注1. ソクラテス・プラトン、特に、アリストテレスに代表されるギリシャ哲学に関する膨大な量の「ラテン語で書かれた著作集」は、ラテン語に通じていたはずの
ローマ帝国の学者たちが研究して書いたものではないのです。
実は、バグダッドに首都を置き、アラブ文化の最盛期を現出させたバグダッドに首都を置いた、イスラム教帝国のアッバス朝(AD 750~1258)時代に、地理的条件で、ギリシャ語とラテン語の双方に通じていたイスラムの学者たちが、まず、ギリシャ時代の哲学・科学を研究して作り上げた「アラブ語での著作物」を、次いで、12世紀末までに、彼ら自身が「ラテン語に翻訳」したものなのです。
そして、これらの翻訳本が、後にやってくる〔主に、14~16世紀〕北イタリアの富裕な諸都市から始まったルネッサンスにおいての、ヘレニズム文化〔ギリシャ文化〕再発見の学問的土台になったということは、容易に推測されます。
→「添付資料」の中段部分を、ご参照ください。
注2. 英語における次の言葉は、アラビア語起源です。zero, (de)cipher, almanac, algebra, alchemy・・・→「添付資料」の下段
注3.更に、「数の計算」は、インド人の発明を発展させて、アラビア人が、現代の簡単な計算方式を編み出しました。→「添付資料」の上段
注4.商業に関する言葉も、今に使われ続けています。→「添付資料」の下段
(例)英語のtariff, magazine、フランス語のdounae
収支計算の出納帳も、アラビア人の創作によります。→「添付資料」の下段
The Arab merchants taught Christians how to keep accounts.
注5.数えられない名詞や抽象的な意味の名詞など、いわゆる不可算名詞も、例外的に(原則的に?)、形容詞・形容詞句などでその性質や状況が特定されていくと、〔具体的・具象的〕な事物へと転換すると考えられて、可算名詞化するとされています。
しかし、元来、ほとんど全部の名詞が、形容詞で修飾されなくとも、それ自体で、既に、抽象的・無形的な意味で使用されるのか、具体的・特定的な意味で使用されるのかの違いによって、不可算名詞として扱われもすれば、可算名詞としても扱われるという性質があります。
ですから、「形容詞・形容詞句などで特定化/具体化される場合」と断る必要もありませんし、逆に、形容詞で特定されても、頑として、不可算名詞として扱われ続ける”weather”などもあります。ところがそのweatherにも、「れっきとした例外がある!」と聞けば、もう、流石の貴方も、すっかりlabyrinthに迷い込んだ気分でしょう・・・
また、何が単数で、何が複数なのかの定義についても、うっかり「2個以上が複数!」などと単純な定義をしていると、2と1との間の小数や、1と0との間の小数が、すべて単数になってしまって、多くの複数表現に出会って吃驚してしまいますよ。ここでも原則と例外とが入り混じっての戦争に要注意です。
また、0はどちららに属しますか・・・例:zero times, zero degrees, zero hours,
大原則/不可算名詞、例外にまた例外あり
(a) weather
He remained a good friend in all weathers.
・ ・・運の良いときにも、悪いときにも, 英国では、「どんな天気でも」
✰ただし、adviceの場合は、against all advice
(b) fish, fruit・・・特に、「種類」をあらわすときは、複数可fruits
・・・魚屋さん・八百屋さん・水族館などでの多種類の魚・果物の販売・展示
(c) damage・・・「損害額」を意味するときは、damages
work・・・「作品」を意味・・・works可
paper・・・「書類document・文書・記録・資料・証明書」を意味するときは、papers
identification papers「身分証明書」
confidential papers「機密書類」
(d) sky・・・「空模様・天候/気候、風土」を意味するときは・・・skies
「[天国・heaven]を意味するときは、 the skies
注6-1.単複の区別は、完全ではない例、その1
as follows・・・「次の通りで(に)」・・・主語の時制や単数・複数の区別無く
The results are as follows : ・・・
注6-2.単複の区別は、完全ではない例、その2・・・ここでは、「彼ら」が、一塊で捉えられている。
Probably their minds were not focused on people at all. They were a blur of anger and hatred against something much bigger –society, organized life,” Western values, ” meaning any kind of advanced or industrialized society.
( The Japan Times on July 14,2005; an article written by David Howell: a former British Cabinet minister)
注6-3.単複の区別は、完全ではない例、その2・・・ここでも、複数個の主語が、補語では、一塊で捕らえられている。
Alfred’s innovations were a creative effort of government unique in Europe.
注6-4.単複の区別は、完全ではない例、その3・・・此処では、複数主語にもかかわらず、堂々と、三単現のsがつけられている。理由は、読者の耳に響きの良い強弱のリズム感を創出するためか?
With the decision to create an advance directive comes concerns about legal issues, particularly for those who travel frequently.
(The Washington Post)
注7.needの用法・・・文法書や辞書によれば、「助動詞的に、疑問文か否定文中で使われる。ただし、米国では、本動詞としても使われる。」とされています。しかし、次のような使用例もあります。
Twelfth-century Mongolia is as far back as a search for their origins need go.
