カロチンが肝細胞の老化を防ぐ
にんじんは、体内でビタミンAとして使われるカロチンが多いことで知られています。
カロチンは小腸や肝臓で必要に応じてビタミンAに変換されて使われます。
ビタミンAは皮膚、口、鼻、目、消化管などのなめらかな表面を持った組織で、重要な働きをします。
たとえば、目の角膜の細胞分化を促す働きをして、これが夜盲症(トリ目)の予防になります。
粘膜では、粘膜の分泌を促して乾燥を防ぎ、感染症にかかりにくくします。
肌がなめらかなのもビタミンAが大きく関係しています。
また、抗酸化といって、からだの中にある物質が、酸化し、変質するのを防ぐ働きもあります。
この働きは、肝臓の機能を助け肥満、高脂血症、動脈硬化などのある人では、その脂質の酸化を防いで
悪化させないようにします。
またある種のがんは、体内の物質の酸化や変質できるといわれていますので、ビタミンAは間接的に
がんの予防をするとまでいわれています。さらに、腸の有用菌を増殖するのにも関係しています。
これが発がん物質などのできるのを抑えますから、がんの予防と便秘の解消に役立ちます。
にんじんの葉も、素晴らしい栄養食品です。タンパク質は、根の3倍、カルシウムは根の5倍あり、
鉄分も多く、貧血ぎみの人は根とともに葉も食べてほしいものです。
ちなみに、にんじんのカロチンの吸収率は、生食では8%と低いのに対し、加熱すると煮た場合で
30%、油で調理すると50%~70%と倍になります。その理由は、カロチンが脂溶性のビタミンで
あるため、吸収されやすくなります。
〔注〕 『クスリになる食べもの百科』(主婦の友社・刊)より引用しました