遠い共存  パレスチナ占領 半世紀 ④幼き「殉教者」 2017/9/23 〈来栖の独白〉主なる神は、まだまだ争いを続けさせたいようだ。地の終わりまで。

2017-09-25 | 国際

2017/9/23 Sat  中日新聞
       遠い共存  パレスチナ占領 半世紀 ④幼き「殉教者」
兵を襲った少女たたえる
 エルサレム旧市街のダマスカス門付近は、物々しく機関銃を構えた10人以上のイスラエル兵が目を光らせる。今年5月、16歳の少女ファティマ・ハジジがナイフで襲撃しようとして20発の銃弾を浴びた。
 5人姉弟の長女だったファティマは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸カラワット・バニゼイド村で育った。数学が得意で、夢はジャーナリスト。地域のそろばん大会で優勝し、この夏にはマレーシアへの研修旅行に招待された。「もし計画を知っていれば、必ず止めた」。母ダレーンさん(37)が悔やむ。
 実はイスラエル兵を襲撃したのは初めてではない。1年前にも検問所で同様の未遂事件を起こし、1カ月間勾留されたのを機に急速に傾倒した。フェイスブックに「ナイフでおまえを刺す。私たちの国から追い出す」との詩を投稿。「勉強や将来に集中しなさい」と促した両親は、その決意の固さを知らなかった。
 「純粋で愛国心が強く、パレスチナ囚人に共感していた」。父アフィフさん(39)の目には、占領の歴史が娘を駆り立てたと映る。7歳のころ、イスラエル兵が深夜に押し入り、叔父を連行する場面を目にした。2002年に第2次インティファーダ(反イスラエル闘争)でイスラエル兵に殺された別の叔父は、勇敢な闘士として語られた。受け継がれる占領者への抵抗は「テロ」ではない。
 ただ、ファティマの事件は不可解な点も残る。エルサレム旧市街に行くには、バスを乗り継いで数時間かかり、許可証も必要だ。ダレーンさんは「どうやって検問所を通り抜けたのか分からない」。遺体からは至近距離で撃たれた20発の銃弾が見つかった。人権団体はイスラエル側を「過剰防衛」と批判する。
 15年10月以降、パレスチナの若者がイスラエル兵や入植者を襲撃する事件が相次ぐ。AFP通信によると、これまでにパレスチナ人約3百人、イスラエル人約50人が死亡。若者の多くは「二国家共存」を目指した1993年のオスロ合意後に生まれ、占領長期化を悲観する世代だ。
 人口3千人ほどの小さな山村には、柔らかな笑みを浮かべたファティマの肖像画が街中に掲げられる。「パレスチナ人なら、誰もが娘のようになりたいと思うだろう。でも、子どもを失いたい親がどこにいるのか」とアフィフさんがつぶやいた。その嘆きは「殉教者」への称賛にかき消されている。
 (ヨルダン川西岸カラワット・バニゼイド村で、奥田哲平)=おわり

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖) 
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〈来栖の独白〉
 聖書という一風変わった書物を読んできて、感じるものがある。聖書の神は徹頭徹尾「わたし、ヤーウェ(神)を敬え」と説く。神を敬わない者は万死に値するわけで、そのような人(民族)を殺すことは、さほどの罪でもないようだ。慈愛の神でもなければ、平等という思想も持ち合わせてはいない。気まぐれである。人を愛するのに、実に偏って愛し、義人(神のまえに正しい人)だから愛する、というのでもない。
 その好い例が、ヤコブだろう。[創世記27章]。彼はエサウと双子(弟)として生まれた。ヤコブの母親リベカは、兄エサウよりも、弟ヤコブを愛し、「長子権を兄エサウから奪え」と唆す。ヤコブは母の知恵を借りて、老いて目の薄くなった父イサクを騙し、祝福(長子権)を得る。

