many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

オーブランの少女

2018-06-03 18:12:23 | 読んだ本
深緑野分 2016年 創元推理文庫版
これは、穂村弘さんの『きっとあの人は眠っているんだよ』で採りあげられてて、興味もって、読んでみた。
ちなみに、穂村さんの好きなのは、「解かれる謎の背後にもうひとつの解けない謎をもったミステリー」だそうだ。
古いものかと思ったら、全然新しいものだったようで、ふつうに書店の文庫売り場に並んでた。
長編かと勝手に決めつけてたんだけど、目次みたら短編集だった、長くないものだと身構えずに読むことができる。
(長いと途中で放り出して忘れてしまうことのないよう、コンスタントに書を開くスケジュールがなんとなくほしくなる。)
「オーブランの少女」
文庫のトビラめくったとこに「LES FILLIES DANS LE JARDIN AUBLANC」なんてあるから、一瞬翻訳かと思ってしまう。
オーブランってのはどこかわかんないけど(たぶん上の欧題からフランスあたりと想定して取り掛かった)、庭園の名前。
最初に惨劇の発生について書かれて、あとから手記で過去ふりかえってく形式の話。
オーブランの地には、館主マダム・キャロと二人の女性教師と女医と、病が完治するまで家族のもとに帰れない十数名の少女たちがいる。
少女たちはほとんどが10歳より下で、なぜか花の名前で呼ばれている、マルグリット、ミュゲ、イリス、ダンディリオン、カメリア、ミオゾティスなどなど。
それで同じ白いワンピースを着せられて、左手首に色違いのリボンを結ばされる、赤と青と黄と紫、誰がどの色なのかその理由はよくわからないが、外してはいけないと館主から言われる。
「仮面」
雪の降るロンドン、まだ馬車が使われている時代の話、夜中にアトキンソン医師は、キャバレー「ルナール・ブルー」の女主人を往診する。
実は訪問の目的は、薬物の誤った使用を装って、夫人の殺害を依頼されたのに応えるためだったので穏やかではない。
「大雨とトマト」
これも舞台はどこか外国、嵐の日曜日の昼の古い安食堂には、いつもの安いランチを食べてる常連の客がひとりだけだった。
そこへ雨にぬれた少女が入ってきて、トマトのサラダをくださいと言うんで、メニューにはないけど店主はつくってやる。
こんな雨の日にめずらしい客なんだけど、どこかで見たような顔なんで、店主が問うと、隣町から来たと少女は答える。
「片想い」
舞台は戦前の日本、高等女学校に通う寄宿生、同室の水野環さんと「わたし」岩本薫子の話。
環さんは顔もかわいくて成績優秀で性格はまじめ、まわりの女生徒たちからも人気があるが、長野の資産家である実家とは何かトラブルがあるらしい。
「氷の皇国」
これの舞台は架空の国、大陸を流れるラズラト河のちかくにあるユヌースク。
ある漁村で網に首の斬られた死体がかかったことから、漁師たちは酒場で大騒ぎで評定をするが、居合わせた吟遊詩人が、ユヌースクの最後の皇帝にまつわる話をはじめる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 一行怪談 | トップ | プライド »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読んだ本」カテゴリの最新記事