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インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会 最終報告書(案)

2006年07月11日 05時28分25秒 | Weblog
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(1)刑事上の責任
ア 電子掲示板の管理者等による送信防止措置については、当該行為が犯罪構成要件を満たす場合には刑事上の責任を問われる可能性がある。
イ そのような場合でも、電子掲示板の管理者等による送信防止措置が、規約や約款等の契約に基づく行為であれば、契約上の権利行使という正当行為に当たり、送信防止措置について違法性が阻却され、責任を問われないと解される。
また、規約や約款等の契約に送信防止措置に関する定めがない場合や契約関係がない場合でも、違法な情報に対して送信防止措置を行うことについては、正当防衛又は緊急避難に当たり、送信防止措置について違法性が阻却され、責任を問われないと解される。
電子掲示板の管理者等が、違法ではない情報について誤って送信防止措置を行った場合には、これらの違法性阻却事由に該当する事実が存在すると誤信していれば故意が阻却され、故意による刑事上の責任を問われることはない。また、過失による送信防止措置について、一般的に刑事上の責任を問われることはないものと解される。

(2)民事上の責任
ア 基本的な検討の視点
(ア)電子掲示板の管理者等が送信防止措置を行った場合の法的責任については、契約関係が存在するか否かを基本的な視点として検討するのが相当と考えられる。
(イ)そして、上記契約関係の有無については、
① 利用規約及びこれに対する明示の同意の有無21
② 利用者の限定性(会員制か、不特定者が利用可能か)
③ 利用の有償性(利用料その他の対価性の有無)
といった事情に基づいて判断することになると考えられるところ、()利用規約への明示的な同意がある場合や、()規約が明示されており、かつ利用者が限定(特定)されている、利用の有償性が認められるなどの事情により、利用規約への明示的な同意がある場合に準
〔脚注〕
20 電気通信事業法との関係については、電子掲示板の管理運営やウェブサイト開設のためのサーバのホスティング等は、通常、同法第164条第1項第3号の「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介する電気通信役務以外の電気通信役務を電気通信回線設備を設置することなく提供する電気通信事業」に該当し、同法第3条及び第4条以外の同法の適用を受けないため、原則として民事上及び刑事上の責任について検討すれば足りるものと考えられる。
21 同意の有効性については、「電子商取引等に関する準則」における「ウェブサイトの利用規約の有効性」等を参照。

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じて考えられるような場合には、契約関係の存在が認められると考えられる。
(ウ)具体的には、
○ サーバのホスティング契約に基づく、「サーバ管理者」と「サーバ利用者(サーバのホスティングを受けてウェブサイト、電子掲示板等を運営する者)」との関係
○ 利用規約への合意により会員となる会員制のSNSにおける、「SNS管理者」と「会員」との関係
○ 利用規約への合意により会員となる会員制の電子掲示板における、「電子掲示板の管理者」と「会員」との関係
等は、一般的に、契約関係が認められると考えられる。
これに対して、
○ 不特定の者が匿名で利用できる電子掲示板22(以下「匿名掲示板」という。)における、「匿名掲示板の管理者」と「書き込み者(情報のアップロード者)」との関係
○ 「サーバの管理者」と、サーバのホスティングを受けて運営されている電子掲示板への「書き込み者(情報のアップロード者)」との関係
等は、一般的に、契約関係が認められないと考えられる。
イ 契約関係が認められる場合における法的責任
(ア)契約に基づく送信防止措置であれば債務不履行責任、不法行為責任を問われない(ただし、契約条項が消費者契約法、公序良俗その他の強行規定に反しないことが必要である。)。
(イ)管理者は、契約に基づくサービス提供義務を負っているため、契約に基づかない送信防止措置は債務不履行になりうる。
ただし、責任が認められる場合でも、一般的に、電子掲示板等への書き込みを削除するだけにとどまる場合については、金銭的に評価できる損害が発生しているとはいえない場合も少なくないと考えられる。
(ウ)なお、違法情報の流通に対する送信防止措置であれば、債務不履行の要件である「履行しないことが違法であること(違法性阻却事由がないこと)」を満たさないため、債務不履行責任を問われない。
また、違法ではない情報に対する送信防止措置については、当該情報の流通が違法であると信じるに足りる相当の理由があり、故意又は過失がない場合には責任を問われないと解される。
〔脚注〕
22 書き込み等に係るIPアドレスを保存している電子掲示板を含む。