 ヤコブの夢のある風景

 ヤコブと天使の闘い 

 やがて、天使との格闘などを経て、ヤコブは、ヤコブイスラエル(※イスラエルの始祖)となっていく。
 ※ 天使は「神と闘い、強さを示したのだから、名をヤコブからイスラエルへ変えよ。今後はあらゆる人と戦って勝つだろう」と言う。イシャラー Isra(勝つ者)とエルel(神)の2つを合わせてイスラエルIsrael(神に勝つ者)という意味。

 また、マタイ20章『ぶどう園の労働者のたとえ』はどうか。次のように書かれている。

 友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。

 これは、「平等」とは、違うだろう。朝早くから1日中働いた者にも、遅くやってきて短時間しか働かなかった者にも、同じ賃金をやる。----まるで前米大統領オバマを想起させる。オバマケアは、ヒスパニックらに「アメリカへ行けば、遊んで食べられる」と教えた。多くが、アメリカへやってきた。-----
 ぶどう園の主は言う。「自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか」と。無茶苦茶だ。これでは長時間働くのは馬鹿馬鹿しい。教会の説教は、何とかこのエピソードを信徒に納得させたいのか、労働時間を、洗礼を受けた年齢に置き換えて、「救いは、受洗の年齢に関係ない」と説明したりする。愚かな無理筋である。
 旧約から新約に至る、この「好き勝手」が、---この好き勝手は「殺害」を重罪とは認めないので---中東に於ける多くの戦争・殺戮を人類にもたらした。イスラエルとイスラムとの果てしない戦い。
 ISのニュースに接した時、私は密かに期待した。愈々2千年にわたるキリスト教国支配の終焉ではないかと。そう簡単にはいかなかったようだが・・・。
 気が引けるが、イエスの言葉を引用しよう。[マタイ10章]。主なる神は、まだまだ争いを続けさせたいようだ。地の終わりまで。

  地上に平和をもたらすために、わたしがきたと思うな。平和ではなく、つるぎを投げ込むためにきたのである。
  わたしがきたのは、人をその父と、娘をその母と、嫁をそのしゅうとめと仲たがいさせるためである。
  そして家の者が、その人の敵となるであろう。
  わたしよりも父または母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりもむすこや娘を愛する者は、わたしにふさわしくない。
  また自分の十字架をとってわたしに従ってこない者はわたしにふさわしくない。
  自分の命を得ている者はそれを失い、わたしのために自分の命を失っている者は、それを得るであろう。
  あなたがたを受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。
  預言者の名のゆえに預言者を受けいれる者は、預言者の報いを受け、義人の名のゆえに義人を受けいれる者は、義人の報いを受けるであろう。

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2 コメント

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所感 (あやか)
2017-09-27 08:17:40
そうですね。。。。
聖書を読むと、キリスト教というものが、本来は中東(西アジア)の宗教だったということを、つくづくと思い知らされます。
非常な厳しさと苛烈さがあります。
ただ、イエス・キリストというかたは、かなり複雑な思想・性格のかただった、という印象も受けます。
ユダヤ教から受け継いだ熾烈さもありますが、一面的には慈愛にみちた寛容な人だったという側面もあります。
まあ、私たちが教会でおしえられるのは、『幼な子が大好きな、優しいイエス(イエズス)さま』のイメージでしょう。
ひとつだけ、追加コメントさせていただきます! (あやか)
2017-09-28 06:31:38
イスラエルとパレスチナの問題、本当に胸がいたみます。
私は、イスラエルを非常に尊敬しています。
しかし、もう少し寛容という事も考えていただきたいと思います。
宗教というものは、人を幸せにするものであり、争いを持ち込む事ではありますまい。
旧約聖書は、さまざまな資料や文書からなりたっており、確かに激しい排他的な表現もありますが、また慈愛と平和を志向する考えかたも基調となっています。それでなければ、多くの人を引きつけることはないでしょう。
 新約聖書のパウロなどの聖徒の書簡集を拝読しますと、この中東起源のヘブライ宗教を、当時のローマ帝国の善良な市民の価値観に調和させようとする涙ぐましい努力と誠実な悩みが見てとれます。。。。。

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