うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

約束の指輪

2024年08月10日 20時47分26秒 | ノベルズ
ファウンデーションとの大規模戦争後、数か月が過ぎたころだった。
俺は相変らずターミナルで世界情勢を見極め、キラはラクスとアカツキ島の別荘で、静かに過ごしていた。
隠遁生活を送りながらも、キラの希望で現在の世界情勢についてや、開発した新装備の情報などを、こうして時々俺と情報交換をしている。
この日もそんな話を進めていた時だった。

<そういえば、アスランってさ、>
「え?」
通信途中で、いきなりキラが尋ねてきた。
<指輪のサイズ、どうやって知ったの?>
突然降って湧いたような疑問をぶつけられ、俺はその意図を探る。
キラのことだ。ラクスにサプライズで指輪を贈るつもりなのだろう。
元婚約者といっても、まだそこまで具体的な話は進んでいなかったこともあり、俺はラクスの指のサイズまでは知らない。
「実は俺もラクスの指輪のサイズは知らないんだ。参考にならなくて済まないが―――」
<何言っているのさ。違うよ。カガリの薬指のサイズ、いつどうやって知ったの?ってこと。>
「っ!」
少し不機嫌にキラが問い詰めてきて、俺は言葉に詰まる。

カガリに贈った指輪のことは、キラやラクスも知っている。
何しろカガリ自身が、ユウナとの結婚を決めた時、俺に指輪を返すように二人に頼んだそうだから。
それを後から聞いて、俺の心は一気に酷く落ち込んだ。俗にいう「デバフがかかる」ということだろうか。
加えてオーブ・地球連合軍と対峙したクレタで、「カガリは今泣いているんだ!」とキラが怒気を込めて叫んできた。通信チャンネルをオンにすれば、ルージュの中で泣き叫ぶカガリの声。
あれで俺の戦意は完全に喪失した。水底に沈むセイバーの中で、ただ茫然実質としていた俺は本当に滑稽だっただろう。
やがて議長への湧き出てくる疑問にザフトを脱走し、アークエンジェルでカガリと再会した。泣きぬれた顔で、俺の手を握り締めてくれるその指に、未だあの指輪をはめてくれていることが嬉しくて。
(―――「死にたいような気分だが…残念ながら、大丈夫みたいだ。」)
彼女にだけは吐ける弱音。つい拗ねたり甘えてみたりしてしまった。「大人びていて優秀で品行方正なアスラン・ザラ」は一体どこに行ったのかと、自分でもおかしくなるくらいに。
言葉にできない想いも、あの指輪と、そして俺の胸の上で輝くハウメアの守り石を通して語り合ってくれているようで。
だがメサイア攻防戦を前に、カガリが自らその会話を閉じた―――指輪を外したその姿を見て、俺も覚悟を決めた。
(これは別れじゃない。もし本当に別れるつもりなら、カガリはあの時の様に、俺に指輪を返してくれたはずだ。でも外しただけで、俺には返してくれていない。ということは…)

―――「別の道に進んでも、二人の夢が同じなら、またいつかきっと…」―――

その時が来たら、きっと彼女はまた指輪をしてくれる。
それまで俺はいつまでも待つ。彼女のことを―――


―――続きはこちらから。


***


また支部の方に小話をUPしてみました。
こちらでも話しましたが、8月1日にSTRICT-GとTHE KISSさんのコラボによる、「アスランがカガリに贈った指輪」と「ラクスの指輪」と「オルフェの指輪」が発売発表になりましたので、たびたび指輪の話は書いてきましたが、改めて公式リアル指輪をモチーフにしてみました。監督曰く、「あの指輪は3,000円くらいのもので、互いのちぐはぐな思いを形にしたもの」ということでしたが、今回のは13,200円という、少しお高めの指輪です。
5ちゃんとかですと「アスランの指輪本体¥3,000+カガリが買ったリングケース¥10,200(税込み)」とか書かれていました(苦笑)けれど、そこに監督が「指輪のサイズは9号」と言っていた、とやはり5ちゃんに記載がありましたので、「どう考えても9号の細指でMSの操縦桿握っていたとは思えない」ということ。そして3,000円であろうと、アスランの想いのこもったカガリへの最初のプレゼントだもの、捨てたりはしないはず。でも、流石に運命の時みたいに、公の場に3,000円の指輪をしては行かないだろうな…と思って、ちょっとすべてを網羅したパターンを書いてみました。当然、双子誕生記念舞台挨拶でかの石田彰氏が「手作り指輪」の話(※ハウメアの守り石を削り、FAITHのバッジを溶かして指輪を作る)も考慮してみました♥(´∀`*)ウフフ

・・・にしても、本当にアスランはどうやってカガリの指のサイズ、知ったんでしょう?
寧ろ監督にはこの疑問を解明していただきたい(笑)
「本能で判ったんです!」とか来たら凄いな✨ どこのスパコにも負けない!カガリに関することであれば、髪の先から足のつま先まで見ただけで、一瞬でアスランの脳内データベース(※カガリ専用)に蓄積&改定保存されていくんだろうか。
設定に無理があるときは、何でも「コーディネーターだから」でうやむやにできる(苦笑) コーディー…なんて便利設定♥( ̄▽ ̄)
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貴方だけの特効薬