( p.377 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)
〔肯定文中で、助動詞的に使用されている〕
注8.多様な例外事例、その(1)
[目的格の関係代名詞]に限らず、「主格の関係代名詞」もまた、[数種類]の場合で、省略されることがあります。
一例:Though they(=the ‘Franks’) were to abandon Constantinople and the ( Byzantine) emperors would be restored in 1261 the Franks wouldn’t again be cleared from the old Byzantine territories until a new conqueror came along, the Ottoman Turk. ( p.361 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)
※ 上記の2行目末尾は、通常は、“・・・the Franks which・・・”とされるところです。
一例:Taiwan looks down the ever-enlarging barrel of the People’s Republic of China, which stubbornly refuses to forswear the use of force against the proud island entity it frets is trending toward formal independence. (UCLA professor Tom Plate)
※ 上記の3行目は、通常は、“・・・entity which, it frets,・・・”とされるところです。
一例:There was no take-off into sustained growth such as the flowering of commerce and the emergence of moneyed men outside the ruling and military hierarchies might have seemed to promise.
( p.372 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)
※ 上記の3行目は、通常は、“・・・hierarchies that might ・・・”とされるところです。
注9.多様な例外事例、その(2)
「倒置」・・・数多くの場合と形態があり、それぞれ文法的にも重要ですが、
特に、(1)hardly, never, rarely, not only, onlyなどの否定の意味の副詞が、文頭で先行したときは、その後の文章は、「疑問文」の形式〔語順〕を取ることが普通です。
しかし、(2)特に「場所」(や「時」)を表す副詞句が文の先頭に来たときの「倒置」は、通常は、述語動詞だけが、主語に先行しますが、❶助動詞+本動詞・➋完了形(have+P.P.)・➌受身形(be+P.P.)であれば、これらがセットで、主語(主部)に先行します。ところが、その副詞や副詞句が、後に続く文章との間でコンマで区切られれば、倒置は起こりません。
例文: On them were built towns whose sites are still inhabited today.
( p.409 of ”The Penguin History of The World ” authored by J.M.ROBERTS)
注10.多様な例外事例、その(3)・・・時制の一致と例外
これも、どちらが原則で例外なのか、迷うほどです。「例外」に埋め込まれている共通法則による縛りが緩いため、歴史的な大事件の場合はともかくも、日常の出来事においても、どんどん例外が登場します。
注11.多様な例外事例、その(4)・・・仮定法
これは、英語の特有性であって、欠点ではないのですが、「仮定法」の時制や型についても、助動詞、とりわけwould, should, could, might など助動詞の過去形が、「現在・未来の推量」を表すことも多いため、一見すれば、「if節の現在時制」と「帰結節の過去時制」とが混在し、日本の学生たちをしばしば混乱させています。
注12.多様な例外事例、その(5)・・・「to不定詞」の”to”が省略される場合
The one thing women don’t do in South Africa, however, is tell their husbands to use condoms. (Ilene Wong, a physician at Stanford University Hospital and Clinics; “Safety net for poor women” The Japan Times on July 21,2005 )
注12.実際、私は,英語の文法に関して、英語研究の専門家である友人(2004年度・通訳ガイド試験合格)から次のような手紙をもらっています。
その要点は、英国の伝統では、「文法規則よりも、実際的適合性pragmatismこそ」が優先されるというものです。
I have attended the class of British culture once a week in Osaka.
I remember that according to the lecture featuring English grammar,
"Something which has helped the language in its adaptations has been
a tradition of pragmatism, which has meant that there is no English Academy
to legislate on questions of correctness. There is no big grammar book lays down the law. Actually, there is the Comprehensive Grammar of the English
Language written by Quirk, Greenbaum, Leech and Svartvic, but this book
describes how the language is used, not how it should be used.
In addition, although software makers such as Microsoft include grammar checkers in their word processing packages, most British people quite rightly ignore them, because they think the checkers are still fairly primitive. And British people fear of those grammar book and checkers becoming the grammar police." So the conclusion is that basic rules of grammar is necessary but people should put importance on pragmatism, I guess.
Thank you. See you.
Wednesday, July 06, 2005
Akihiro Kasagi
注13.その仮定法では、特に、各助動詞の意味する「可能性・実現度」の差に、注意を払う必要があります。
➊絶対的な実現可能性 [ must → will→ would ](可能性100%~90%)
❷かなり信頼できる可能性 [ ought to → should → can ](80%)
❸可能性は低い[ may → might → could ]〔50%以下〕
最新の「ジーニアス英和辞典」によれば、この9段階の順で、実現可能性が減少していくとされています。
この点は、英語の言語としての「論理性・科学性」主張の一つの根拠とされています。
注14.ラテン語・ギリシャ語系の一例
(a)philanthropy慈善事業, philharmonic音楽(好き)の, xenophilia 外国人好き、Philadelphiaフィラデルフィア・米国の都市名(兄弟愛) pedophilia小児愛, philosophy哲学,
(b)evangelist福音伝道者、apostle指導者、
(c) ’tain’ (保持する)を語幹とする重要語群・・・maintain, retain, detain, contain, sustain, entertain, obtain, captain
(d) star星, asterisk星印, astronaut宇宙飛行士
(e)’ten’(ピンと伸ばす)を語源とする重要語群・・・antenna, tend, tension, attend, attention, extend, extension, intend, intension, pretend, pretension, contend, contention,
(f)’cap’(頭)を語源とする重要語群・・・captain, capital, capitalize, capitalism, cape, caption, decapitate, decapitation,
(g)’di-’(二つに分かれる)を語源とする重要語群・・・dividend, diploma, diplomat, dividers, divide and rule, division, devisor, dialog, dioxide, diatomic, diverge, (h)’-cide’(殺す)を語源とする重要語群・・・suicidal, suicide pilot, pesticide, autocide, regicide, matricide, insecticide, homicide, parricide, herbicide, fungicide
(i) ‘geo’(地球・土地)を語源 geometry, geology, geopolitics
以上
平成17年7月14日 木曜日
岡村ゼミナール㈱社長
岡村寛三郎