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本:助産師と産む 病院でも、助産院でも、自宅でも

2007-12-10 13:23:34 | BOOKS
題名  『助産師と産む 病院でも、助産院でも、自宅でも』
著者  河合 蘭
出版年 2007
出版社 岩波ブックレットNo.704
ISBN978-4-00-009404-7

とても読みやすい本でした。
女性が出産する場所には,病院だけでなく,少数ではあるけれども,助産院や自宅という選択肢があるということ。
今の日本における産科医不足,分娩可能施設の減少,「お産難民」などの問題についても述べています。
これらの問題を解消するために助産師の存在,役割を見直しませんか,と提唱されています。

特に自宅分娩は戦前では当たり前だったと言うことを考えると,戦後の近代化によって,出産というとても原始的な生理現象もまた,医療の介入が必須であるかのように劇的に変容されてしまったように感じます。
産む主体としての女性の意思を尊重しない,ということはある意味,母親になるための第一歩を阻害しているのではないでしょうか。

ちょっと話は飛びますが,授乳についても同じようなことが言える気がします。
ちょうど私が生まれたころは,ベビーブームでしたし「おっぱい?でないならミルク足せばいいわよ」と病院に言われるような時代だったそうです。
というわけで,私はばっちりミルク育ち。
最近になって(私が母親になる頃から)「母乳がいいから母乳にしましょう」と言われるようになりました。
今お母さんになる人が,自分の親からはおっぱいをもらっていないのに,いきなり「あなたはおっぱいあげなさい。子どもを産んだ母親でしょ。でないはずないじゃない」と言われたって,それは,戸惑いますよね。
一番頼りにできるはずの自分の母親に具体的にどうすればよいか聞きたくても「ミルクだったから分からない」と言われて相談できないのですもの(これは極端な例として示したまでで,別にうちの親がこうだったわけではないです,悪しからず)。
ここでまた授乳という原始的な行為についても混乱が生じていますよね。

元来人間に備わっているはずの産み育てるという原始的な行為について,「こうしたほうが効率が良いから」「楽だから」と,私たちはあまりにも人工的に手を加えすぎたのではないでしょうか。

そんな世の中で,助産師さんは,妊娠から出産その後の授乳や育児までトータルにサポートしてくれる存在です。医師でないので,出産時の医療介入は非常に限られていますが,正常な出産であれば,必要のない処置というものもたくさんあるそうです。

と,ここで誤解されないで欲しいのですが,人工的な医療処置がすべてダメ,というわけではなくて,母体や赤ちゃんの安全のために必要なことはもちろんたくさんあります。そのおかげで命が守られたということもたくさんあるでしょう。
ここで私が言いたいのは,助産師さんの助けを借りながらも(時には医師にも手伝ってもらいますが),「赤ちゃんを産むのは,他の誰でもない,自分なんだ」と,お母さんが感じられることをこれからの出産現場では大切にして欲しい,ということです。

うぅ,文章能力がないので,思いの半分も記せないのですが,結論。
いい本でした。おすすめです,ハイ。


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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
なるほど。 (焼きプリン)
2007-12-10 15:21:07
この本を読んでないのでえらそうなこと言えませんが・・・。

うん、なんとなくおーわさんが言いたいことわかる気がします。
先日、自分の日記でも産院について言いたいことがあり、怒ってしまったんですが・・・。産院がそんなに人工的になってどうする!?と思ってですね、つい・・・。

それについても、やっぱり人工的でもいいじゃないかというお母さんもいるんで、「そうかぁ、やっぱりいろんな考えの人がいるんだな」と感じました。

そう、私も人工的なものをすべて否定するわけではないんです。手を出さないとまずい場面だって多いんですから。ただ、本来必要のないものまで、人工的にしてしまうのが気になるんです。

私は体が健康じゃなかったからか、母乳はあまり出ませんでした・・・。義母は母乳で育てた人なので、最初は出ない私を不思議だったみたいで、私はその視線が怖かったです。最終的には認めてくれましたけど。
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文章で示すのって難しいですね (おーわ)
2007-12-11 14:53:04
●焼きプリンさん

わけのわからない拙い読書感想文にコメントありがとうございます。

焼きプリンさんの日記も読ませていただきました。
そんなひどい産院が現実にあるということを知り,大変ショックを受けました。おかしいですよね,絶対。

>ただ、本来必要のないものまで、人工的にしてしまうのが気になるんです。

そうそう,そこ,それがポイントです。
私も同感です。
で,最近思うのは,出産だけでなく,私たちの生活全体が簡単便利で自分たちの都合のいいほうにどんどん流れていて,自然の摂理に逆らっている,もしくは自然の摂理を忘れてしまっているのではないか,と言うことです。これまた上手く説明はできないんだけど~・・・

お義母さんの視線・・・怖そう・・・(・_・;)
私じゃとても我慢できそうにないです。
焼きプリンさん,よく耐えて頑張りましたね。
えらいわ~
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Unknown (GYOGYO)
2007-12-12 04:41:36
河合蘭さん、この界隈では(どの界隈?^^お産とか・・・)有名な方ですよね。
一度、お会いしたことあります。

私も共感しながら読みました。
人工的なものは全てダメで、自然だけがいい
またはその逆で自然なものまで不必要に人工的にする
どちらも極端ですよね。
知った上で自分が選択をする。各人によって
その選択はそれぞれ異なるだろうけれど、
知った上で選択していきたいなと思います。
知らないことは問題なんじゃないかな~と。

パン、すっごい美味しそう~
出張行ってる間のことまで気にかけてくれる
優しい奥さま、だんな様はシアワセだね☆
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そう,そう (おーわ)
2007-12-12 13:17:37
●GYOGYOさん

そう,「知らないでやられてしまう」という受身ではなく,知った上で自分で選ぶというのが大切ですよね。

河合蘭さんの著書は今回が初めてですが,他の本も読んでみたいと思っています。

パン,褒めてくれてありがとう。
久々に作りました。
ふだん先輩をこき使っているので(ものすごく失礼ですね)こういうときに,ちょこっと思いやり
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