亀田司法書士ブログ

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マイケルジャクソンの遺言

2011-11-16 10:41:39 | 司法書士の日記

9日信託の2回目の研修に行ってきました。今回のテーマは、アメリカの信託法制です。アメリカでは、日本のような戸籍制度がないため、遺言が多いのですが、遺言書はプロベイドという日本の検認(遺言を裁判所に提出して確認を受けること)手続を経て遺産相続が行われることになります。この手続きは、州法に基づき遺産を精算して相続人等宛に分配をする手続きになり、州によっては早くて1年から1年6ヶ月かかり、途中で債権者や相続人から裁判を起こされた場合は、より長期に渡るため、信託の制度が利用されることが多いようです。
マイケルジャクソンも、例に漏れず信託を利用しました。アメリカでは、相続対策の一環として,一般市民から富裕層まで万人に利用されるGrantor Trustという、リビング・トラスト(生前信託)があり、日本で言う自己信託だと思われます。この特長は、1.前記のプロベイトを回避してプライバシーを守り、(検認手続きは公的な記録として閲覧の対象になってしまうそうです)手間やコストを削減することができる。2.受託者を委託者の後見人として、信託財産の管理や運営を任せられる。3.州の監督を受ける事無く、信託財産のコントロールを行える。4.自分の意思のみで撤回可能である。(日本においては、受託者や受益者の合意が必要。)
ただ、これは、委託者、受託者、受益者全てが自分自身である信託が認められているからであり、(ただし、撤回可能な信託では税務上のメリットは無い)、信託財産とその他の財産との区別があいまいで、第3者に対する明確な区別をどのようにしていくかの問題が生じる恐れがある。簡単にいえば、自営業の人が会社を設立したけど、会社のお金と自分のポケットマネーを帳簿上如何に区別しておくかの問題と同じことです。
ちなみに、ジャクソンの遺言の一部は、1.元妻には遺産を与えない。2.子供の後見人を、自身の母であるキャサリンとする。務められなくなったら、ダイアナ・ロス(有名な歌手?)を指名する。3.信託財産の最初の20%は、受託者と母キャサリンにより選ばれた子供に関連する慈善団体に寄付する。4.税、弁護士費用外の費用を支払った後の50%を、3人の子供達が均等に受益できる受益者とする信託。5.その残りの50%は母親を受益者とする信託。6.もし,子供達も母親もいなくなったら、親戚の子供達を受益者とする信託にする。
ジャクソンの、子供と母親に対する愛情が感じられます。



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