第三日目
今日も目を覚ますと良い天気。
ネキのポイントに向かう。
網を軽く伸ばして虫の飛来を待つが、全然飛んでこない。今日もムシは少ないのかなぁ・・・。
すれ違う虫屋さんと少しお話をしたりしながら、飛来を待つ。
アブやハチが飛んでいて、昨日までは普通に見ていたが、ネキの♀のあまりの擬態っぷりに無視できなくなってしまった。
片っ端からネットインしてみるが、当然のごとくネキの♀は入らない。
そんな事をしているうちに、高いところをネキが飛ぶのが見えるようになってきた。網を思いっきり伸ばして、飛来に備える。
お!飛んできたぞ!
あ、空振った!
入った!
アマミホソコバネカミキリ Necydalis moriyai Kusama,1970
おおお!結構でかい!
やはりネキの♂は、前胸と鞘翅がでかくてがっしりしている個体が良い。
この個体は型が良くてとりわけ気に入った。
後からやってきた虫屋さんと話をしながら、ネキの飛来を待っていたが、この後は追加なし。
コウベシショウ先輩は、しまりん先輩と一緒にサンプリングに行くという事で、私はしばらく粘ってから伐採地に行って虫を採る事にした。
いつもより長い時間ネキポイントにいたが、ネキの追加は無し。
伐採地に移動する事にして、林道を下っていく。
途中、イジュの花を掬っていると、アマミハンミョウが飛び回っているのが見えたので、ネットインしてみる。
アマミハンミョウ Cicindela ferriei
お隣の徳之島には青い個体群がいるらしいが、ここのはそれほどぱっとしない色合いだ。
こけない様にビビりながら走り、伐採地に到着した。
ぱっと見で虫も飛んでおり、結構面白そうだ。
ここの伐採地は全体的に急斜面になっているため、カメラを持って採集するのは結構しんどい。
という事で、荷物を全部カブに置き、ビーティングネットだけもって急斜面に挑む。
前日に、太目の材が大量に運び出されていたので、細い材や、葉つきの材が中心になっている。それらをこまめにビーティングしていく。
バシバシ・・・
おっ!カミキリ!
分かりにくいな・・・
コブバネサビカミキリ Pterolophia (Ale) gibbosipennis subcristipennis Breuning et Ohbayashi, 1964
シイの枝から結構落ちてきた。沖縄のは別亜種になっているようだ。渋いカミキリだ。
切り株がたくさんあるので、クワガタでも付いていないかと覗いてみると、なにやらトラカミキリが走り回っている。
数頭いるので、素手で手早く確保。
アマミキイロトラカミキリ Chlorophorus amami Hayashi,1968
現地ではこのカミキリがなんだか分からなかったが、どうやらアマミキイロトラのようだ。アマミウスグロトラという種もいるようだが、C字紋が横紋に届いていないのでキイロだろう。
他にも、リュウキュウチビコバネやケルシウム数種が落ちてきた。
斜面を駆け下りて、平らな林道にでて一安心。ハブが出そうで怖かったし、気を抜くとすぐ滑り落ちるような場所だったのでやりづらかった。
林道に戻って、しばらくブラブラしていると、先ほどまで一緒にネキを採っていた虫屋さんが降りてこられた。
どうやら上は天気が芳しくないようだ。
オオシマミドリが採れたと言う木を教えていただく。
う~む・・・あれか。樹種がわからん・・・。
「あ、いたぞ!」
「おお!」
早速、木の裏側にいる個体を発見。譲っていただけるというので、ありがたく採集させてもらう。
オオシマミドリカミキリ Chloridolum(Chloridolum)loochooanum Gressitt,1934
うひょ~~!めちゃくちゃ綺麗だ。普通種だと聞いていたが、今回採れたのはこの一頭のみ。しかし採れて良かった。ありがとうございます。>Nさん
飛来していた枝は、どうみてもオキナワウラジロガシでは無かったので、なにか別のホストか。ハイノキ科に付くと聞いたことがあるのでそれかな・・・?