2024年07月27日 16時27分21秒 | ノベルズ
「アスランさん、凄い熱ですよ!」
<ピー!>という電子音に、靄がかかったような意識から何とか重い瞼を開いていく。
見れば、メイリンが体温計を見ながら、どうしたらよいのか慌てている。
昨日まで風雨の中、潜入調査を続けていたせいだろうか。場所が場所だけに女性であるメイリンを危険地帯に潜ませるわけにはいかず、ターゲットが動き出すまで三日三晩、ろくに飲食せず調査を続けていた。ようやくまとまった報告ができ、コンソールで送信したところまでは覚えているが、そこから先の記憶がない。
一体、何時ベッドに横になったのだろう。
俺が起きてこないことを訝しんだらしいメイリンが俺を見て、青い顔になったところで、また意識が混濁した。
そして先ほどの電子音がはじき出したらしい、俺の現在の体温は39.2℃。
「大丈夫だ。このくらい。今日の任務に戻らないと・・・」
ようやく動きを掴んだところなんだ。この後の情報如何で、どれだけ彼女が助かるだろうかと思えば、この機を逃すわけにはいかない。
起き上がろうとする俺の身体を、何とかベッドに押しとどめようとするメイリン。
「駄目です!キラさんも言っていましたけど、アスランさんの「大丈夫」は「大丈夫じゃない」って!」
「いや、本当に大丈夫だから・・・」
そう言ってまたも起き上がろうとするが、身体が言うことを聞かない。
「ちゃんと寝ていてください。でないとカガリさんに言いつけますよ?」
「それは困る。」
『カガリ』―――その名を聞いて、瞬間的に脳と体が反応する。
彼女を助けたくてこうして無茶を承知で任務にあたったんだ。でも彼女なら俺の状況を聞いて、直ぐに察するだろう。

―――「私がお前を無理させてしまった」と―――

一番守りたい人を心配させてどうする。
だから猶更、起きて定時連絡をしないと。
「なぁ、メイリン。」
「なんですか?」
「カガリに、俺が倒れたこと連絡しないでほしいんだが。」
「でも・・・」
「頼む。心配かけたくないんだ。」
「・・・わかりました。でもそれまでは、きちんと寝ていてくださいね?」
そう言ってメイリンは解熱剤と水の入ったグラスを用意してくれる。
キャバリアーの中には救急の医療セットも整っている。その点非常にありがたい。
「もし、俺が定時に起きなかったら、起こしてくれないか?」
「はぁ~・・・了解です。ともかくそれまでは、キチンとおやすみになってください。」
そう言ってメイリンが空のグラスを下げて部屋を出ていく。
一人になって、無音の部屋で一人、白い無機質な天井を見るのも飽きて、右腕で目を覆い隠す。
「一体何年ぶりだ?こんなに発熱するなんて。」
自問自答しながら呆れる。コーディネーターの俺が、そんな程度で倒れるわけにはいかないのに。
そういえば、アカデミーで射撃のテストの日も、発熱したことがあったな。イザークが「俺が一番だ!」と散々自慢してきたっけ。
苦かった思い出が、一周回って懐かしい。そう思いながら、また心地の悪い意識の混濁に落ちていった。


―――続きはこちらから。


***


ちょこっとだけ短編かき上げてみたので、支部のほうにUPしてみました。
お目汚し品ですが、お気が向きましたらどうぞv
以前もアスランが倒れた話は書いたことありましたが、前提が既にアスカガ結婚後の設定でしたので、こうして本編沿いの任務中のifを書いたのは今回が初めてかな。
普段が完璧なのに、体調が思わしくないと、弱音はいちゃうときってありますよね。ましてやアスランはプライド高いので、絶対に誰にも言わない。たった一人、『カガリ』という人を除いては・・・
無人島の時はそうでもありませんでしたが、#31の慟哭の空で、カガリの前で散々泣いて弱音も悲しさも悔しさも、綯交ぜになった感情を吐き出せたのが大きいと思います。ちゃんとそれに耳を傾けて、その上で説教(ある意味これがアスランの薬になった気がします)かましてくれた、真っ直ぐなカガリ。彼女がいわばアスランのプライドとか、大人から見た「いい子」である道を通ってきたアスランを、一回ぶっ壊してくれましたもんね。止めはラクス様が刺してくれましたが(苦笑)それがアスランの視野やモラトリウムの立て直しにつながっていくわけですから。
精々甘えるがよろしい♥(笑)

***

そして、昨夜未明からパリオリンピックが始まりましたね(^^ゞ
開会式は録画で見ましたけど、セーヌ川から入場とか、聖火ランナーがあんな風にバザールの屋根の上を走ってきたりするとか、最後はコンシェルジュリーでエレキギター、ガンガンかき鳴らしたり…マリーアントワネットもびっくりですよ(237年前なら)💦
でも、フランスの歴史だったり、今でも世界の先端を行くファッションやブランド品を作っている様子や、街自体がもう芸術品みたいなのを追ってくださったので、日本に居ながらにしてパリを楽しめた感じです♥ いつもなら競技場で行われる開会式が、コンコルド広場という離れた場所で行われたのもまた斬新。いいよね、開会式のチケット争奪戦にならずとも、セーヌ川沿岸で無料で選手入場も見られますし。レーザーバリバリのエッフェル塔も初めて見たわ✨ 大阪万博公園の太陽の塔の「目からビーム!」を思い出してしまったわ(笑)
これから熱戦が始まりますね!選手の皆さん、頑張ってください!(*≧▽≦*)ノシ

