「現代の神隠しか 深まる謎 有香ちゃん失踪事件」
こんな新聞記事から始まる書き出しに惹き付けられて手にとった。実は私はこの、新聞記事から始まるってのが大のお気に入りなのだ。この事件を解決していくんだな、という意欲が湧く。まあ実際は私が解決する訳ではないのだけど・・・
主人公カスミは、夫の友人である石山と不倫の関係にあった。両家族で出かけた石山の別荘でも、二人は家族の目を盗み、逢瀬を重ねる。しかしそこで、カスミの長女有香が忽然と消えた。まさに神隠しのように。
まだ5歳の有香が自ら失踪するとは考えにくい。事件なのか、事故なのか・・・大規模な捜査にも関わらず、全く手がかりはつかめぬまま、様々な憶測だけが飛び交い、それすらも時が風化させていく。
私は読み始めてすぐに犯人探しに夢中になったが、結末は意外なものだった。
ひとりの人間が居なくなるということは、当たり前だがその前と後とが全くガラリと変わってしまう。しかもそれが消えたとなればなおのことだ。そして何より、消えなかった人間には続きがある。たとえこの身が引き裂かれそうな出来事が起こったとしても、朝日は昇り一日が始まるのだ。そして残された者はそこから続きを生きなくてはならない。もちろん生きるつもりがあればの話だけど。
犯人を探し当てたり、事の真相を知ることも勿論必要なのだろう。出来ないより出来たほうがいいと思う。でも結局、その先をどうやって生きていくのか、というのが真の結末なのではなかろうか。人は自分の人生しか生きられない。たとえどんなに徳のある人だって、他人の痛みを代わってあげることはできないし、逆もない。いたわりや励ましもあるけど、絶対に自力で越えなくてはならない部分が存在する。そしてそれぞれのやり方で人は生き抜いて行く。時に自分でも驚くほど図太く、大胆に。
今回の主人公はカスミだったけれど、カスミを取り巻く人々それぞれにスポットライトを当てたら、また別の小説が生まれそうな感じがした。きっと語られない秘密をみんな持っているはずだから。
こんな新聞記事から始まる書き出しに惹き付けられて手にとった。実は私はこの、新聞記事から始まるってのが大のお気に入りなのだ。この事件を解決していくんだな、という意欲が湧く。まあ実際は私が解決する訳ではないのだけど・・・
主人公カスミは、夫の友人である石山と不倫の関係にあった。両家族で出かけた石山の別荘でも、二人は家族の目を盗み、逢瀬を重ねる。しかしそこで、カスミの長女有香が忽然と消えた。まさに神隠しのように。
まだ5歳の有香が自ら失踪するとは考えにくい。事件なのか、事故なのか・・・大規模な捜査にも関わらず、全く手がかりはつかめぬまま、様々な憶測だけが飛び交い、それすらも時が風化させていく。
私は読み始めてすぐに犯人探しに夢中になったが、結末は意外なものだった。
ひとりの人間が居なくなるということは、当たり前だがその前と後とが全くガラリと変わってしまう。しかもそれが消えたとなればなおのことだ。そして何より、消えなかった人間には続きがある。たとえこの身が引き裂かれそうな出来事が起こったとしても、朝日は昇り一日が始まるのだ。そして残された者はそこから続きを生きなくてはならない。もちろん生きるつもりがあればの話だけど。
犯人を探し当てたり、事の真相を知ることも勿論必要なのだろう。出来ないより出来たほうがいいと思う。でも結局、その先をどうやって生きていくのか、というのが真の結末なのではなかろうか。人は自分の人生しか生きられない。たとえどんなに徳のある人だって、他人の痛みを代わってあげることはできないし、逆もない。いたわりや励ましもあるけど、絶対に自力で越えなくてはならない部分が存在する。そしてそれぞれのやり方で人は生き抜いて行く。時に自分でも驚くほど図太く、大胆に。
今回の主人公はカスミだったけれど、カスミを取り巻く人々それぞれにスポットライトを当てたら、また別の小説が生まれそうな感じがした。きっと語られない秘密をみんな持っているはずだから。