林道をふわふわと横切るオレンジのムシをネットイン。
アマミモモブトコバネカミキリ Merionoeda(Ocytasia) formosana rubriventris Hayashi,1962
おおー!ようやく採れた。吹き上げではこのサイズのオレンジ虫はことごとくカッコウだったため、どうにも信じられなかったが・・・。確かに飛んでいるとオレンジのハエのように見える。
続けざまに、オレンジの虫が飛んできたので軽くキャッチ。今度のは少し大きいぞ・・!
アマミリンゴカミキリ Oberea shibatai Hayashi,1962
よっしゃ!
奄美大島には、アマミとソボの二種類がいるようだ。オベレアは抑えておきたかったのでラッキー!
なんだか結構虫が採れるので楽しくなってきた。
しかし、ここで状況を覆す驚愕のメールがコウベシショウ先輩からとどく。
「フェリベニがいた。」
何ですとぉぉおお!!
慌てて電話してみると、どうやら「採った」わけではないらしい。体調悪化が酷くて、林道に寝転がっていた先輩の頭上をフェリベニが飛んでいったとのこと。
先輩は過去に飛翔中のフェリベニを複数採っているので、見間違いということは無いだろう・・・。
う~ん、やはりいるんだ・・・。
まったく採れる気がしなかったが、いるということがわかって少し希望を持てるようになった。
と、先輩と電話している最中、赤い虫がふらふらと飛んできて、私の目の前に着地。
「! クスベニだっ!!」
アマミクスベニカミキリ Pyrestes inaequalicollis Hayashi,1962
ここのクスベニは結構色がしっかりと濃くて存在感がある。クスベニはいい虫だなぁ・・・。
本当なら先輩ポイントに今すぐに行きたいところだったが、結構離れているエリアだったため、私はこちらの伐採地でもう少しやってからキャンプ場に戻ることにした。
マツの切り株を見てみると、大型のタマムシがとまっている。Nさんにも手伝っていただき、ダブルゲット。
左 アオウバタマムシ Chalcophora japonica oshimana
右 サツマウバタマムシ Chalcophora yunnana
いずれも渋い彫刻の美しさが際立つ良いタマムシだ。相棒へのお土産に確保。
さて、大分時間も押してきたし、ここでの採集はそろそろ切り上げ。
Nさんはこの日の飛行機で帰られるとの事で、ここでお別れ。色々とお話をさせていただき、教えていただいた。
さっさと林道を下り、テント場に戻ってきた。今日は原生林歩きをしていないのであまり疲れていない。
少し虫の整理をしておこうかなと思い、採ってきたものを広げていると、先輩たちが帰ってきた。
「お疲れ様です~・・・?」
ん?心無しかコウベシショウ先輩の目が輝いている気がする。
ヤバイ予感が・・・。
予感は外れることなく、先輩が手に持っていたソレは・・・
うぉぉぉぉおお!!
フェリベニ!!!
なんと、先輩はあの後フェリベニを2頭も採られていた。うわああ・・・。
とにかく素晴らしく綺麗な虫だ。質感もいい。生きているときはこれ以上に綺麗だというのだから、想像すら難しい・・・。
ううう・・・採りたいなぁ・・・。
夕焼けのオレンジの光が、フェリベニを照らすという何とも贅沢な状況・・・。
う~ん、動けないほど体調が悪い状態で、フェリベニをしとめてしまうとは・・・恐るべしコウベシショウ先輩。
この後、クワガタを採るためにバナナトラップを仕掛けに行ったのだが、フェリベニを目の当たりにしたショックで若干バナナトラップに気合が入らず、適当なところに仕掛けて帰ってきた。
先輩はサンプリングのこともあるので、まじめのトラップ設置。
アマミノコはかなり大型の個体も採れるらしい。とりあえず1ペア採れればいいかな・・・。
戻ってきてからは、夕食を済ませつつ明日の作戦会議。
当然、私はフェリベニをメインに動くつもりだったのだが、しまりん先輩の携帯の天気予報から、恐ろしい情報が流れ込んできた。
「降水確率80%」
絶体絶命の第四日目はいかに!!!