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アスハの地下の懲りない面々

2024年07月20日 21時43分33秒 | ノベルズ
それはアスランが、ターミナルに出向する数か月前のこと。

アカツキ島地下秘密ドッグで、赤いジャケットの女性が深紅の機体を見上げていた。
「どう?試験段階だったんだけど、貴方のことだからきっとターミナルにも持っていくことになるだろうからって、アスハ代表から言われて、全天周型のモニター式コクピットにしてみたんだけど。」
そういってエリカ・シモンズは、コクピットから降りてくる男性に向かって得意気な視線を送れば、近づいてきた彼の翡翠が細まった。
「確かにこの改良されたインフィニットジャスティスを持っていければと思います。シモンズ主任開発の『キャバリア―アイフィリット0』と共に使えれば、これに越したことはありません。ただ…」
「『ただ』?」
期待したほどの返事が来なくて、エリカはやや鼻白む。
彼、アスラン・ザラはその視線に応えず、今降りたばかりの機体を見上げたまま、粛々と考えを並べた。
「今現在の情勢下での運用は難しいと思っています。先ずは、この機体が核エンジン搭載機だということです。確かにオーブはユニウス条約に加盟はしていませんが、ターミナルの資質を考えると、地球上でこの機体での隠密性はかなり低くなります。それだけでなくとも、メサイア防衛戦で目にしている人も多いですし。」
はっきり言ってしまえば、インフィニットジャスティスはオーブ、いや、地球をレクイエムから救った英勇機だ。兵士はともかく一般人でもニュースで戦況を視聴していたなら、この機体に対する認知度は非常に高い。
それを誇らしく語るでもなく、控えめに表現するのは、彼の良いところでもあり悪いところでもある。
「それに」
アスランはなおも続けた。
「目下の調査対象となるブルーコスモスのミケール大佐は、ユーラシア近辺を中心に活動していると聞きます。そうなると潜入調査として有効な手段は海、あるいは川といった水中からの潜入です。」
3年前、ザフトでオーブに潜入した際も、海からだったことをアスランは思い出す。陸上の移動より、見つかりにくい水中からの方がリスクは格段に少なくなる。だが―――
「となると、ここで最大の問題が出てきます。」
「それは?」
エリカがやや気忙しく答えを求めれば、アスランは彼女に向き合って答えた。
「”水圧”です。」
「…。」
エリカは目を見開く。そういえばこの機体特性なら地上、および空中戦がメインだ。
アスランは尚も続ける。
「赤色は水深200mを超えると可視光線が届かなくなり、その分、赤が一番目立たなくなるので、機体の色は問題ありません。ですが、あくまで地上と宇宙を想定した機体なので、機体ごと潜入となると、装甲が水圧に耐えられるかどうか。それに機体の形状からいって、動水圧(※川のように流れる水から受ける圧力)どころか静水圧(※プールのように、動きのない水から受ける圧力)だったとしても、凹凸の多い機体ですから、移動時に機体周囲で対流が起こる可能性も考えられます。そうなると、かかる抵抗はことのほか大きくなると思われるので、そんな中、もし戦闘となると、機体操作は俺でも厳しいかと。」
アスランの指摘はもっともだ、とエリカも考え込む。
「でも、正直言って、オーブは海中用のMSやMAは開発が遅れているのよ。何分、貴方もご存知通り、うちの海軍は非常に優秀だから。」
するとアスランも頷く。
「ザフトでも、グーンをはじめ、いくつかの水中戦を想定したMSの開発はありましたが、流石にインフィニットジャスティスのような機能性はありませんでしたし。」
何しろこの機体は、キラがアスラン専用として設計してくれたものだ。基本的にはオールラウンドだが、近接戦闘に特化した高速機は、アスランでなければ扱えない。
だからこそ、あのシンのデスティニーを抑えることができたのだが。すると、
「機能性と隠密性ね。確かに…だったら設計した本人に聞いてみましょうか?」
「え?」
ことさらサラリと答えるエリカは、アスランを置いて、さっさと通信を入れた。
すると
<あ、インフィニットジャスティスですか? 確かに僕が設計はしましたけれど、実際に元々のジャスティスを作ったのはハインライン大尉ですし、僕はそこに更に機体性能を向上させるよう調整した形なので。相談するなら、ちょっと癖のある人ですけど、彼の方がいいと思うんで、僕から聞いておきましょうか?>
「よかったわ。よろしく頼むわね!」
あっさりとエリカとキラの間で交渉成立。普段から二人はOSの件でやり取りしているとは聞いたが、それにしてもこんなに簡単に?
アスランが驚いていた数分後、今度は初めて見る人物から通信が入った。
<先ほどヤマト准将からご紹介いただきました、アルバート・ハインラインです。>
コンパスきっての技術大尉、ということは技官としては一番階級も高い。ザフトでも機体設計で名前だけはアスランも聞き覚えがあるが、どういった人物かまでは流石に知らなかった。
「モルゲンレーテ開発部主任のエリカ・シモンズです。今回はあり―――」
<早速ですが、准将から伺っておりますので、後日そちらに向かわせていただきます。ブツッ>
「…」
「…切れちゃったわね。」
早口でまくしたてられた後、話したいことだけ話して通信を切られ、エリカとアスランは呆気にとられるしかなかった。


