絶対的幸福と相対的幸福(あんしん&安全) 全ての人間は尊厳を持っており、敬意と尊敬に値いします。

安全とはリスクが受容できるレベルより低いこと。
安心とは、リスクの存在を忘れることができている心理状態。

被爆者の声、核廃絶にどう生かす :被団協へのノーベル平和賞と日本政府の政策/長崎大学核兵器廃絶研究センター・鈴木達治郎教授に聞く 

2024年11月09日 12時01分01秒 | 核廃絶

被団協へのノーベル平和賞(授賞理由)

「核のタブー」確立に貢献

尾崎 コメント: 

今、一番求められていることは核兵器不使用の継続。

その次に核軍縮があり、さらにその先に核廃絶がある。

政治家や国が考えるだけでなく、市民から行動することも、もちろん必要!

要点箇条書き------------------  

1-核兵器使用を止めている鍵は核の抑止力ではなく、

被爆の実相を伝えている被爆者の声

2-政府は平和外交の柱の一つに「核兵器のない世界の実現」を掲げている。

3- 一方、安全保障については日米安保条約を基軸としている。

4-つまり、核廃絶をめざすが、核の抑止力に頼るというのが今の日本の立場だ。

そこに政府と被爆者の声とのギャップがある。

5-核抑止の立場を保つ限り廃絶はできない。

核抑止に依存する安全保障の仕組みを変えなければならない。

6-「『核の傘』によって日本は守られている」との主張があるが、

傘は実際には存在しない。

7-核の傘は、正式には「拡大核抑止」といい、撃たれたら撃ち返すという威嚇の話であって、撃たれた時点で甚大な被害は免れない。

核抑止は完璧ではないと理解する必要がある。

8-日本政府が取り組むべき政策は?
 核兵器国と非保有国の橋渡し役をしっかり担うべきだ。

9-核兵器禁止条約(核禁条約)について、政府は条約の参加国と核保有国の間に立ち、核抑止にはリスクがあり、長期的には核抑止から脱却するとの立場を明確にして、ある程度、条約に賛同の意思を示すべきだ。

10-被害者支援や環境修復は、ドイツのように条約の外からでも協力できる。

11-核抑止の依存度を下げる具体策も発信するべきだ。

例えば核兵器の先制不使用は、相手が撃たない限り撃たないので核抑止には矛盾しないが、核抑止の依存度や核兵器の役割も大きく下がるので核廃絶に向けた第一歩となる。全ての核兵器国が同時に先制不使用を表明できれば核戦争のリスクも減る。
12-北東アジア非核兵器地帯化も重要な目標の一つといえる。

非核兵器地帯は、いわゆる「消極的安全保証」、すなわち核兵器国が非保有国に核で攻撃したり威嚇したりしないことを国際法上約束する仕組みだ。

そうすれば核の傘の必要性は大きく減ってくる。

--------以下 2024/11/09  公明新聞 本文----------------------

土曜特集―被爆者の声、核廃絶にどう生かす 

被団協へのノーベル平和賞と日本政府の政策

/長崎大学核兵器廃絶研究センター・鈴木達治郎教授に聞く 

2024/11/09 4面  

 今年のノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が選ばれ、ノルウェーの首都オスロで12月10日、授賞式が行われる。被爆者の立場から世界に核兵器廃絶を訴えてきた活動が高く評価された一方で、日本の核廃絶の取り組みには限界があるとの指摘もある。今回の受賞を踏まえ、被爆者の声をどう生かすか。課題や今後の取り組みについて、長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎教授に聞いた。

(受賞の意義)不使用へ強いメッセージ


 ――日本被団協の平和賞受賞の意義は。
 鈴木達治郎教授 今回の受賞理由では、核兵器を二度と使ってはならないという「核のタブー」との言葉が繰り返された。核のタブーが破られようとする中で、核兵器使用を止めている鍵は核の抑止力ではなく、被爆の実相を伝えている被爆者の声だ。受賞を通じて、核兵器は絶対使われてはならないという国際規範を今後も守り続ける重要性が、世界に改めて訴えられた。


 ――今回の受賞は、核兵器のない世界へのターニングポイントとなるか。
 鈴木 契機になり得る。ただ、一気に国際情勢が変わるといった過度な期待をしてもならない。これまでも、核兵器関連では「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)や、世界的な科学者集団「パグウォッシュ会議」などが受賞しており、そのたびに、核兵器のない世界をめざすとの世界の共通ゴールが認識されてきた。しかし今回は、核軍縮に逆行し、核兵器使用のリスクが高まる状況の中で、核兵器を使わせないためのメッセージだ。それを一番強く伝えることができるのが被爆者だ。

(現状と課題)「抑止」では被害を免れず


 ――日本政府の核廃絶に向けた立場は。
 鈴木 政府は平和外交の柱の一つに「核兵器のない世界の実現」を掲げている。一方、安全保障については日米安保条約を基軸としている。つまり、核廃絶をめざすが、核の抑止力に頼るというのが今の日本の立場だ。そこに政府と被爆者の声とのギャップがある。核抑止の立場を保つ限り廃絶はできない。核抑止に依存する安全保障の仕組みを変えなければならない。

 「『核の傘』によって日本は守られている」との主張があるが、傘は実際には存在しない。核の傘は、正式には「拡大核抑止」といい、撃たれたら撃ち返すという威嚇の話であって、撃たれた時点で甚大な被害は免れない。核抑止は完璧ではないと理解する必要がある。