つづく
今日も目を覚ますと良い天気。
ネキのポイントに向かう。
網を軽く伸ばして虫の飛来を待つが、全然飛んでこない。今日もムシは少ないのかなぁ・・・。
すれ違う虫屋さんと少しお話をしたりしながら、飛来を待つ。
アブやハチが飛んでいて、昨日までは普通に見ていたが、ネキの♀のあまりの擬態っぷりに無視できなくなってしまった。
片っ端からネットインしてみるが、当然のごとくネキの♀は入らない。
そんな事をしているうちに、高いところをネキが飛ぶのが見えるようになってきた。網を思いっきり伸ばして、飛来に備える。
お!飛んできたぞ!
あ、空振った!
入った!
アマミホソコバネカミキリ Necydalis moriyai Kusama,1970
おおお!結構でかい!
やはりネキの♂は、前胸と鞘翅がでかくてがっしりしている個体が良い。
この個体は型が良くてとりわけ気に入った。
後からやってきた虫屋さんと話をしながら、ネキの飛来を待っていたが、この後は追加なし。
コウベシショウ先輩は、しまりん先輩と一緒にサンプリングに行くという事で、私はしばらく粘ってから伐採地に行って虫を採る事にした。
いつもより長い時間ネキポイントにいたが、ネキの追加は無し。
伐採地に移動する事にして、林道を下っていく。
途中、イジュの花を掬っていると、アマミハンミョウが飛び回っているのが見えたので、ネットインしてみる。
アマミハンミョウ Cicindela ferriei
お隣の徳之島には青い個体群がいるらしいが、ここのはそれほどぱっとしない色合いだ。
こけない様にビビりながら走り、伐採地に到着した。
ぱっと見で虫も飛んでおり、結構面白そうだ。
ここの伐採地は全体的に急斜面になっているため、カメラを持って採集するのは結構しんどい。
という事で、荷物を全部カブに置き、ビーティングネットだけもって急斜面に挑む。
前日に、太目の材が大量に運び出されていたので、細い材や、葉つきの材が中心になっている。それらをこまめにビーティングしていく。
バシバシ・・・
おっ!カミキリ!
分かりにくいな・・・
コブバネサビカミキリ Pterolophia (Ale) gibbosipennis subcristipennis Breuning et Ohbayashi, 1964
シイの枝から結構落ちてきた。沖縄のは別亜種になっているようだ。渋いカミキリだ。
切り株がたくさんあるので、クワガタでも付いていないかと覗いてみると、なにやらトラカミキリが走り回っている。
数頭いるので、素手で手早く確保。
アマミキイロトラカミキリ Chlorophorus amami Hayashi,1968
現地ではこのカミキリがなんだか分からなかったが、どうやらアマミキイロトラのようだ。アマミウスグロトラという種もいるようだが、C字紋が横紋に届いていないのでキイロだろう。
他にも、リュウキュウチビコバネやケルシウム数種が落ちてきた。
斜面を駆け下りて、平らな林道にでて一安心。ハブが出そうで怖かったし、気を抜くとすぐ滑り落ちるような場所だったのでやりづらかった。
林道に戻って、しばらくブラブラしていると、先ほどまで一緒にネキを採っていた虫屋さんが降りてこられた。
どうやら上は天気が芳しくないようだ。
オオシマミドリが採れたと言う木を教えていただく。
う~む・・・あれか。樹種がわからん・・・。
「あ、いたぞ!」
「おお!」
早速、木の裏側にいる個体を発見。譲っていただけるというので、ありがたく採集させてもらう。
オオシマミドリカミキリ Chloridolum(Chloridolum)loochooanum Gressitt,1934
うひょ~~!めちゃくちゃ綺麗だ。普通種だと聞いていたが、今回採れたのはこの一頭のみ。しかし採れて良かった。ありがとうございます。>Nさん
飛来していた枝は、どうみてもオキナワウラジロガシでは無かったので、なにか別のホストか。ハイノキ科に付くと聞いたことがあるのでそれかな・・・?