だがもっと呆気にとられることとなった。
通信を終えて18時間37分46秒後、
「改めまして、アルバート・ハインラインです。」
どデカい輸送機と共に、彼はオーブにやってきた。
「こちらこそ。エリカ・シモンズです。」
突如の来訪に、パニックになりかけた頭を整理して、挨拶するエリカ。続いてアスランも挨拶しようと右手を差し出す。
「私は―――」
「アスラン・ザラ一佐のことは存じてますので、以下略で。」
噂通り、本当に一分一秒、自分にとって無駄と思われる時間は作りたくないらしい。
握手のために差し出したアスランの手を、華麗にスルーしていった。
そのままドッグに入った彼は、深紅の機体を見上げる。
「インフィニットジャスティス…これを水中でも稼動させられるように、との准将からの説明でしたが。」
アスランが慌てて彼の隣に立ち、説明を加える。
「えぇ。潜入調査となると、どうしても水中での稼動の必要があります。そうすると水圧が影響しますから、装甲の厚さと形状が問題になると思われるので。」
「ふむ…」
ハインラインは顎に当てた右手の親指で唇を撫でると、10秒もしないうちにタブレットを開きながら、目も合わせず、突然アスランに問い質した。
「一佐の身長と体重は?」
「…え?」
「できましたら体脂肪率もお聞かせください。」
「えと、174㎝で体重は60㎏、体脂肪率は7%ですが。それが何か?」
アスランの疑問の声は彼の優秀な耳に入れなかったのか、ハインラインはキラ顔負けのハイスピードで入力すると、更に矢継ぎ早に質問を重ねる。
「握力、および背筋力は?」
「握力は右が72.5㎏ 左が71.8㎏。背筋は確か128㎏…」
「素晴らしい!」
「は?」
目を輝かせたハインラインは、先ほどはスルーされたアスランの手を握り締めてきた。
「若干の油圧調節が必要となりますが、それだけの筋力があれば、多少機体が重くなってもポテンシャルを維持することできます!」
そう言ってハインラインは、デカい輸送機から「もっと丁寧に、慎重に運び入れて下さい!そこ、ぶつからないように!」と檄を飛ばして重そうな機材を持ち運んだ。と、するやいなや
「一佐。私としては、このような感じで仕上げたいと。」
そういって手元のタブレットで何やら設計図らしきものを差し出し、アスランとエリカに見せつける。
どうやらインフィニットジャスティスに、外装を着ける方向性らしい。
アスランは目を見開く。
外装パーツとまでは考え付かなかった。
それで体脂肪、というより筋肉量を聞いてきたのか。外装の分、機体は重くなる。ましてや水圧に耐える重さでは、アスランの筋力もジャスティス操縦時の比ではなくなる。
そこまで考えてくるとは流石だ。キラが頼りにするだけのことはある。
「でもこのサイズですと、私どもの作ったキャバリアーへのセッティングがありますので、機体重量はこの辺にとどめ置いていただければ。」
今度はエリカの方が見せたノートPCの画面を見て、ハインラインの目の奥が輝きだす。
「ふむ。そうしますと単機で空中を飛ばす場合は、超高速戦闘対応型ウイングを外付けすれば、一佐のスピードを活かすに良いでしょう。」
「えぇ、それならM2X32E フォランテス をすでに用意しておりますわ。核エンジンから直結したバーニアで、ロスタイムはコンマ5秒、空中でのスピードも重力加速度9.80665m/s下で250km/hまでは十分可能です。」
同じくエリカの目も俄然輝き出す。
「なるほど。准将から聞き及んではおりましたが、なかなかやり手でいらっしゃる。シモンズ主任。」
「貴方こそ。ハインライン大尉。」
「「フフフ✨」」と笑いあう二人の背中からオーラが立ち昇るのを、アスランの目が見逃すはずがなかった。

