「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

クリーミーに鶏肉のフリカッセ@七里ガ浜自宅厨房【前編】 欧州大陸の歴史的交錯に思いを馳せる

2010-01-23 14:57:24 | 食べ物・飲み物
男子も厨房にどんどん入れぇ~!と誘う雑誌、dancyu。書店によって料理本コーナーに置いてあったり、男性向けの趣味コーナーに置いてあったりするけれど、楽しくてお得な雑誌である。レシピもお店の料理の紹介記事も満載なのだ。話題のシェフが自慢のレシピを公開してくれる。しかも家庭で作ることを前提にだ。

2010年2月号は冬らしい特集で「ビストロ煮込み」の紹介記事があるというので、JR鎌倉駅東口前の松林堂書店に注文。スグに自宅に届いた。



最大のお目当ては「鶏肉のフリカッセ」のレシピである。解説するのは我妻英雄さん。国内有名フレンチ料理店やフランスの各店で修業後、現在は江戸の水天宮にある気取らない料理店「プチ・ニース」のオーナー・シェフを務めておられる。



鶏肉のフリカッセ。簡単化して言えば鶏肉を生クリームで煮込む料理。



ずいぶん昔の話だが、私はドイツでこの鶏肉のフリカッセを食べたことがある。それがあまりに美味しかったので、それ以来妙に強く記憶に残っている料理だ。

作り方はいろいろあるらしいが、我妻シェフのレシピを真似して、かつ適当に端折って、私もフリカッセを作ってみた。下の画像がそれだ。なんだ、簡単じゃないか。美味そうでしょ?そう、でたらめに美味かった。



私が初めてこのフリカッセを食べた場所は、コブレンツ(ドイツの街)にあるレストランだった。コブレンツと言ってもご存じない方もおられるだろうから説明する。

たいして大きな街ではないが、地形的にはかなりシンボリックだ。ライン河とモーゼル河が出会うところに位置し、地政学的に重要なポイントなのだ。下の画像がそうである。川の水の色が上と下で違うのがわかりますか?上がライン、下がモーゼル。私はなぜかこのコブレンツを2度訪れている。フリカッセを食べたのは1986年のことだった。



そういうきっかけがあるので、私はこのフリカッセを長年ドイツ料理だと思っていた。実際ドイツで見かけることが多い。ところが雑誌dancyuで久しぶりにこの料理を見て、フレンチの我妻シェフが解説するからには、少なくともフレンチと縁が深いのかしら、と不思議に思った。調べてみると実際フレンチだった。しかも歴史的にかなり交錯していて面白い。旧教国フランスで迫害され今のドイツに逃げ込んだフランス領の新教徒がドイツにこの料理を持ち込んだらしい。そうなんだなぁ、大陸中央部では人も文化も食べ物もあらゆるモノが複雑に交錯するんだなぁ~~、なんて考えているうちに、ここからまた話が飛んでゆく。

たまたま、中公新書の「物語 ストラスブールの歴史」(内田日出海著)という本が出たので、dancyuと同時に松林堂から買ったばかりである。現在はフランス領で「ストラスブール」なんて街の名前になっているが、ドイツ語なら「シュトラースブルク」だ。文字通り「道の城塞都市」で、実際相当複雑な歴史を経ている。ケルト人の村だったものが、ローマ人に支配され、ゲルマニア、フランクを経てその後はフランスとドイツが取り合いを続ける。20世紀になってもまだ流動的だったが、現在はフランス領。欧州大陸の歴史は面白い。



ストラスブールではないが、七里ガ浜にも北のケルト(アイルランドのこと)の血が流れる犬がいる。でもなぜかこの子は福岡県久留米市生まれで間もなくANAに乗って羽田に到着。最初は逗子に住みその後鎌倉七里ガ浜に住むが、かなり八ヶ岳山麓にも詳しい。この子を育てるとーちゃん(私のこと)は関ヶ原の向こう西国の出身で、かーちゃん(妻のこと)は東京生まれ東京育ちのような顔をしているが、実はその父母ともバラバラにまったく違う地域の出身だ。この子の生みの親は海外の血がかなり濃い。かなりこの子も交錯している。