林道をふわふわと横切るオレンジのムシをネットイン。
アマミモモブトコバネカミキリ Merionoeda(Ocytasia) formosana rubriventris Hayashi,1962
おおー!ようやく採れた。吹き上げではこのサイズのオレンジ虫はことごとくカッコウだったため、どうにも信じられなかったが・・・。確かに飛んでいるとオレンジのハエのように見える。
続けざまに、オレンジの虫が飛んできたので軽くキャッチ。今度のは少し大きいぞ・・!
アマミリンゴカミキリ Oberea shibatai Hayashi,1962
よっしゃ!
奄美大島には、アマミとソボの二種類がいるようだ。オベレアは抑えておきたかったのでラッキー!
なんだか結構虫が採れるので楽しくなってきた。
しかし、ここで状況を覆す驚愕のメールがコウベシショウ先輩からとどく。
「フェリベニがいた。」
何ですとぉぉおお!!
慌てて電話してみると、どうやら「採った」わけではないらしい。体調悪化が酷くて、林道に寝転がっていた先輩の頭上をフェリベニが飛んでいったとのこと。
先輩は過去に飛翔中のフェリベニを複数採っているので、見間違いということは無いだろう・・・。
う~ん、やはりいるんだ・・・。
まったく採れる気がしなかったが、いるということがわかって少し希望を持てるようになった。
と、先輩と電話している最中、赤い虫がふらふらと飛んできて、私の目の前に着地。
「! クスベニだっ!!」
アマミクスベニカミキリ Pyrestes inaequalicollis Hayashi,1962
ここのクスベニは結構色がしっかりと濃くて存在感がある。クスベニはいい虫だなぁ・・・。
本当なら先輩ポイントに今すぐに行きたいところだったが、結構離れているエリアだったため、私はこちらの伐採地でもう少しやってからキャンプ場に戻ることにした。
マツの切り株を見てみると、大型のタマムシがとまっている。Nさんにも手伝っていただき、ダブルゲット。
左 アオウバタマムシ Chalcophora japonica oshimana
右 サツマウバタマムシ Chalcophora yunnana
いずれも渋い彫刻の美しさが際立つ良いタマムシだ。相棒へのお土産に確保。
さて、大分時間も押してきたし、ここでの採集はそろそろ切り上げ。
Nさんはこの日の飛行機で帰られるとの事で、ここでお別れ。色々とお話をさせていただき、教えていただいた。
さっさと林道を下り、テント場に戻ってきた。今日は原生林歩きをしていないのであまり疲れていない。
少し虫の整理をしておこうかなと思い、採ってきたものを広げていると、先輩たちが帰ってきた。
「お疲れ様です~・・・?」
ん?心無しかコウベシショウ先輩の目が輝いている気がする。
ヤバイ予感が・・・。
予感は外れることなく、先輩が手に持っていたソレは・・・
うぉぉぉぉおお!!
フェリベニ!!!
なんと、先輩はあの後フェリベニを2頭も採られていた。うわああ・・・。
とにかく素晴らしく綺麗な虫だ。質感もいい。生きているときはこれ以上に綺麗だというのだから、想像すら難しい・・・。
ううう・・・採りたいなぁ・・・。
夕焼けのオレンジの光が、フェリベニを照らすという何とも贅沢な状況・・・。
う~ん、動けないほど体調が悪い状態で、フェリベニをしとめてしまうとは・・・恐るべしコウベシショウ先輩。
この後、クワガタを採るためにバナナトラップを仕掛けに行ったのだが、フェリベニを目の当たりにしたショックで若干バナナトラップに気合が入らず、適当なところに仕掛けて帰ってきた。
先輩はサンプリングのこともあるので、まじめのトラップ設置。
アマミノコはかなり大型の個体も採れるらしい。とりあえず1ペア採れればいいかな・・・。
戻ってきてからは、夕食を済ませつつ明日の作戦会議。
当然、私はフェリベニをメインに動くつもりだったのだが、しまりん先輩の携帯の天気予報から、恐ろしい情報が流れ込んできた。
「降水確率80%」
絶体絶命の第四日目はいかに!!!
つづく