長がみずからの主張をどのように発信するのか注目されます。
 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)は、みずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した金融商品取引法違反の罪や日産の資金を不正に支出させた特別背任の罪で東京地検特捜部に起訴されました。
 ゴーン前会長は去年11月の最初の逮捕から6日まで108日間にわたって身柄を拘束されていましたが、東京地方裁判所は5日、3回目の請求に対して保釈を認める決定を出し、保釈に反対する検察の準抗告も退けました。
 そしてゴーン前会長は6日午後、保釈金10億円を納め、午後4時半ごろ、東京拘置所から保釈されました。   
 ゴーン前会長は反射材が付いた紺色の作業着姿で、顔を隠すように青い帽子を深々とかぶり大きなマスクをして拘置所から出てきました。そして屋根に脚立を載せた軽ワゴン車に乗り込み午後6時前、東京・千代田区にある弁護士の事務所に入りました。
 被告が否認を続ける特捜部の事件で、裁判の争点を整理する手続きが始まる前に保釈が認められるのは異例で、都内の住居の入り口には監視カメラを設置し、インターネットに接続できないパソコンや携帯電話を使用することなど、事件の関係者と接触できないようにするさまざまな条件がつけられたということです。
 また日産やルノーの取締役会の出席については裁判所の事前の許可が必要という条件がついたということです。
 ゴーン前会長はこれまで全面的に無罪を主張していますが、勾留が長期化する中、みずからが築き上げた日産、ルノー、三菱自動車の3社連合の経営トップを退いていて、今後の動向が注目されます。
■窓越しにゴーン前会長の姿
 ゴーン前会長は、拘置所から保釈されたあと、東京 千代田区内の弁護士の事務所に入りましたが、午後7時すぎ、建物の窓越しに前会長の姿が見えました。

  