エリカとハインラインはその場で役割を分担する。アスランはパイロットとして、二人に注文を付ける役割となった。
「そうなると、ザラ一佐。」
エリカがアスランを呼ぶ。
「あ、はい。」
「武器としては、インフィニットジャスティスをこのように改良しておこうと思うんだけど。」
ノートPCに表示されたそれを見て、アスランは面食らった。
「あの…これってほぼ『全身刃物』じゃないですか!」
見ればいつものビームサーベル アクータラケルタ以外、脚やらフォランテスやら、いたるところにレーザー刃の赤いマークがついている。
「でも貴方、ヤマト准将と同じくらい足癖悪いし、だったら両脚にトーニトゥルス ビーム重斬脚つけておけば、貴方なら使いこなせるでしょう?ついでにフォランテスの羽根に全部ビームライザー つけましょうよ。しかも前後変換式で!」
何でデスティーを倒したとき、足で蹴り飛ばした、ということをエリカは知っているのだろうか?
それとも機体に残った傷を見ただけで、名医のようにMSの不良部分も見極められるのか?
(そういえば、カガリから主任はコーディネーターだとは聞いていたが…)
MS開発に可能な物理の数式が、全て頭の中で暗算できているとしか思えない。だが、嬉々として、PCの設計図の中に武器を仕込んでいく姿は、技術士というより趣味を拗らせた職人としか思えない。
更に
<ガーーーーーーッ!>
「そこっ!コンマ2㎜の凹凸があります。気を付けて! …全く、わずかな凹凸がスピードに影響する以上、ミクロンの誤差も許せないというのに。」
重機音に負けないハインラインの愚痴兼、早口指示の効果か、いつの間にか足元にあったどデカい機材が、どんどん組み立てられていく。
既にインフィニットジャスティスの足元は分厚い同色の装甲に覆われ、その上にチューブ状の銀色のパーツが重ねられていた。すると、
「一佐。水中での可動として、希望されるスピードはどのくらいでしょうか?」
ハインラインがタブレットの画面を叩きながら、顔も上げずにアスランに問う。
エリカとハインラインの脳内に描かれているMSの完成図は、もはや操縦者であるアスランは半分置いて行かれている気がするが。
(だったら少しでも俺の意見を通していくしかないじゃないか!)
元々好きなものはマイクロユニットだが、技術職としてもポテンシャルは高い。負けてなるものか!
「でしたら、水中、淡水・海水の浮力差と、ほぼ流れのある場所になる筈ですので動水圧を考慮に入れつつ80.99kn台で。そのために極力ボディは曲線状にして。」
「了解です。」
そう言いながら、手元のキーボードを素早く打ち込むハインライン。
「できれば『カニ』っぽく。」
「『カニ』ですか?」
「えぇ。」
アスランは念押しのように強調する。
「カニの形は動水圧に最も負荷のかからない形と言えます。魚のように薄ければそれに越したことはありませんが、流石にインフィニットジャスティスを中に入れるとなると、魚類体形にするのは無理がありますし。」
「なんと、それは奥深い!地球上の生物は侮りがたし!これは研究に一見の価値ありです。」
左目側の赤いレンズをカチャリと指先で直しながら、ハインラインは感嘆の声を上げて再び猛然とキーボードを叩く。アスランは話を続ける。
「さらに調査対象の国の近海には、海底谷があることも想定して、水深200m、1961.3kPaに耐えうるように。」
「水中環境を利用しての設定ですね。了解です。」
「水流に対応可能な武器があれば、なお助かります。この形状ではサーベルを持ってもジャスティスほど可動域が広くないので、できれば直接腕に着けるブレードがあればいいかと。」
「わかりました。」
「あと、ソナー感知を避けるためのディフューザーを。先程のフォランテスへの接合信号はオートで10秒を切るように。 フォランテスとのアンリビカルケーブルはこの位置に。これならコンマ2秒で直接インフィニットジャスティスに接続可能です。」
「流石です。」
「それから装甲の色は、海底で最も目立たない赤色で。」
「成る程。それなら中のインフィニットジャスティスとも見分けが付きませんね。」
「パージの時は―――」
「敵に隙を突かれやすいですからね。爆発したように見せた光と煙幕を外装にだけ施そうかと。」
「お願いします。」
画面に見て、的確に指示を出すアスランの横顔を見ながら、ハインラインの口角が上がる。自分の話を分かってくれるのはヤマト准将だけかと思いきや、こんな場所にこんな面白い人物が2人もいるなんて!
それに、音に聞こえしモルゲンレーテの仕事の速さと丁寧さよ!
「これなら、私の願った通りの仕事ができる!一佐、」
「は、はい。」
「今、取り付けている外装は、ザフトで開発した私の最高傑作の水中専用MSです。ですが結局、実用化の前に戦争が終結を見ましたので、実際にこうして外装だけでも組み上げるのは初めてになりますが、私は自信をもってお勧めします。 故に、型式番号はザフトのものをそのまま流用しますが、よろしいでしょうか?」
「え、えぇ。今度出向するターミナルは、元々プラントも携わっていますので、問題ないかと。」
「かしこまりました。ならばこの機体、ザラ一佐専用MSとして登録します。型式番号『ZGMF-MM07』、その名も『Z’GOK』です!」
「『ズゴック』、ですか?」
「はい!私がかつて考えた『Z.A.F.T.'God of Knight』の頭文字をとって命名したのですが、Zala's God of Knight』として新たに命名しましょう✨」
両手を広げ、朗々と読み上げるハインラインと、テンションについていけず、ぽかんと口を開けたままのアスラン。
すると
「ザラ一佐。」
隙を見てエリカが呼ぶ。こちらもワクワクしていそうだ。
「今度は何ですか…」
「インフィニットジャスティス…いいえ、新たに改装した部分もあるから、『弐式』とつけておきましょう。この弐式に着ける武器を色々用意したんだけど―――」
「両足とウイングにビームまでは聞きましたが、それ以外にも、ですか?」
「そう!今レールガンとスコルピオとビーム砲と用意したけど、あと何が欲しいかしら?」
「その前に、重量は平気なんですか?」
「もちろん!制限越えたのなら、むしろキャバリア―に積ませておいて、必要時に換装できるようにすればいいだけだし。貴方ならいくらでも使いこなせると思うから、使えそうなのどんどん入れちゃうから♪」
ノリノリのエリカ。すると今度は突然、アスランの背後で悲鳴が轟いた。
「なんと!しまった、私としたことが!!」
振り返れば、頭を抱えて崩れ落ちるハインライン。
「どうしたんですか!?」
アスランが駆け寄ると、ハインラインは四つ這いになってうなだれたまま、フルフルと震えたままの右手を上げ、人差し指だけでその場所を示す。
「ズゴックの頭の…上?」
アスランが見上げると、そこには
「あの…”角”でしょうか?」
アスランも見覚えのない白い角を見て、ハインラインは嘆いた。
「水圧にも負けない、美しい流線形にするつもりが、あの角が!あの角だけがどうにも収まってくれない!!!」
「はぁ。」
動作確認の試乗者だろうか。ズゴックの大きな鍵爪で、頭の上の角をチョイチョイと突いている。
どうにも事前にキラから聞いていたインフィニットジャスティスの全長を見越して、ハインラインが持ち込んだ外装のズゴックの大きさが合わず、あの部分だけはみ出てしまうらしい。
嘆くハインラインが、縋るようにアスランに食って掛かる。
「どうしてあんな角が、あそこにあるんですか!?」
「と、言われましても…」
インフィニットジャスティスの時は、確かにあの角はなかったはず。となると付けたのは―――
「どうしても付けたかったのよ。折角の武装だから、あそこにもビーム付けようかと思って♪」
「シモンズ主任…」
アスランがため息交じりにその名を呼ぶと、今度はハインラインが彼女に向かって絶叫する。
「あれは何とかならんのですかっ!?あれがあることで、0.38の水流抵抗が出発生し、そうすると80.99kn、つまりは150km/hを目指していたスピードが、時間にして1.8秒/㎞の遅れが出てしまう!!」
だがエリカは挑発するように言った。
「あら、その遅れをどうにかして見せるのが、開発部の技術者じゃなくて?」
「ぐぬっ!」
心理を突かれたハインラインが悔し気に息を吞む。だが時間にしてわずか7秒で彼は立ち上がった。
「わかりました。そこまでおっしゃるなら、あの角を含めたズゴックの全身抵抗を算出し、水中でのバーニアをより強化させて見せましょう!」
そう言うが早いか、ズゴックに走り出すハインライン。
その背中を唖然と見送るアスランの肩を、チョイチョイと笑顔で突くエリカ。
「ザラ一佐、ちなみにあの『MA-F2002 スピッツェシュヴァート ビームホーン』はね、可動させるとビーム放出量が最大になるから、稼動中は他のビームライザーとかは使えなくなるおまけ付きなので、そこのところよろしくね!」


***


「―――と、いうわけだ。」
「というわけ、じゃないだろう!お前らウチの地下で、一体何やらかしているんだよ!?」
アスランがズゴックを前に説明する横で、カガリが思いっきり悲鳴にも似た叫び声をあげる。
ただでさえ核エンジンを搭載しているインフィニットジャスティス弐式が隠れるほどの装甲を付けたとはいえ、