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プロバイダ責任制限法第3条第2項第1号では、「情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき」には、電子掲示板の管理者等による情報の送信を防止するために必要な限度の措置について損害賠償責任を負わないと規定されている。
ウ 契約関係が認められない場合における法的責任(一般論)
(ア)契約関係が認められない場合に、送信防止措置を受けた利用者として
は不法行為責任を追及することが考えられる。
(イ)一般的な判断基準
a 一般的に、不法行為責任の成否の判断においては、被侵害利益の性質・程度等と、侵害行為の態様等を総合的に考慮して判断される。
この点、電子掲示板への書き込み等について契約に基づく利用権がない場合には、通常、利用者は、電子掲示板やサーバの管理者の管理権限の範囲内において利用することができるにすぎず、管理者の管理権限の行使が不法行為を構成する場合とは、原則として、管理権限の行使が権利の濫用といえる場合に限られると解される。
よって、電子掲示板やサーバの管理者による送信防止措置に関する不法行為責任については、
(a)被侵害利益の性質、程度
①送信防止措置の範囲、②表現行為の必要性、③表現行為の代替性、④送信防止措置を受けないことに対する期待の程度等
(b)侵害行為の態様
⑤送信防止措置の必要性・合理性、⑥送信防止措置方法の相当性
等を総合考慮して、管理者による送信防止措置が権利の濫用といえるかという観点から判断することが適当である。
b なお、「『匿名掲示板の管理者』と『書き込み者(情報のアップロード者)』との関係」と異なり、「『サーバの管理者』と、サーバのホスティングを受けて運営されている電子掲示板への『書き込み者(情報のアップロード者)』との関係」は、行為当事者であるサーバの管理者と電子掲示板への書き込み者(情報のアップロード者)との間に、電子掲示板の管理者という第三者が介在することから、各論において分けて検討することとする。

エ 契約関係が認められない場合における法的責任(各論)
(ア)匿名掲示板の管理者による送信防止措置について

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一般的に、匿名掲示板においては、管理者の管理権限に基づく広範な裁量によって場の適正な管理のための送信防止措置が行われている運用実態がみられ、利用者も運用実態を認識した上で匿名掲示板を利用している。また、匿名掲示板においては、顕名書き込みによる自己抑制が期待できないため、表現行為が不適切になりやすく、書き込みに起因する利用者間のトラブルを回避したり、サーバのホスティングを受けて匿名掲示板を運営している場合にはサーバ管理者との間の契約関係に反しないよう適正に管理したりする必要性があるとともに、管理者が発信者を特定できないため、発信者に対する注意、警告等の措置を行うことが難しく、適正な管理を行うために送信防止措置を行う必要性・合理性が認められる。
以上の点などを考慮すると、匿名掲示板の管理者による書き込み(アップロード情報)の送信防止措置(削除)については、一般的に、被侵害利益の程度が強いとはいえず、他方、管理者による削除の必要性・合理性が相当程度認められることなどから、当該匿名掲示板が特に公的な色彩を帯びており、パブリックフォーラム性が高いといったことのない限り、原則として、管理者の管理権限の行使が権利の濫用には当たらない(「他人(書き込み者)の権利又は法律上保護される利益」の侵害にならない)と考えられる。
また、仮に、匿名掲示板の管理者による送信防止措置が「他人(書き込み者等)の権利又は法律上保護される利益」を侵害したものと評価される場合であっても、一般的に、電子掲示板への書き込みの削除については、金銭的に評価できる損害が発生しているとはいえない場合も少なくないと思われる。

