民間援助最前線 4 井戸 

民間援助最前線 4 井戸     2008.3.11. 金森正臣

 この支援団体では、作った集落に井戸を掘っている。写真は、出来上がったばかりの井戸を点検しているメンバー。カンボジアでは、生活水は川や池、溜まり水を使うのが普通である。前回報告の家に、大きな水瓶があり、雨季に雨水を貯める様になっている。自然水は、アメーバー赤痢や大腸菌などが繁殖することもあり、飲み水としては危険である。煮沸して飲めばよいのだが、大人は既に結構免疫抗体を持っているから、不用意に子どもに飲ませることもある。特にまだ抗体の弱い乳幼児にとって危険である。

 アンコールワット遺跡などでは、空から降る水(雨水)は、天国からのものであり、地下から湧き出すものは、地獄から来るものとの考えがあった。そのために、アンコールワットの第三回廊に登る前には、雨水を貯めるプールがあり、そこに貯めた雨水で身を清めてから神の領域に登った。この様な考え方が、現在も生きているかは不明であるが、なんとなくカンボジア人は、雨水を良く使う。理由を聞くと、湧き水は体に良くない(確かに日本では考えられないほど硬水で、日本の石鹸は泡立たない。硬水を使うことを前提にしている韓国の石鹸は、良く泡立つ)と言う。この集落の付近には、石灰岩の山があり(フズリナの化石が入っていることも多い)水は硬水である。

 カンボジアは、乾期は11月頃から5月頃まで。大陸続きであるから、かなり変動がある。乾期にはほとんど降らない年と、時々お湿りがある年がある。降る年でも乾期には、生活用水はかなりきびしくなる。健康な生活には、貴重なものである。

 将来は、この集落で灌漑用の井戸を掘り、二毛作を目指している。収入を増やすには、二毛作が最も早い道であろう。しかしカンボジアは、平和が訪れてからの日が浅く、ポルポト時代に途絶えた技術はまだ熟していない。米は安いので、機械を使っての二毛作は採算に合わない。また、以前から食べるものは比較的豊かだったのであろうか、灌漑の技術はあまり発達していない。最初は、集落の中に作った飲料用の井戸の周囲に、試験的に作ることから始めるのが、普及のためには必要なように思われる。
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