メディカルツーリズムの仕組みと関与者の研究

2010-05-22 21:11:13 | Weblog
メディカルツーリズムの仕組みと関係者

(1)メディカルツーリズムは、とりわけ下記資料に見られる金融危機を克服するためにタイランドで始められた歴史を持っていますが、その大きな成果が確認されるにつれ、周辺各国においてはもちろんのことながら、今や世界中で大きな関心を呼び、同様の趣旨でのツアー推進に向けての取り組みが国家単位で行われるようにすらなっています。

(2)かかる経緯から見ても、メディカルツーリズム推進が、裾野の極めて広い産業群を刺激しながら、また多数の雇用者を産みながら、日本の内需振興・経済成長促進において極めて有効な手段であることが明らかです。

(3)そこで、メディカルツーリズムにつき後発の我が国としては、前例として各国で行われているメディカルツーリズムの仕組みを十分に研究し、それら始原的なタイプを洗練化した「発展型」と言える質の高い仕組みを創り上げ、メディカルツーリズムを行う多くの国々においての参考例となるように努力することが望まれます。

(4)そこで、東京通訳アカデミーでは、スペシャリストの「医療通訳士」を英語と中国語2カ国語の各分野で養成する傍らで、ゼネラリストの「メディカルツーリズム・マネジャー(管理者)」をも養成し、両者が相まって世界最高レベルの日本の医療サービスを外国の人たちに広くかつ安全に利用していただけるように、側面から応援する体制を構築しています。
とりわけ、東京通訳アカデミーでは、外国人受け入れを積極的に行われる病院のホームページの外国語への翻訳を無料サービスで行い、医療通訳士の派遣についても病院に一切の経費負担を求めず自己の計算にて行うという革新的なサービス体制を構築して、現在、提携病院数を拡大しつつあります。

(5)更にまた、メディカルツーリズムを安全かつ盛況に推進する上で、大名行列・メディカルツーリズムの最後尾「しんがり」を務める「司法通訳士」の重要性や必要性を決して忘れることはできません。
韓国では、昨年5月の国策たるメディカルツーリズムの正式発足時に、関連して起こりうるトラブル解決に向けての特別の仲裁機関を設けた旨が発表されていますが、実際、その後において医療トラブルが大きく増加したとの報道がなされていることから見ても、この分野への対応策は不可欠です。(⇒⇒⇒末尾の資料参照)
東京通訳アカデミーでは、先見の明を持って、慎重にこの分野のエキスパートも養成するべく、昨年の早い段階から英語・司法通訳士講座の開設準備と開講を始めたことが幸運な先駆けとなり、この7月からは、いよいよ「中国語・司法通訳士講座」開講の運びとなっていることを皆様方にお伝えします。

資料
アジア通貨危機(the Asian Financial Crisis)とは1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落(減価)現象である。この現象は東アジア、東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼした。狭義にはアジア各国通貨の暴落のみをさすが、広義にはこれによって起こった金融危機を含む経済危機を指す。
前述のタイ、インドネシア、韓国はその経済に大きな打撃を受けた。マレーシア、フィリピン、香港はある程度の打撃を被った。中国と台湾は直接の影響はなかったものの、前述の国々と関連して影響を受けた。日本に関しては融資の焦げ付きが多発し、緊縮財政とタイミングが重なった結果、1997年と1998年における金融危機の引き金の一つとなり、1998年9月の政策金利引下げ、10月7-8日の円急騰(2日間で20円の急騰)、10月23日の長銀国有化、12月13日の日債銀国有化へとつながる一連の金融不安の遠因となった。また、新興国における通貨不安はアジア地域に留まらず、1998年8月17日からのロシア財政危機、1999年1月ブラジル通貨危機など同様の混乱をまねいた。

(6)メディカルツーリズムは、豪華・長大な大名行列を思わせます。
行列の殿様に匹敵する「医療機関」を中心に据えつつ、その前後を、それぞれに異なる役目を果たす家臣に当たるスタッフでつなぎ、長大なプロセッション・ラインを構成します。
往々にして、次の9部門担当者を必要とすることになります。



(a) ICT技術者・・・顧客たる外国人たちに広く呼び掛け、役に立ちうる医療情報を収集し、整理・加工し、多言語で発信を行います。更に、情報更新・メインテナンス作業も絶えず求められます。

(b)メディカル・ツアー・プランナー・・・上記により発信された情報に基き、インターネットを使っての外国人からの問い合わせや予約希望に対して、(時に、日本側窓口を通して獲得する)具体的な医療サービス情報(診療日程や病院名・所在地・医師名・治療法・費用等)で応える国外and/or国内のプランナー

(c)メディカルツーリズム・マネジャー(管理者)・・・海外での市場開拓から、国内での医療・観光サービス等の実施に至るまで、幅広い業務につき、時に、自らも作業を担当しつつ、多数の関与者に対する業務監督やチェックを行い、メディカルツーリズム全体が適正かつ効率よく実施されるように取り計らいます。しかも、複雑な利害関係が絡み合う多数の関係者間の経済的利害を調整しつつ代金決済等の経理処理も行い、文字通りメディカルツーリズム(ツアー業務)の司令塔の役割を果たします。

(d)医療通訳士・・・通訳業務の中でも最高度に難易度の高い医療分野でのスペシャリストであり、診察室・検査室・薬局等に於いて、患者と医師等の医療タッフとの間の言葉の橋渡し役を務める。更には診療結果の連絡やその後の再診のための訪日やケアーなどについても、患者の健康回復に至るまでの間、精力的に橋渡し役を務める。

(e)医療コンシェルジュ・・・重病・難病を患う患者に付き添い、また診療に至る待ち時間等を減らすなど患者にかかる不必要な精神的・肉体的・時間的障害や負担・無駄を省く。

(f)病院・医師・医療サービススタッフ・・・患者の健康回復に最善を尽くす。

(g)観光業者・・・患者の回復後において又は、家族や付き添い人のために、観光や保養目的でのツアーをプランニングする。

(h)(国家資格)通訳案内士・・・外国語を用いて観光や旅行に関する案内を行う。

(i)司法通訳士・・・今後のメディカルツーリズムの成長や多数の外国人の訪日・滞在に伴い自然的又は必然的に起こりうる様々な法的問題やトラブル・訴訟等に関しても、迅速かつ適正に解決が行われ、持続的にメディカルツーリズムが発展するように、多面的に外国人患者とメディカルツーリズム関与者との間での(忠実な)言葉の橋渡し役を務めます。
以上
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
〒101-0052東京都千代田区神田小川町2丁目6番12号 東観小川町ビル8階
☎03-3233-7518 Fax.03-3294-7410、Eメール:okamura3@oksemi.co.jp

資料
医療観光に力を入れる韓国
日本からのエステツアー1000人集客!
2009.07.28(Tue) 梨元 勇俊 氏
目指すは医療強国

ウォン安も海外からのメディカルツアーの呼び水に〔AFPBB News〕
 背景には海外からの需要増がある。日米欧の先進国に比べて中国、ロシア、ブラジルなどBRICs諸国やベトナム、中近東などの新興国では最新の医療設備が十分に整っていない。また先進国でも高い医療費や患者が治療を受けるまでの長い待ち時間などが問題視されている。
 韓国は設備が整った医療施設が多く、医師の水準は低くない。コストもほかの国で治療を受けるより安い。ウォン安も追い風になって飛行機代や宿泊費を差し引いても安上がりだ。
 かくして椎間板ヘルニアやガンなどに悩む富裕層が海を越えて続々とやって来る。韓国の医療機関の調べでは2007年に韓国で治療を受けた外国人は約8000人だったが、2008年には2万7000人に急増。今年は5万人に膨らむ見通しだ。
 こうした海外からの需要に応えていけば医療強国として飛躍する絶好の機会になる。韓国政府はこのほど官民合同で韓国国際医療サービス協議会(Council For Korea Medicine Overseas Promotion、CKMP)を立ち上げた。38の医療機関と韓国保険産業振興院(Korea Health Industry Development Institute、KHIDI)や韓国観光公社などの政府機関が参加。スクラムを組んで外国人客の誘致を積極化している。

ソウルの美容整形クリニックで目の手術を受ける女性(資料写真 原稿中のクリニック等とは無関係です)〔AFPBB News〕
 国は海外のマスコミや旅行代理店を対象にしたプロモーション活動のほか、各国政府や医療機関に働きかけて外国人患者の誘致に乗り出し、来年には大規模なアジアグローバルヘルスケア会議を開催する予定だ。
 またそれぞれの医療機関では、医療用語に精通した通訳の養成や、外国人入院患者向けの病院食レシピの開発、外国語版ガイドブックの作成も始めている。
 今年5月には法律を改正して外国人患者を誘致する医療機関や誘致業者は保健福祉家族部に登録したうえで、事業報告を毎年KHIDIに提出させ、実績もチェックするようになった。
 韓国で治療を受ける人を対象に滞在期間を保証する「メディカルビザ」の発行や、治療法などをめぐって発生が予想される医療紛争を解決するための第三者による仲裁制度の導入も準備されている。KHIDIは治療後のアフターケアのために米国、中国、シンガポールに海外事務所を設置した。
根強い反対意見も
 「患者はどうしても医療設備が整った総合病院へ行きたがるので、韓国でも中小規模のところほど病院経営は苦しい。外国人枠の分だけ総合病院の受け皿を減らせば、中小の医療機関にも患者が回るのではないか」と韓国政府関係者。
 外国人を受け入れる医療機関には国から補助金が出ており、受け入れる側の経営にも寄与する。目標は2013年に20万人の外国人客誘致だ。
 一方で、官民挙げての外国人客誘致には「韓国人の患者が必要な治療を受けにくくなる。本末転倒ではないか」という批判も多い。
 韓国政府は今年1月に外国人向けのベッド数を全体の5%以内に留めるというルールを決めて沈静化に必死だが、反対意見はいまだに根強い。治療を受けて帰国した患者のアフターケアをどうするのかという課題もあるし、言葉や文化の違う国での治療に二の足を踏む外国人も多いだろう。
 診療報酬の引き下げや医師不足で揺れている日本の医療業界をよそに隣国が着手した医療観光。その行方を見守りたい。
以上

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