(イ)サーバの管理者による送信防止措置について
サーバの管理者が、サーバのホスティングを受けて運営されている電子掲示板等における個々の書き込みに対して、サーバの管理権限に基づき送信防止措置を行うことが可能な場合がある23。
このような場合の不法行為の成否についても、被侵害利益の性質・程度等と、侵害行為の態様等を総合的に考慮して判断されると解されるが、ホスティング契約上許容していない内容の書き込みに対してサーバの管理者が送信防止措置を行う場合には、管理権限を有する者
〔脚注〕
23 サーバの管理者は、データファイルの全部(特定の電子掲示板全部)に対して送信防止措置が可能であるほか、一部について送信防止措置を行うことが技術的に可能な場合がある。しかし、データファイルの一部について送信防止措置を行う場合には、データファイル全部が消失したり、他の書き込みや情報が正確に表示されなくなったりするなどの影響が生じる危険性がある(第3の1参照)。

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として対応を行う必要性が高く、送信防止措置が不当に広範な措置であったりすることのない限り、原則として管理権限の濫用となることはなく、不法行為責任を問われることはないと解される。

(ウ)なお、いずれの場合においても、違法情報の流通に対する送信防止措置は、一般的に、「他人の権利又は法律上保護される利益」の侵害にならないと考えられる。
また、違法ではない情報に対する送信防止措置については、当該情報の流通が違法であると信じるに足りる相当の理由があり、故意又は過失がない場合には責任を問われないと解される。
プロバイダ責任制限法第3条第2項第1号では、「情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき」には、電子掲示板の管理者等による情報の送信を防止するために必要な限度の措置について損害賠償責任を負わないと規定されている。
仮に、責任が認められる場合でも、一般的に、電子掲示板への書き込みの削除については、金銭的に評価できる損害が発生しているとはいえない場合も少なくないと思われる。

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第5 違法情報への対応に関する提言
インターネット上を流通する違法情報のうち、権利侵害情報については、プロバイダ責任制限法関係ガイドラインが存在しており、権利侵害情報の判断基準等を規定するほか、法務省人権擁護局からの削除依頼又は信頼性確認団体を経由した削除依頼等の仕組みにより、電子掲示板の管理者等による情報の権利侵害性の判断を支援しているところである。
上記の取組を参考に、インターネット上を流通する社会的法益等を侵害する違法情報に対する電子掲示板の管理者等による送信防止措置を効果的に支援する方策を検討すると、違法情報の判断基準等を提示するとともに、違法性の判断に関して専門的知見、経験等を有する機関(組織)からの削除依頼については、仮に、電子掲示板の管理者等が違法ではない情報について誤って送信防止措置を行った場合でも、裁判所によって、送信防止措置について、当該情報の流通が違法であると信じるに足りる相当の理由があり故意又は過失がないと判断されることが期待されるような仕組みを構築することが考えられる。
具体的には、違法情報の例示及び判断基準を提示するとともに、警察等、社会的法益を侵害する違法情報について法令の解釈及び具体的事案における適用に関して専門的知見を有する機関からの送信防止措置依頼に対して、電子掲示板の管理者等が対応手順等を参照できる違法情報への対応ガイドラインを策定し、電子掲示板の管理者等による送信防止措置を支援することが考えられる。

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第6 有害情報への対応に関する提言
特定の情報を有害と評価するか否かは情報の受け手によって異なるため、違法ではない情報について有害性を判断するための画一的な基準を設けることは難しく、個々の電子掲示板の管理者等と利用者との間の契約関係等(電子掲示板のポリシー、趣旨等)に委ねざるを得ない面がある。加えて、電子掲示板の管理者等が、インターネット上において情報の流通を媒介し又は流通の場を提供して表現行為を促進する役割を果たしていることを考慮すると、違法ではない情報への対応に関して、統一的な対応指針を示して送信防止措置等の対応を促すことについては、表現の自由の観点から慎重な検討が必要である。
しかし他方で、近年、違法行為を目的とした電子掲示板への書き込みやウェブサイトの開設運営、人を自殺に誘引する情報の電子掲示板への書き込み、公共の安全や秩序に対する危険を生じさせるおそれの高い情報の流通等を契機として違法行為(窃盗、自殺幇助等)が行われる事案が発生しているなど、一定の情報の流通について、電子掲示板の管理者等による自主的な対応への社会的期待が高まっている状況が認められる。
したがって、ここではいわゆる有害情報の中で、公序良俗に反する情報及び青少年にとって有害な情報に限って、電子掲示板の管理者等による対応の在り方について検討する。