 スーツに着替えていたゴーン前会長は白髪が増えた印象で、弁護士の後ろを歩きながら落ち着いた表情で弁護士に話かけているようにも見えました。
■ゴーン前会長は変装 車はスズキ
 リフォーム会社のロゴが入った作業着姿で脚立を載せた軽ワゴン車に乗り込み拘置所を出たゴーン前会長。大勢の報道陣が待ち受ける中、変装して拘置所を出ることで保釈後の行き先をわからなくするねらいがあったとみられます。
 ゴーン前会長が保釈される直前、東京拘置所の正面玄関には前会長の弁護士らが乗った黒いワゴン車が横付けされ、布団やスーツケースが運び込まれました。
 ゴーン前会長はこの車に乗り込むとみられていましたが、実際に乗ったのは建設会社の名前が書かれ屋根に脚立を載せているスズキの軽ワゴン車でした。
 またゴーン前会長はオレンジ色の反射材が付いた作業着姿で、顔を隠すように青い帽子を深々とかぶり、黒縁めがねをかけ、大きなマスクをしていました。作業着は紺色でゴーン前会長の周りを取り囲んでいた拘置所の職員と似たような色合いでした。
 ゴーン前会長は変装して拘置所の職員に紛れ込むことでカメラに撮影されないようにするねらいもあったとみられます。
■きょうの会見はない
 ゴーン前会長の弁護士は、「前会長は回復が必要なためきょうは記者会見を開かないことを決定した。後日、改めて開催を検討したい」というコメントを出しました。
■検察幹部「実効性あるとは思えない」
 ゴーン前会長の保釈の条件について、検察幹部の1人は「これまでの事件と比較してあまりにも特例的な対応だ。住居に監視カメラを設置したとしても、外出先で事件の関係者に会うことや、その場で別の携帯電話を借りて関係者に連絡を取ることも可能だ。今回の条件に実効性があるとは到底思えず証拠隠滅のおそれはぬぐえない」と話しています。
■日産「コメントする立場にない」
 ゴーン前会長が保釈されたことについて、日産の広報部は「コメントする立場にない」と話しています。
■日産の社員は
 ゴーン前会長が保釈された際の映像を見た日産の社員は「驚いた。もっと堂々と出てくるかと思った」と話していました。
 また日産自動車の60歳の男性社員は「ゴーン前会長は私にとって神様みたいな存在だった。保釈のニュースはインターネットで知りました。きょうの社内は特に変化はなく、平穏だった」と話していました。
■仏経済相は歓迎
 フランスのルメール経済相は6日、パリで行った記者会見の中で、ゴーン前会長が保釈されたことについての質問に答え、「今後自由に、そして冷静に自分の立場を守ることができるようになるだろう。推定無罪の原則に基づき、最もよい状況で立場を守れることは重要だ」と述べ、歓迎しました。
■官房長官「個別の事件にはコメント控える」
 菅官房長官は午後の記者会見で、「個別具体的な事件に対しては、裁判官の判断に関わる事柄でもあり、コメントは控えたい」と述べました。
 また菅官房長官は、ゴーン前会長の身柄の拘束が長期間に及んだことについて、「一般論として言えば、わが国の刑事事件の捜査については、捜査機関から独立した裁判官による令状に基づくなどの厳格な司法審査を経て適正な手続きの下で行われている」と述べました。
■元裁判官「今後の保釈に影響」
 元裁判官で、法政大学法科大学院の水野智幸教授は、今回の保釈について、「これまでの傾向として、争点を整理する手続きの中で被告側の主張や立証の方針が固まれば、主張を覆す可能性が少なくなり証拠を隠滅するおそれがないと判断されて保釈が認められるケースが多かった。今回はまだ主張が出そろっていない段階なので、通常の事件と比べるとかなり早く、担当した裁判官にとって勇気のいる判断だったと思う」と話しています。
 そのうえで、「監視カメラや、通信が制限されたパソコンの使用しか認めないといった条件は珍しいものだが、裁判所側が、証拠隠滅のおそれについて、できるだけ具体的に考えていこうという姿勢が表れている。検察が懸念を抱くこと自体は理解できるが、あくまで起訴された段階なので被告側の公判に向けた準備も最大限、保障しなければいけない。今回はとても象徴的な事件で、今回の判断がこれからの刑事司法に与える影響はとても強く、保釈を認める判断はこれからも続くのではないか」と指摘しています。
■経団連会長「今後の推移をよく見ていきたい」
 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が保釈されたことについて、経団連の中西会長は福岡市で開いた記者会見で、「刑の確定の前に100日以上勾留することに対する批判があることは十分承知しているが、司法の全体の体系の中で見るべき話で、私が軽々にコメントする立場にない。今後の推移をよく見ていきたい」と述べました。

 ◎上記事は[NHK NEWS WEB]からの転載・引用です
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ゴーン元会長変装「名声に泥塗った」 弁護人が謝罪  
 ゴーン退場社会 2019/3/8 10:39
 保釈された日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(64)の弁護人の1人、高野隆弁護士が8日、自身のブログに投稿し、ゴーン元会長が作業服を着て東京拘置所から保釈されたことは「すべて私が計画して実行した。未熟な計画で名声に泥を塗る結果となった」と謝罪した。
 投稿によると、厳しい保釈条件を守るためにゴーン元会長に社会生活を再建してもらう必要があったと指摘。住居が特定されるのを避ける狙いで「私の頭にひらめいたのが(6日の)方法だった」とし、「それは失敗した」と書き込んだ。
 計画には友人らも協力したといい、「たくさんの人に有形無形の損害を与えてしまった。とても申し訳なく思っている」としている。
 ゴーン元会長は保釈後、東京都内の指定された住居で過ごしているとみられ、高野弁護士は「ゴーン氏とその家族は自由人として再会することができた」と明かした。
 ゴーン元会長とみられる男性は8日午前、保釈中の住居とされる都内のマンション周辺に姿を現したが、コメントを求めた報道陣に無言を貫いた。

 ◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です
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カルロス・ゴーン被告保釈 2019.3.5 なぜ認められたのか 国際世論意識? 「無罪請負人」恐れ?
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