 ・対装甲斬牙爪×2
・重粒子力線砲(メガ粒子砲) ×2
・頭部ミサイル
M2X32E フォランテス用武装として
・MA-M50E3F 高エネルギー長射程ビーム砲×2
・AIM-1913D 自律中距離空対空ミサイル スコルピオ×2
・MA-R259 ビームライザー×4

「ミノフスキー粒子もないのにメガ粒子砲ってなんだよ!? オマケにキャバリア―にミラージュコロイド付けてドッキングさせて『アメイジング・ズゴック』だと!?」
もはやユニウス条約どころか、加盟してなくとも、やっちゃいけない装備の集合体としか言いようがない機体を前に、カガリががっくりと膝を折る。
「カガリ…」
アスランがそっと慰める様にカガリの背を撫ぜる。
「大丈夫だ。潜入調査に最も適したMSを形にした結果、こういう状態になっただけだから。」
「いや、なっただけ、と言われても…」
アスハ家私邸の地下ドッグにずらり並んでいるMSを、カガリは改めて見上げると

・ストライクフリーダム(※新型が来るのでキラが置いていった。)
・デスティニーガンダム(※先の大戦での拾い物。シンがコンパス加入時のどさくさに紛れてオーブに持ち帰った。)
・インパルスガンダム(※上に同じくルナマリアの、以下同文)

これを見ただけでも卒倒ものだというのに、加えて

・一機だけ微妙なシルエットのインジャ弐式inズゴック(※インジャの、特に肩の部分は、一体どうやってあの中に入れられたんだろう?脚もがに股というか、インジャが無理矢理リーメンビューゲル着けられたみたいだ💧)

「…。」
カガリは項垂れ、もはや言葉も出ない。
確かにアスランは、目的さえ果たせれば、あまり自分の機体にこだわりは持たないタイプだ。
それは分かるのだが
「それに、見てくれ。」
アスランに促されてカガリが顔を上げる。するとオートで動かしているのか、ズゴックが鍵爪を
<チョキン、チョキン!>
「あの無人島で見た、カニみたいで可愛いじゃないか!まさしく、俺たちを象徴する機体だ。だからこそ、リモート操縦込みで、俺と君しか操縦できないシステムにしたんだ!」
少し頬を紅潮させるアスランの今の気分を代弁しているのか、シャカシャカと得意気にカガリに向かってポージングするズゴック。
そして、改めて満足げに見上げる技術者+パイロットの3人。

(駄目だ。アスランまで毒されてる💧)

カガリは思った。
これ以上、技術者(特にキラと、ラミアス大佐と、マードック軍曹)はこの地下に来させないようにしようと。


一方その頃、ミレニアム内機体格納庫にて、キラがパソコンを前に一人呟いていた。
「大量破壊兵器を破壊するなら、それ以上の破壊兵器を作るってなると、きりがないし、どうしたら…そうだ!だったら全部黙らせればいいんだ!なら全機能停止にさせる電撃を放つ『プラウドディフェンダー』(※傲慢サンダー)と、原子レベルで壊せる『ディスラプター』(※傲慢ビーム)を作ろう!ハインラインさんが帰ってきたら、さっそく取り掛からないと。ラクスも喜んでくれるかな♪ あ、試験使用で上手くいったら、アスランとシンにも作ってあげよう。勿論、製作費はモルゲンレーテ持ちでv」

↑双子姉、時すでに遅し!Σ( ̄口 ̄;)


・・・Fin。


PS:そして、ラクス救出のためにズゴックをリモート操作することとなったカガリ。アルテミス要塞内で暴れまくりながら一言。
「うん、可愛いじゃないか。カニみたいでv」←結局、気に入ったらしい。

めでたしめでたし♥


====


なんか急に書きなぐってみました、『ズゴック誕生秘話♥』
いえ、今インジャ弐式のプラモを組みたて途中なんですが、プラモの解説書によりますと、インジャ弐式は「カガリの依頼で、エリカが改修した」らしいので、きっとエリカさんがノリノリで「ザラ一佐ならこのくらい付けても使いこなすでしょ♪」な感じで作ったのかな、と。
で、対するズゴックの方ですが、型式番号がザフトのものなんですよね。一体これをどうして外装にできたのか。
フリーダムやジャスティスを設計して作ったのはハインラインさんだということは公式で判明しているので、だったらハインラインさんがザフトからガワだけ持ってきたと考えると自然だな、と( ̄▽ ̄)
オーブの秘密ドッグに、本来ハインラインさんはお招きはできないでしょうけど、同人だしギャグだしwてなことで、一緒に作ってもらいました。
エリカさんとハインラインさんが話が合ったら、ものすごい物作りそうですね!ここにキラとマリューさん(G開発技術者だった)も加わると、とんでもなくなりそうです。アスランはここでは出張ってませんけど、キラと一緒なら絶対なんかやりだしそう(苦笑)メイリンも加わったら、どこまで電子戦装備になるのか。

・・・アスハ家の地下が、とんでもワールドになっていそうで、カガリがきっと泣きそうです( ;∀;)
核が飛び交うCEですが、そこそこにしてあげてください。<(_ _)>

なんか『彼の秘密シリーズ』っぽくなりましたな(笑) かもしたの書くのなんてこんなもんです┐(´∀`)┌ヤレヤレ
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ダンスは下手に踊れない

2024年07月13日 21時26分35秒 | ノベルズ
ファウンデーションとの全面戦争、並びにプラントにおける強硬派クーデターの鎮圧から半年が過ぎようとしていた。
全世界が未だ疲弊と、混迷の未来を模索する中、各国代表会議が赤道連合主催で開催された。
午前中から昼休憩もそこそこに閣議の連続。各国首脳対談などを挟み、今は宮殿を模したような講堂で、親善パーティーが始まった。バイフォレイトの窓から、先ほどまで差し込んでいたオレンジの光も何時しか月明かりのそれへと変わっている。

