亀田司法書士ブログ

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控訴審の結果(7)

2017-10-23 11:47:40 | 債務整理

過払金請求事件の原告である借主は,概ね金銭的に恵まれている人々ではありません。彼らが,時にやむを得ずサラ金に手を出し,法的知識の乏しさにより,払う必要のない利息を長期に渡り支払続けた結果生じたものなのです。いわば,法の不知に基づく奴隷化現象なのです。

裁判所はこれを是正する唯一の機関なのです。過払金の返還を免れることにより,貸金業者は利益をあげ,比較的富裕な株主に配当することになるのです。 確かに一時,貸金業者の破綻が続きました。貸金業者に就業する従業員も存在します。しかし,これは,元々得られるはずのない利益を前提とした事業であり,法の適用のもとでは破綻して当然のことなのです。

私は,最高裁が過払金充当合意を創出し,これを契約締結に際しての当事者の合意事項として理論付けた以上,余程の事情がない限り,一個の契約内の取引には過払金充当合意が及ぶと考えます。 そして,平成20年1月18日判決は,理論的に充当合意が及ばない異なる契約間における取引においても,実質的には同様な契約内容が継続されたものとして,合意の効力が及ぶものとする救済措置であると考えます。

こう考えないと,合意により開始した契約の途中で完済を契機として合意の効力が失われ,次の借入の際にまた効力が復活するという奇妙なことになります。 判例にいう過払金充当合意とは,このように,完済によりいったん遮断され,再貸付けにより復活するという概念だったのでしょうか?

元々違法な利得の返還により,法を遵守するとの目的により創出されたと思われる理論構成からは,このような合意形態は考えられません。 このような事案が多発する過払金返還請求事件では,ともすれば裁判官による主観が優先され,似た事案でも判断結果が異なることが少なからず発生するように思います。

これでは,苦しみながら違法な高金利を返済し続けた一般市民の裁判所に対する信頼を著しく失う結果を招く恐れを捨てきれません。

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