『この道』 西村京太郎 ㉜日本占領考 2019/9/7

2019-09-07 | 本/演劇…など

この道 西村京太郎
 2019/9/7 Sat 中日新聞夕刊

 ㉜ 日本占領考

 この辺りで、アメリカの(マッカーサーの)日本占領について考えてみたい。最近、日本人の骨抜きを狙った占領政策だとか、独立心のない、戦争の出来ない国にしたという批判があるが、歴史的に見て、さほど悪い占領だったとは思えないのだ。
 それには、二つの理由があったと思う。一つ目はマッカーサーの中に、征服者の他に、解放者の心があったためであり、もう一つは、アメリカが富める国だったためだと思っている。
 征服者だから、日本の指導者たちを逮捕し、戦犯として処刑した。一方、解放者として、内務省を解体し、思想犯を刑務所から釈放した。
 何よりも、日本にとって、幸運だったのは、アメリカという国が、豊かだったことである。第二次大戦で、戦前より戦後の方が、国民の生活水準が上がっているのはアメリカ一国で、あとは全て、下がっているのである。もし、アメリカ以外、例えば、ソ連(ロシア)に占領されていたら、間違いなく、日本再建に使うべき機械や食糧などは、容赦なく、奪い取られていただろう。
 その点、豊かなアメリカは、機械も、食糧も持ち込んできた。特に、私たちの眼(め)に焼きついたのは、ジープだった。四輪駆動で、背の高いアメリカ兵が、足を投げ出すようにして乗り回すのがカッコ良かった。
 救助物資も送ってきたし、まずくはあったが脱脂粉乳も飲めるようになった。あれは、多くの日本人を餓死から救ったのである。天皇を戦犯にはしなかったし、朝鮮戦争では、日本の経済を救ってくれたのである。
 当時一つの小話が、流行した。
 「貧しい小国を豊かにする方法」である。貧しい小国があったら、何か理由をつけて、アメリカに宣戦布告するのだ。アメリカが軍隊を送ってきたら、すぐ降伏して、アメリカに占領させてしまうのだ。
 占領者は、占領した国民の安全と生活を守る義務があるので、それに努力すれば、自然にアメリカに近い生活が出来るようになるという論説である。
 世界が、アメリカに占領された日本を、そんな眼で見ていたということである、うらやましく見られていたのである。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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〈来栖の独白 2019.9.7 Sat〉
 ひと月以上も、西村京太郎氏の連載を楽しみに読ませて戴いてきた。氏が陸幼(陸軍幼年学校 東京)に入学されたこと、すごいなと感じた。当時、超エリートである。
 本日の「日本占領考」は、素直に同感できる。占領したのがアメリカでよかったのだ。天皇を処刑しなかったアメリカは、賢い。 
 作品は一作も読んでいないが、「西村京太郎」と聞いて思い出すのは、勝田清孝が氏の作品を多く読んでいたことである。余程、面白かったのであろう。宅下げではなく、処刑後引き取った遺品の中に西村京太郎氏の本があった。
 ・・・思い出すことも多い西村京太郎氏。これからも楽しみに夕刊を読ませて頂きたい。良い作品を、ありがとう、西村様。 

* 『この道』 西村京太郎 ㊶厳しい船出 2019/9/19

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1 コメント

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Unknown (右左あんつぁん)
2019-09-10 11:11:11
>占領したのがアメリカでよかったのだ。天皇を処刑しなかったアメリカは、賢い。
GHQは9月2日の降伏文書調印式後直ちにポツダム宣言の降伏条件を無視して軍制を施行しようとしました。それを阻止したのが重光葵です。
勝者の米国が日本を背負わざるを得なかったのは昭和天皇が責任を一身で取ろうとしたからに他なりません。
あの戦争はフーバー元米国大統領が言っているように狂人ルーズベルト大統領が仕掛けたものであるという真実の歴史を無視するべきではないでしょう。

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