 ――一部で「核共有」の声も上がっているが。

 鈴木 もし北大西洋条約機構(NATO)諸国のようなものを日本がやるとすれば、非核三原則を見直さなければならない。また、NATOの核共有は核不拡散条約(NPT)ができる前に合意したもので、できてからは核共有をやった国は一つもない(注=ロシアがベラルーシに核兵器を配備したとされているが未確認)。核兵器廃絶をめざし、NPTが大事だと言っている日本が核共有を言えば、NPT違反との国際的批判を受け、信頼も落とすことになるだろう。

(取るべき道)禁止条約賛同の意思示せ

 ――日本政府が取り組むべき政策は。

 鈴木 核兵器国と非保有国の橋渡し役をしっかり担うべきだ。核兵器禁止条約(核禁条約)について、政府は条約の参加国と核保有国の間に立ち、核抑止にはリスクがあり、長期的には核抑止から脱却するとの立場を明確にして、ある程度、条約に賛同の意思を示すべきだ。被害者支援や環境修復は、ドイツのように条約の外からでも協力できる。

 核抑止の依存度を下げる具体策も発信するべきだ。例えば核兵器の先制不使用は、相手が撃たない限り撃たないので核抑止には矛盾しないが、核抑止の依存度や核兵器の役割も大きく下がるので核廃絶に向けた第一歩となる。全ての核兵器国が同時に先制不使用を表明できれば核戦争のリスクも減る。

 北東アジア非核兵器地帯化も重要な目標の一つといえる。非核兵器地帯は、いわゆる「消極的安全保証」、すなわち核兵器国が非保有国に核で攻撃したり威嚇したりしないことを国際法上約束する仕組みだ。そうすれば核の傘の必要性は大きく減ってくる。非核三原則の信頼性も大きく高まるだろう。

 核兵器の非人道性に関する国際会議を日本が主催するのもいいだろう。

 ――平和外交でできることは。

 鈴木 誤解などが核兵器の使用を引き起こす可能性があり、緊張が増すと相手国のミサイルを核兵器と勘違いしたりする恐れもある。核兵器の使用リスクを下げるための対話を密にするべきだ。

(次代への継承)現地に招き、実相伝えよ

 ――若者など次世代への継承については。

 鈴木 岸田文雄前首相が提案・実現した、核廃絶に向けた若手リーダーの育成をめざす国連の「ユース非核リーダー基金」は良い取り組みだ。次世代の人たちに現地で被爆の実相を知ってもらうことで、核のタブーの永続的な維持に大きく貢献できる。

 ――市民社会にできることは。

 鈴木 安全保障政策でも市民参加が重要だ。

 オランダでは市民から請願書が国会に提出され、ある一定条件が満たされると、国会で議題として扱われる可能性がある。核禁条約へのオブザーバー参加を求める声が出て議会で検討した結果、オブザーバー参加することになった。このように市民の幅広い意見を取り入れる方向になればよい。

 ――公明党は、来春をめざして、核廃絶などを柱とする「平和創出ビジョン」を策定する。

 鈴木 目標で終わらせず、核兵器とその役割を減らす具体策を提言してほしい。今、一番求められていることは核兵器不使用の継続であり、そのために何をするべきか真剣に考えることが重要だ。その次に核軍縮があり、さらにその先に核廃絶がある。政治家や国が考えるだけでなく、市民から行動することも、もちろん必要だ。「長崎を最後の被爆地に」との言葉を世界中の人が言える取り組みを進めてほしい。


 すずき・たつじろう 1951年生まれ。東京大学工学部原子力工学科卒。米マサチューセッツ工科大学修士課程修了。2010年1月から14年3月まで内閣府原子力委員会委員長代理を務め、14年より現職。「パグウォッシュ会議」評議員。著書に『第三の核時代:破滅リスクからの脱却』(共著)、『核兵器と原発』(単著)など多数。


被団協へのノーベル平和賞(授賞理由)

「核のタブー」確立に貢献
 広島と長崎の原爆の生存者「ヒバクシャ」による草の根運動に取り組んできた日本被団協は、核兵器のない世界の実現をめざして尽力し、核兵器が二度と使われてはならないことを目撃証言を通じて身をもって示してきたことが評価され、平和賞を受賞します。
 1945年8月の原爆投下を受け、核兵器使用がもたらす壊滅的な人道的結末に対する認識を高めようと、たゆまず活動する世界的な運動が巻き起こりました。次第に、核兵器使用は道義的に容認できないと非難する強力な国際規範が形成され、この規範は「核のタブー」として知られるようになりました。
 (中略)
 日本被団協や被爆者のその他代表らの並々ならぬ努力が、核のタブーの確立に大きく貢献しました。それゆえ、核兵器使用に対するこのタブーが今、圧力にさらされていることは憂慮すべきことです。
 (中略)
 日本被団協は、何千件もの目撃証言を提供し、決議採択や世論への訴え掛けを行い、国連やさまざまな平和会議に毎年代表団を派遣して、核軍縮の差し迫った必要性を世界に訴えてきました。
 (中略)
 人類の平和な未来の必須条件である核のタブーを保持することに彼らは貢献しています。(ノルウェー・ノーベル委員会プレスリリースから抜粋) 

 

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