奈良放火殺人事件

2006-10-26 | 社会

 「追い詰めたのは私」と父=2人で死ぬまで罪背負う-奈良放火殺人でコメント

 奈良県田原本町の医師(47)宅放火殺人事件で、長男(16)の中等少年院送致の決定を受け、父親の医師は26日、長男の付添人を通じ、「(長男を)追い詰めたのは私。死ぬまで罪を背負う」などとするコメントを公表した。
 父親は「心からおわび申し上げます」とした上で、「長男がしてしまったことは取り返しがつかないことで、決して許されないが、原因を作り、そこまで追い詰めたのは、紛れもなく父親の私であります」と心境を吐露した。 
(時事通信) - 10月26日19時1分更新

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長男を中等少年院送致 医師宅放火で奈良家裁
 奈良県田原本町で母子3人が死亡した医師宅火災で、奈良家裁は26日、放火と殺人などの非行事実で送致された長男(16)=当時高校1年=を中等少年院送致とする保護処分を決定した。

 決定理由で石田裕一裁判長は「父親の対応はしつけや学習指導の限度をはるかに超えた虐待ともいうべきだ」と指摘。「暴力を振るわれ続けるなどの成育環境が性格や資質上の偏りを生じさせ、非行に走らせた一因だ。長男だけにすべての責任を負わせることは相当でない」と述べた。

 その上で「長男の資質の問題は大きく、父親との関係改善に相応の期間がかかる」として「相当長期間の処遇が必要だ」とした。

 決定はまた、未必の故意による殺意を認定した上で「殺意はかなり低く、遺族の処罰感情も強くない」と指摘。「精神鑑定で広汎性発達障害とされているが、これまで学校教育に適応してきた。中等少年院の個別処遇で対応は可能だ」とした。 父親は審判終了後「2人で死ぬまで罪を背負って生きていく」などとする手記を出した。

 決定によると、長男は事件当日の保護者会で、中間試験の成績のうそが父親にばれてしまうと思い「殺されるほど殴られる」と恐れていた。暴力から逃れる手段として放火を考えていたが、事件前夜、「父親がいなくても実行しなければ」と決意。6月20日午前5時ごろ、台所の床などにサラダ油をまいて階段付近に放火し、2階で寝ていた母(38)、二男(7)、長女(5)の3人を一酸化炭素中毒死させた。

 家裁の精神鑑定は、長男には広汎性発達障害による注意障害があったとした上で「父親の暴力のために持続的な抑うつ状態だった」と診断。

 付添人の弁護士は殺意はなく重過失致死に当たるとし、医療少年院送致を求めていた。一方、奈良地検は確定的殺意もあったとして成人と同じ刑事裁判を受けさせるため検察官送致(逆送)を主張していた。

 長男が通っていた高校の保護者の有志らが、寛大な処分を求める約3000人の署名を集め、家裁に提出していた。

東京新聞(共同)
(2006年10月26日 14時35分)

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長男の付添人弁護士「重過失致死」を主張 奈良母子焼死

asahi.com 2006年10月20日

 奈良県田原本町の医師(47)宅が全焼し、母子3人が死亡した事件で、現住建造物等放火と殺人などの疑いで家裁送致された長男(16)の第3回審判が20日、奈良家裁(石田裕一裁判長)で開かれ、長男を「広汎(こうはん)性発達障害」と診断した精神鑑定結果について、長男の付添人弁護士と奈良地検の双方がそれぞれ意見を述べた。

 家裁の依頼で実施された鑑定書は13日に提出され、広汎性発達障害に、父親の暴力によって抑うつ状態であったことが重なり、父親から逃げることに病的に集中した結果、非行に及んだとした。

 審判は非公開。関係者によると、弁護士は鑑定結果に加え、長男が接見で「3人は2階の寝室から隣の倉庫へ飛び降りて逃げられると思った」などと話していたことから、長男に殺意はなく、あっても薄いと判断。「重過失致死」を主張し、医療少年院送致の保護処分を求めたという。

 一方、奈良地検は「長男の行動や生活状況などから、広汎性発達障害は医学的に当てはまらない」と主張。2階で寝ていた3人の逃げ道である階段下付近に放火したことなどをあげ、「確定的な殺意があった」として、成人と同じ刑事裁判を受けさせるため検察官送致(逆送)を求めたという。

 審判で長男は父親を前にし、「昔は(父親に)殺意があったが、事件後自然に消えた。罪を償った後、父親と一緒に暮らしたい」と述べたとされる。

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長男は「抑うつ状態」 奈良・母子放火殺人の精神鑑定書
asahi.com 2006年10月13日

 奈良県田原本町の医師(47)宅が6月、全焼し、母子3人が死亡した事件で、現住建造物等放火と殺人などの疑いで家裁送致された長男(16)の精神鑑定書が13日、奈良家裁(石田裕一裁判長)に提出された。長男を自分の興味・関心に執着する「広汎(こうはん)性発達障害」であったと診断、犯行時に「幼少時からの父親の暴力によって持続的な抑うつ状態にあった」ことが重なり、父親から逃げることに病的に集中した結果、非行に及んだ「不幸な事件」とした。

 奈良家裁は同日、観護措置を26日まで再延長。近く少年審判を再開し、少年院送致などの保護処分か、正式裁判を受けさせるための検察官送致(逆送)かを決定する。

 関係者によると、鑑定書はA4用紙約50枚。広汎性発達障害の程度については触れておらず、心神耗弱だったかどうかや、刑事責任能力の有無については言及しなかった。長男の処遇については、長男が「毎日寝る前に(死亡した)3人に対して謝罪しているなど反省もみられる」とし、「障害などによる精神状態などを考慮して判断すべきだ」とした。

 精神鑑定は、父親の勉強面での体罰を交えた指導が長男を抑圧し、犯行に影響を与えた可能性があるなどとして、付添人弁護士が申請した。奈良地検の送致書によると、長男は6月20日午前5時ごろ、自宅1階の階段下付近に放火、母、弟、妹を一酸化炭素中毒死させたとされる。  


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