コブシ  花の記憶

コブシ  花の記憶

   

公園のコブシの花が、3月10日頃に咲き始めた。愛知県ではかなり早いが、私の育った長野県の標高750メートルぐらいの地点では、かなり遅い。おまけに山の中ではあまり群れていないから目立たない。まだほかの木が芽を出す前であるので、かろうじて存在が確認できる。同じもくれん科の花では、ホウの花が大きく香りも良いので山の畑に行くときには、花弁を拾うのを楽しみにしていた。少し茶色になり始めても、芳香を放ち、胸のポケットに入れていると次の日迄匂っていた。
今住んでいる家の前には、タイサンボクの木があり、子どものころの様に花弁を楽しんでいる。こちらはもっと遅く、まだ蕾も目立たない。

長く住んでいた菅平では、コブシが沢山あり春の楽しみの一つであった。特に菅平の中央にある湿原の周囲に多くあった。須坂市から通っていた道中には、タムシバやキタコブシがあり、こちらは木が大きくなるので春先の林の中で白い花が目立っていた。

信州大学の志賀高原の研究施設で、IBP(国際生物計画)の調査をしていたころ、オオヤマレンゲに出会い、その美しさが記憶に強く残っている。灌木であまり目立たないが、花が咲くとその美しさと芳香で特別な花に思えた。

家の前の畑には、シデコブシの花が咲いている。こちらはコブシよりに少し早く咲き始めた。どこから来たシデコブシかは不明である。万博問題が浮上した頃、海上の森のシデコブシを調査したことがある。その頃知多半島にもシデコブシがあると言うので、調査に行った。自然分布のものは確認できなかったが、所々で栽培されていた。多くの話を総合すると、以前には知多半島にも分布していたようで、開発で消えてしまったようである。その頃、西尾市でもいくつかの株を見つけたが、どうやら園芸屋さんがシデコブシを栽培し売っていたようであった。家の前のシデコブシも多分そのような株のように思われる。

コブシの仲間は、美しさと芳香がありなかなか印象が強い。

 

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