大府市 認知症事故訴訟 遺族がJR東海から約720万円の賠償を求められ、最高裁で逆転判決 長男に聞く 2018/4/19

2018-04-21 | Life 死と隣合わせ

認知症事故訴訟  6年に及ぶ裁判、死亡男性の長男に聞く
 毎日新聞2018年4月19日 07時00分(最終更新 4月19日 13時06分)
 愛知県大府市で列車にはねられて死亡した認知症の男性(当時91歳)の遺族がJR東海から約720万円の賠償を求められた裁判で、家族に責任はないとした最高裁の逆転判決から約2年がたつ。男性の長男、高井隆一さん(67)は裁判中は伏せていた実名を公表し、家族総動員で取り組んだ7年の介護と、その後6年に及ぶ裁判について各地で講演している。その思いを聞いた。【銭場裕司】 
--2年前の最高裁判決をどう受け止めましたか
 本当にほっとしたという一言に尽きます。1審であそこまで一方的な判決が出るとは思っていませんでした。家族の責任を全面的に認めた判決の重みは分かっていましたから、本当にまずいぞと責任を感じていました。
--1審判決を知って、家族を施設に入れた人がいるという話まで聞こえてきたそうですね
 本当に苦しかったです。あってはならない判決でした。たくさんの人が1、2審に「ひどい判決だ」と声を上げたことが、最高裁の逆転判決につながったと確信しています。そういう経緯があるので、講演の要請があれば、お応えすることが「お返し」になると思っています。
--最高裁判決後、国による被害者救済制度の創設は見送られたものの、神奈川県大和市や大府市、神戸市で新しい動きが出ています
 国レベルの制度創設が見送られたことは、認知症の人は高額の損害を出すような存在ではないと証明されたと解釈して、自分を慰めています。自治体の動きが出てきたのはありがたいことです。どのような制度で被害救済するべきかという技術論はありますが、住んでいる自治体によって差が出ないようにしてもらいたい。救済策が全国に広がってほしいですね。
--鉄道会社に何を求めますか
 JR東海は最高裁判決後の記者会見で、今後の事故でも請求する可能性があるという姿勢を示しました。身内を亡くした悲しみに加え、請求を受ければ、家族は二重のショックを受けます。個人が鉄道会社と闘うことは非常に厳しいです。
--講演では「徘徊(はいかい)」という言葉は使わないでほしいと呼びかけています
 認知症は「誰でもなりうる病気」と社会が正しく理解できる時代になりました。それなのに「徘徊」という言葉を使うと「危険な存在」というイメージを持たれてしまいます。父の場合もどこかに行きたがる時は、かつての勤務先や実家の方向に向かって歩いていました。むやみやたらに歩き回る、危険な存在ではありません。
--長期にわたった介護と裁判の経験をつづった「認知症鉄道事故裁判~閉じ込めなければ、罪ですか?」(ブックマン社)を出版しました。どのような思いで書きましたか
 誰でも同じような問題に巻き込まれる恐れがあり、私自身の経験を書き残しておきたいと考えました。1審で敗訴してからは、自分たち家族だけの裁判ではなくなった、という思いで闘いました。私の経験が少しでも参考になればうれしいです。

 ◎上記事は[毎日新聞]からの転載・引用です
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愛知県大府市 認知症JR事故、家族に監督義務なし 最高裁で逆転判決 2016/3/1 
◇ 認知症徘徊男性の列車事故訴訟 最高裁弁論で家族側「一瞬も目を離さずに見守るのは不可能」2016/2/2
上田哲・長門栄吉裁判長「アホ判決」(名地裁・高裁)91歳の認知症夫が電車にはねられ、85歳の妻に賠償命令 2014-05-28 
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