「未だ地球は混乱しているというのに、こんな酔狂をしている場合ではないでしょう。」
そう言ってスーツ姿の大西洋連邦代表大統領・フォスターは、苦みの残るシャンパンを、更に苦々しそうに一気に喉に流し込んだ。
彼女の秘書と思われる女性が、慌てて止めようとするが
「いいでしょう?このくらい。少しくらい羽目を外したって、大事な会議はもう終わったのだから。」
目を吊り上げるフォスターに、秘書はビクビクと後退する。心の中で(悪酔いだ)と呟いているのが表情に出ている。
「しかし、納得は行っていないのでしょう?」
そういってフォスターを煽るのは、大洋州連合の男性首相だ。
「当り前です!」
フォスターはグラスを銀盆に乗せたウェイターを呼び止め、何杯目かのシャンパンを一気に空け、そのまま銀盆に叩き返す。
「ユーラシアは未だ政府樹立もままならない、併せてアフリカ共同体や南アフリカ統一機構もブルーコスモスの攻撃のせいで、GDPはがた落ち。こんな状況で地上を立て直すことなんてできるわけがない!」
「それは皆同じでしょう。」
二人の背後から近づいてきたのは、白ワインのグラスを片手に穏やかな口調のプラント議長・ラメント。
「こちらもクーデターの影響で、まだまだ安定したとは言い切れません。」
そういって首を振るラメントに、フォスターは「フン!」と鼻を鳴らす。
「いずれにしても、こちらは自国のことだけでも精一杯だというのに、こんなところまで呼びつけて、しかもパーティーまで開催なんて。…随分と余裕がありますこと。」
「まぁまぁ、赤道連合もこうして国際会議の開催国を務めてくださって。みな国が疲弊している中、お引き受けしてくださったのは、感謝しなければ。」
なだめる様にラメントがオーバーリアクション気味に両手を広げる。だがフォスターは皮肉を込めて言葉を吐き出した。 
「赤道連合は、さして被害を受けておりませんものね。それと、あの「一人勝ち」の国も。」
「シィーッ!…どうやらお見えになられたようですよ。」
大洋州連合首相が人差し指を唇に立てる。

すると開かれたメインドアから、一組の男女が現れた。
<コツ、コツ、>
大理石の床に、ハイヒールの打つ振動。だがそれすらも隠すような、<サラサラ>と流れるようなシルクの滑る音。
二人を垣間見た者たちは、一斉に「おぉ!」と感嘆のため息を漏らす。

現れたのは、オーブ連合首長国代表・カガリ・ユラ・アスハ、その人。

スプリンググリーンの生地に、薄いライトグリーンの大きなショルダーリボンのついたシルクのドレス。足元までふわりと広がったドレスを見事に着こなし、ピンヒールの足元もスマートで。柔らかな金髪を同じスプリンググリーンのリボンで結び、淡い化粧と柔らかなピンクのルージュ。凛とした姿勢で歩いてくるその姿は、まさに少女たちが夢見る「プリンセス」のイメージそのものだ。隠そうとしても隠しきれない気品が溢れ、会場の、ことに男性の目が釘付けだ。
思わずフォスターも各国首相も息をのむ。

つい一時間前までの会議では、いつものオーブ首長を象徴する、目立った装飾もない地味な深い紫のスーツに、ブラウンのレザーシューズ。化粧も同じくブラウン系統のリップしかつけていなかった。
自分より2倍も3倍も年長の各国首脳を相手に、次々とプランを打ち出し、ファウンデーションの難民救済、ユーラシア復興への予算の計上、そして今後のコンパス運営についてまで、理路整然とまとめ上げた。議事を務めた赤道連合代表も、口をはさむ隙もない。
ともすれば、まるで男性のように凛々しく眩しくすら見えた。

しかし今はどうだ。
会場の誰もが、一度は目を擦り、瞬きを重ねて見直しかねない。
プリンセス、いや、あれはまさにクイーンだ。
地球を抱く、地の女神。まさにそれを形容して止まない。


―――続きはこちらから。


***


今日は病院で1時間半待たされ、結局すべてが終わるまで3時間かかったかもしたです💧
なんでも「熱中症の患者さんが、どんどん運び込まれて!💦」ってお医者様が嘆いていらっしゃいました(´Д⊂ヽ 昼ごはん、食べてないって…お疲れ様です<(_ _)>
ホント、病院に1回かかると、一か月の電気代並みにかかりますから、ちゃんと冷房かけましょうね。

話は飛んで、今日はSSを一本、支部の方にUPいたしました。
先週のSEEDFREEDOMのシネコンの、カガリのドレスとアスランのオーブ軍服を見て、どうにも結婚式とか正装が必要な場所に二人が参加しているイメージが湧いて出てしまいw(*´艸`*)
ただ、運命の時の第1話で、アスランがカガリに「ドレスは持ってきたんだろうな?必要なんだよ、演出的なことも」っていうセリフがありましたが、カガリは正直ドレスは好きじゃなさそうで。
流石にもう大人になりましたから、公の場でパーティー会場みたいなところだったら、きちんとドレス着てきそうですが。もしかしたら、スーツで来そうな気がしないでもなく^^;
なので、前回の『ダンスはうまく踊らない』の続編的に、カガリがどうしてもあのシネコンのドレスを着なきゃいけないシチュエーションに無理やり持っていきました(笑) アスランも「公の場で君と踊りたい」と言っていましたから、願ったり叶ったりだろう、アスラン!(笑)
ドレスにダンスに加えてアクション。やっぱりこうしたアクション付きな展開は萌えます(*´Д`)ハァハァ♥ アスカガはアクション何やっても似合うんですよね。首長服でもいけますし、今回みたいにドレス姿で、そのパニエなんかで素くらませたスカート部分の中に銃を仕込んでいてもよし!(≧▽≦)ノ✨ 戦う姿が絵になる女、カガリ・ユラ・アスハはかっこ美しい✨
脳内妄想が止まらなくなりますv
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ダンスはうまく踊らない(最終話)

