かめ設計室*3丁目通信

2005年4月より、西新宿にて一級建築士事務所かめ設計室がはじまりました。3丁目からのかめバー通信。

流行建築通信23/ギンギラギンにさりげなく

2006年09月20日 | 流行建築通信
 覚めたしぐさで熱く見ろ 涙残して笑いなよ
 赤い革ジャン引きよせ 恋のバンダナ渡すよ
 雨の中で抱きしめるぜ そっと
   (1981年 近藤真彦)

 この曲がヒットしていた頃、象設計集団が設計した名護市庁舎は完成している。そう思えば近しい時代なのかもしれない。そして今年で4半世紀がたった。リアルタイムでこの頃の建築事情を知らないから、時代の気分だけでも思い出そう。いつもソースは流行歌だが・・・。

 1981年。
 前年の山口百恵引退で歌謡曲時代は終わっていたのかもしれない。空虚で、何となくの80年代の到来である。管理教育への反発から校内暴力が荒れ狂うその傍らで、『なめネコ』人気では不良であることがファッションと化していた。田中康夫の『なんとなく、クリスタル』が象徴する消費社会のその中で、つかこうへいのギンギラギンな『鎌田行進曲』もまた大ヒットした。
 「覚めたしぐさで/熱く見ろ」「涙残して/笑いなよ」「雨の中で抱きしめるぜ/そっと」「ギンギラギンに/さりげなく」そいつがオーレのやりかた。薬師丸ひろ子が、か・い・か・ん、と言い放つ『セーラー服/機関銃』。
 セーラー服と機関銃、そのどちらともを時代は手中に納めようとしていたのだろうか。あい反する価値さえ、利用し享受してしまう器用なるニッポン人。バブルへと向かうその伏線がここに表象してはいまいか。

 さてそんな世の中で希有な存在感を放ちつづける名護市庁舎は、25年たった今も昔もギンギラギンだ。これからも何となくの時代に直球勝負。

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