亀田司法書士ブログ

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建物明渡し(4)

2018-05-24 10:16:05 | 遺言・相続

第1回目の口頭弁論期日,被告借主は出席してきました。そして,法定で複数の写真を裁判官に見せるのです。

これは,何度か修繕を要求したにもかかわらず,貸主が一向に修繕をしないのでこのような状態であると立証しようとしたのです。被告の意図しようとすることは分かるのですが, 証拠として提出するのであれば,立証趣旨を記載した証拠説明書と共に提出する必要があります。

それにしても,仮に修繕が不十分だとしても,賃料一切を支払わないことを正当化することにはなりません。 裁判長は,案件を,司法委員を交えた和解の席に移しました。

さて,私はそこで,あらためて被告の主張や現在置かれている状況を聞きました。 被告は,支払わなければならないことは理解している。ただ,現状一括支払いできる程の資金がない。ただし,2~3年後には退職金が入る予定だし,不動産業に長年就いている関係で知り合いに部屋を貸してくれるところはあるとのこと。

そこで,引越費用をこちらが用立て,延滞賃料の減額及び残額の分割払いを提案し,和解が成立しました。

貸主にとっては,引越費用まで立て替えるのは腹立たしい限りかもしれませんが,このまま判決を取っても,執行まで至れば,引越費用を超える 執行費用も見込まれます。それより早期に任意に明渡しをして貰う方が得策と考え,和解に応じました。

残念ながら,賃料滞納事件における延滞賃料の回収は思うように行かないのが現実です。何故なら,もともと生活費に窮している人が賃料未払いになる可能性が高いからです。

この現状に鑑みれば,滞納が少ないうちに,早期に明渡しの法的手続を採る方が,少ない被害で済むと考えるべきでしょう。

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