1 公序良俗に反する情報
有害情報のうち、公序良俗に反する情報については、これまでプロバイダや電子掲示板の管理者等により、契約約款や利用規約に基づく送信防止措置や注意喚起等の自主的な対応が行われてきたところであるが、どのような情報が公序良俗に反する情報に該当するのかについての判断が困難な場合がある。
そこで、公序良俗に反する情報への該当性の判断を支援するため、公共の安全や秩序に対する危険を生じさせる契機として情報が利用された事例、電子掲示板の管理者等により公序良俗に反することを理由として送信防止措置が行われた事例、我が国の法令における「公の秩序又は善良の風俗」という文言の解釈、さらには諸外国におけるインターネット上の情報の流通に対する法制度等を参考にして、電気通信事業者団体等においてモデル約款を策定

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し、一定の指針を示すことにより、電子掲示板の管理者等によるこれらの情報への対応を効果的に支援することが適当であると考えられる。
具体的には、現在、社団法人テレコムサービス協会において策定されている「インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン」や、「インターネット接続サービス契約約款モデル条項(アルファ版)」 において、公序良俗に反する情報として、公共の安全や秩序に対する危険を生じさせる情報を例示列挙するという方法などによることが考えられる。

2 青少年にとって有害な情報
青少年など特定の者にとってのみ有害な情報への対応については、どの情報を有害ととらえるかは受信者ごとに異なることから、受信者側で情報の取捨選択を行うフィルタリングの導入が有効な対応であると考えられる。このような対応は、受信者の選択により導入されるものであるため、法的な問題(送信防止措置等の対応に伴う法的責任)を回避することができること、日々新たに流通に置かれる違法・有害情報に迅速に対応することが可能であること等の利点もあることから、フィルタリングによる受信側の対応(受信者による情報のフィルタリング等)を積極的に推進していくことが重要である。
また、青少年を有害な情報から保護するためには、保護者、教職員等の意識を高めていく必要があり、これらの者を対象とした、インターネットの安心・安全利用に関する啓発活動についても、積極的に推進していく必要がある。

(1)フィルタリングの利用状況の現状
フィルタリングとは、インターネット上のウェブページ等を一定の基準で評価判別し、選択的に排除等する機能をいう。現在提供されているフィルタリングサービスには、主にプロバイダ等が提供するものと、フィルタリング事業者が提供するものとがある。また、前者は主として外部サーバ単独か、外部サーバとユーザ用ソフトウェアの2つの製品による連携システムとなっており、後者については、フィルタリングソフトをユーザ自身が端末にインストールして利用するシステムとなっている24。
フィルタリングの利用状況の現状について、アンケート調査等の結果をもとに分析すると、次のようになる。
〔脚注〕
24 各社が提供しているフィルタリングサービスについては、<http://www.nmda.or.jp/enc/rating/nihongo.html >等を参照。

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ア フィルタリングの認知度25
フィルタリングソフトの認知状況については、一般的なインターネット利用者の59%に上っているが、「よく知っている」は18.6%に留まることから、フィルタリングソフトの存在についての認知度はある程度高いものの、内容まで知っている割合は低いと考えられる。
〔図表略〕
イ フィルタリングへの興味・必要性26
児童がインターネットを利用する際のフィルタリング設定の必要性については、全体の75%が「必要」、19%が「年齢によっては必要」と回答しており、ほとんどが、児童がインターネットを利用する際のフィルタリング設定が必要と考えている。
〔図表略〕
〔脚注〕
25 「平成17年度 第2回電気通信サービスモニターアンケート」(総務省)調査結果より。
26 「平成17年度 第2回電気通信サービスモニターアンケート」(総務省)調査結果より。

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