2024年07月06日 21時41分56秒 | ノベルズ
「二人とも、何時まで踊っているつもりなのさ?」
流石に妬ける。かといって恋人への嫉妬とは違う。例えるなら愛娘を嫁に出したくない父親の心境もきっとこうなのだろう。特に自分より強く、頭脳も明晰、全てにおいて非の打ちどころのない男だと、余計に胸の奥がモヤモヤする。
更に悔しいのは、あれだけ踊っている二人が、全く息を切らせてないところだ。
つまり無駄な力みがない、ということに他ならないのだが、まるで互いの…ことにアスランがカガリの体力はじめ、身体のことを隅々まで知っているようで面白くない。
そんなキラの抗議の視線を横目でチラと受け流し、アスランはカガリの耳元に唇を寄せて囁く。
「じゃぁ、ピクチャーポーズはバ・ポワソンで決めるぞ。」
その言葉に慌てて目を見開くカガリ。
「ちょっと待て。お前とはやったことないのに、いきなりそんな大技―――」
「でもやれば目立つんだろう? “二人はこんなにも息ぴったりで、体を預けあえる間柄だ”って。」
「~~~~~っ!!///」
カガリの耳元でそっと囁きながら唇の端を緩め、カガリにだけ見えるように微笑するアスランは、一体何時からカガリのセリフを聞いていたのか。反論できないカガリに有無を言わさず、アスランが足を止めた瞬間、カガリが全身を反らせて、床面に付くかつかないかの姿勢を維持する。
「キラ、足元をご覧ください。」
ラクスがそっと指さす先を見れば、カガリの右足がアスランの左足にかけるようにして、全身をアスランに預けている。
アスランはそのカガリの全体重を、手を使わず、片足の筋力だけで支えているのだが、まるで力が入っているように見えない。
「―――!?」
ちょっと待って。二人は一緒に踊ったことがないって、さっきカガリが言っていたように聞こえたんだけど!?
それでも明らかに、先ほどのオーバー…何とかより、ずっと難しいことは素人目にも明らかにわかる。
(―――「やれば目立つぞ? 二人はこんなにも息ぴったりで、体を預けあえる間柄だ、って。」)
もしかしてアスラン、僕に見せつけるために、わざと…!?
アスランにとっては数秒(※もっとカガリとこうしていたい)、キラにとっては数十秒(※長すぎない!?)のポージングの後、アスランが差し出した右手をカガリが取って、立ち上がらせる。
「少しは参考になったか?」
それでも息一つ乱れず、余裕でキラに声をかけてくるアスラン。
参考どころか「自分の方が上だ」と見せつけているとしか思えない。
MSの操縦技術や拳での勝負ならまだしも、むしろそちらでは、アスランは張り合う気は全く見せない。だが、ただ一つ「カガリのことだけは、決して譲らない!」と言わんばかりの姿勢だ。
「確かに凄い筋トレになりそうだね。」
やや棒読みのようなキラの返答は、宣戦布告と受け取ったのか、アスランは真っ向から威嚇するような翡翠の光をキラに向ける。勿論キラも微笑みつつ、その紫水晶の放つ眼光は受けて立つ!と言わんばかりだ。
そんな二人の静かなる戦い(?)に気づきもせず、むしろ反対に、キラがやる気になったと見たカガリが
「な?いいだろ。ラクスと一緒にトレーニングできるんだから、一石二鳥だぞ!」
名案!とでも言う様に、我がことのように喜んで見せる。

だが―――・・・


―――続きはこちらから。


***


ということで、無事に最終話をお届けできました☆
最後はやっぱりアスカガですねw もちろんキララクもです♥
アスキラはラクスを挟むと割と平和なのに、カガリを挟むと背中から戦闘オーラがバリバリに立っていそうなのが、かもしたの目にだけは映ります(笑)
社交ダンスって「ナンチャンの社会人競技ダンス部」の知識しかないんですが、そのわずかな知識を総動員させました(^^ゞ
多分アスカガだったら、見事なダンスを見せてくれそうです。元々二人とも身体機能がめっちゃ高いので、多少無理な姿勢でも難なくこなしそうな♪
タンゴとか難しいものでも、きっかり決めてくれそうです。
でなきゃキャバリアーリモート連係プレイで、あのシュラに勝つくらいですから、信頼が高いだけでなく、身体能力も相性ばっちりだったはず!(/ω\)イヤン♥
ファウンデーションで、コンパスチームが夜会で美味しいもの食べている中、アスランはスラム街で「あんパンと牛乳で張り込み」(笑)していたんじゃないかと。 そんな二人に是非とも、社交界でダンスとか見せつけてほしいですわ✨(´∀`*) 

そんな本日は、ガンダムSEED FREEDOM シネマコンサートが開催されましたね!
かもしたはチケット落選で行けませんでしたが(その分、メタルロボット魂は買った!(`・ω・´)ゞ)、きっとあのダンスのシーンとか、素敵な生ワルツの演奏が聴けたでしょうね。生のオーケストラは本当に迫力があるので、聞きに行けた方は本当に良かったと思います。
生じゃないけど映像化してくれないかな~。できれば鬼滅の刃みたいに。配信でもよかったんですが、流石に生演奏がメインなので、やってくれなかった( ;∀;)
後はグッズが通販でいつ出るかな? 昼の部だけで完売グッズが出たそうなので、地道に待とうと思います。
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