カンボジアの食材 15 海辺の食材 6 貝類の続きの4 海辺で拾った教材2

日本にて   金森正臣(2006.3.16.)

カンボジアの食材 15 海辺の食材 6 貝類の続きの4 海辺で拾った教材2

写真:拾い集めた教材。右側にあるのは、エダサンゴ。その陰に隠れている卵状のものは、棘皮動物(ウニの仲間)のブンブクチャガマの仲間。でも生きたものはどうしても見つからない。

 この貝殻は、教材にするために海岸で集めたもの。きれいに洗って干しているところ。カンボジアでは、ポルポト時代以来先生の質が著しく落ちて、実物についての教育はほとんどされていない。従って、高等学校や大学の先生が、実物の観察をほとんど出来ない。貝殻は簡単で分かり易い、分類の初歩を教えるための教材。貝類ばかりではなく、色々なものを海辺で拾い、混ぜて使う。フジツボ、サンゴやカイメンも入る。

 最初に異なる特徴を見つけたら、全て分けて行く。一つずつ特徴を観察して、書き取って行く。分け終わったら、今度は類似点を見つけて集めて行く。これによって分類の基本的な実際を少しずつ理解する良い教材となる。

 ウニの仲間としては、ガンガゼが沢山見られる。他にも数種のウニが見られるが、量が少ない。ガンガゼを使って、ウニの発生の実験を観察できる様になってきた。日本では、バフンウニ、サンショウウニ、ムラサキウニ、アカウニなどが使われているが、南の海には見られない。ガンガゼは、日本で使っているウニとは異なり、季節性が無さそうだ。満月の前には、どこかの海岸で成熟したウニを見つけることが出来る。でも確率は30%ぐらいが抱卵している程度。時によると80%以上抱卵していることもある。トゲが長く、折れやすく危険であつかいにくいが、幼生は結構丈夫で、エキノプルテウス幼生まで進む。場合によっては、海岸からプノンペンまで運んで、1週間ぐらい継続観察をしている。私の勤めているところの教官も、学生に発生を観察させるところまで進歩した。

 もう20年も前に、筑波大学の下田臨海実験センターの船長さんの植田さんが、材料の準備しておいてくれたので、一度だけブンブクチャガマの発生を見たことがある。綺麗な透明の卵で、どのウニよりも素晴らしい材料だと思った。でも下田当たりでは、ブンブクチャガマは多くない。潜っていて砂地の上を、足ヒレが掻いた時にブンブクチャガマが舞い上がる程度で、なかなか材料として集めにくい。カンボジアでは、海岸で沢山ブンブクチャガマの仲間の殻が拾えるので、どこかに沢山住んでいると思われるが、まだ見つけていない。

 ガンガゼも食べてみると、卵巣の味は悪くない。でもやや苦みがある様に思う。カンボジア人は、全く食べない。1970年代の終わり、九州の五島列島の下山島でシカの調査をしていた。皆が足をケガするくらいガンガゼが居て、ガンガゼを食べたことがあった。ガンガゼを食べたのはそれ以来だ。発生に使えるくらい、卵巣が発達しているものが良いが、抱卵率が低いと食べられない。自分で潜って材料を採集するので、海が荒れていると十分な材料が取れない。残念。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

カンボジアの食材 15 海辺の食材 6 貝類の続きの3 海辺で拾った教材

日本にて   金森正臣(2006.3.16.)

カンボジアの食材 15 海辺の食材 6 貝類の続きの3 海辺で拾った教材

写真:手前にある二枚貝は、アカガイの仲間2種。左奧にある3角形の二枚貝がタイラギの仲間。タイラギに寄りかかっているT字型の貝は、シュモクガイ。シュモクガイ以外は、食用になる。でもアカガイの仲間以外は、カンボジアでは市場に出ていない。これは教材にするために、海辺で拾い集めたもの。

 アカガイ・サルボウは、Anadara属。タイラギは、Atrina属、英名 Pen-shell 。シュモクガイは、Malleus属、英名 Hammer-shell。 

 アカガイもタイラギも、刺身が旨い。しかしカンボジアでは、使っている水や温度が高いこともあって、不安があってなかなか刺身には手が出ない。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )