不幸にも、大野川の浄化が進まない理由

2007-07-09 14:49:36 | Weblog
市役所や関係者達による懸命の協力と努力にもかかわらず、
姫路市大野川の浄化が、なかなか進まない理由
2007年7月9日
大野川を守る会・岡村寛三郎

(1)7月2日(月)~3日(火)における、市役所による大野川最上流部の汚染源の清掃・除去の結果、2~3日間は、中流域・下流域における川面の汚濁状況は、かなり改善されました。このことに気付かれた沿線住民の多くの人たちが、率直に大きな喜びを表明されました。
ただ残念ながら、とりわけ、城北本町と北八代の境にある「クラージュ城北」裏の合流点以降の下流域においては、朝から晩までの一日中、川中の観察を続けていても、小魚の姿は、全くといっていいほどに消えてしまっています。数匹の大きな鯉や亀の姿が見えるだけです。
その理由は、私の憶測では、ヘドロ源の清掃・除去の作業時に、かき回されたヘドロの何割かが流域に流れ込み、中流域以降では、清掃当日は、まるで真っ黒な墨汁を流したかのような極度の汚染状態を呈したそうですから、この時の咎が痛く影響して、その日以降、小魚たちやそれを餌にするシラサギのみならず、汚染への抵抗力が強いカモ類までもが、ほぼ完全に姿を消したのでしょう。
このことは、沿線住民達の新たな不安や心配を引き起こしています。

〔2〕7月9日(月)現在、中流域と下流域の川面の汚濁は、再度悪化し始めています。
とりわけ、中流域の「梅の橋」下での激しい泡立ちから始まり、金山下、八代大橋前のカーブの淀みにいたる2キロメートルぐらいの範囲で、激しい泡立ちや川面一面の米ぬか状の汚濁が目立ってきています。

(3)最近の大野川通信で、水質などについての専門家による次のような悲観論を紹介しました。「ヘドロ元の清掃・除去だけでは、2~3日ばかりは綺麗な流れが戻っても、またその後は、元のもくあみでしょう・・・」
実際そのとおりになってきました。
その専門家は、(その微妙な立場上)それ以上の詳しいことは何も話してくれませんでしたが、今になって、私は、これ等の事実について、次のような仮説・推論を立てています。

私の仮説
(1)河川の汚濁・汚染の基となっていた部分のヘドロなどは除去された。(2)実際、その後、2~3日でも、水面は綺麗になった。(3)しかし、再度、水面の状態は悪化し始めた。
これらの変化が生じ、また、新たに生じつつある理由・・・除去された部分が、実際に、汚染基であったことは、僅かな期間にしろ、除去後に川面が大きく改善されたことで明確になりました。
にもかかわらず、その効果が持続しないのはなぜか?
根本や大本は清掃・除去されたが、既に、長年に亘って、そこから滲み出し派生してきた汚濁物質が、それ以降の流れの途中で、とりわけ、(a)全体的に水の流れが淀むか、(b)川底がごつごつしていて、局所局所において流れが停滞した場合に、それらの場所で、水流に溶け込み、含まれていた各種の物質が姿を現し沈殿し、その粘着性ゆえに、川底に密着し続けてきた。
この状態が、川底に、泥かヘドロが蓄積・堆積しているような外観を生み出している。
これらのヘドロ状の物質は、強い粘着性があり、かなりの激しい大雨とその大量かつ激しい流れが、何度も何度もやってきても、全く洗い流されないままである。
今日では、これらが、上流域や上大野の灌漑用溜池も含めて、中流域・火流域の川底でのヘドロの蓄積自体が、「新たな・二次的な・2世代目(あるいは、3世代目)の」ヘドロ源として成長し定着してしまっている。

今後の対策
以上の仮説を前提にすれば、大野川の浄化のためには、数キロメートルにわたるすべての河川と溜池において、徹底的に川底・池の底のヘドロを除去する作業を実施したり、ヘドロを分解する特別の手立てなどを講じる必要があります。

我々市民にとっての課題
瀕死の状態の大野川について、(1)その水質をどの程度まで本気で改善を進めるのかしないのか、(2)フナやシラサギなどを中心とする大野川の生態系を、どこまで回復させるのか、とりわけ、世界遺産のシンボルのはずのシラサギの餌場を、どこまで守るのか、(3)歴史や文化と共に、自然環境を大切にし、世界遺産指定地の名にふさわしい[美しい故郷]を取り戻す努力を、どこまで真剣にするのかどうか、これを汚染されるがままに放置するのかどうか・・・という重大な諸問題について、多くの姫路市民の皆さん、とりわけ沿線住民の皆さんのご意向を知る必要があるでしょう。
以上