欧州各地の権力者による版図の歴史的変遷を見ると、わけがわからない。民族、文化、食べ物その他が各地で交錯し、移動し、占領し占領され、変化して行った感覚は、欧州大陸独特だ。

外国旅行、とりわけ欧州好きを自認する人は多いが、ジェット機で空港に乗りつけそのままパリやロマンチック街道で観光と買い物をしていては、大陸の文化や民族が歴史的に交錯する感覚はわかりにくい。陸路を自分で移動し、国境をゆっくり越える感覚を楽しまないとわからないことはたくさんある。それが一番うまく出来るのは、やはりクルマによる旅だろう。道路が良いこともあるが、欧州大陸のドライブが楽しいのは、その「感覚」があるからだ。道路を走って楽しいからポルシェなんてクルマが生まれる。その背景も実際現地で運転してみればわかる。



これがあれば、ドライブも可能だ。王冠がついて「GB」の文字が眩しい免許証。



EC域内ならどこでも大丈夫なはず。私は1987年に取得した。それ以前は国際免許証で運転していたように記憶している。なんと2029年まで使える。免許制度が修正されてなければ、の話だが。



面倒な日本の免許制度もなんとかしたらどうか? ついでに言うと、陸運局管轄のナンバープレート制度も。あれは先が見えない制度で、どんどん車輛の分類(大型・小型)を示す数字の桁数が増えている。また陸運局の超狭い管轄地域ごとに「相模」とか「湘南」とか「横浜」とか「川崎」とか分かれているが、あの分類も要らないのでは? あれを廃止すると各陸運局の職員は多くが失職するかもしれない。しかし英国では、そんなものはないし廃車となったナンバーも同じ数字を数十年後に使いまわすことが可能。シンプルで将来が見通せる賢いリサイクル的なシステムを採用している。さらに言うと、日本の車検制度や免許取得のシステムも公務員のためにあるようなもんだなぁ・・・あぁああぁ~~。

「おちゃさんのブログで食べ物の記事の時、いつも出て来る皿は何?」と聞かれたことがある。ちょっと紹介しておくと、ビレロイ・ボッホ社のプチ・フルールというシリーズである。花のパターンがかわいいが、ちょっと煩い。最近日本でも人気が出て来た名門陶器メーカーである。我が家ではもう四半世紀近く愛用していて、ひと揃えのセットをこのシリーズで持っている。見た目で料理を引きたてるのは真っ白い無地の皿だ。そんなことはわかっているが、このプチ・フルールはひと揃えのセットがあることと、やはり長年の愛着があるから、それ以外は使いがたいのである。



話がどんどん展開するが、このビレロイ・ボッホもかなり歴史的に交錯している。昔はルクセンブルクの代表的な製品だった。ルクスがあまりに小さい国であるためか、「made in Luxembourg」と書いた工業製品をみつけるのは難しいのだが、このビレロイ・ボッホはそういう貴重な製品のひとつだったのだ。しかし最近同社の製品を買うと、「made in Germany」とあるものが多い。欧州内でこの会社は変化しているのである。だいたいルクセンブルク自体が欧州の歴史的交錯を体現しているような国だ。ルクセンブルク語は聞いているとドイツ語の訛りのように響くが、書き言葉ではない。日本の地方語みたいなものだ(東北や関西や九州の言葉を話す人もビジネス文書を書く時は標準語を使うのと同じである)。一方学校における国語の授業、役所、レストラン、契約書、交通標識などは全部フランス語が使われる。斯様なルクスのビレロイ・ボッホ社の陶器は・・・正にフリカッセを食べる時に使うのに最適な陶器である。



さらに話が飛ぶ。今読んでいる北大路魯山人著「春夏秋冬 料理天国」の中に「材料か料理か」という話がある。彼によれば、料理は多くが材料で決まってしまう(特に日本料理の場合)らしい。では、私がつくるフリカッセはどうなのだろうか?かなり気になる。



何せ、私はお安い材料を使うのである。フリカッセの材料だって、いつもの西友七里ガ浜店で入手する。ニンジン、ジャガイモ、玉ネギなんでも1個20円。安いでしょ。信じられますか? しかし所詮は生クリームで鶏肉をコトコトと煮込む料理。かなりの部分は技術で決まるだろう・・・と期待する。



あまりに前置きが長くなったので、フリカッセの調理過程は次回に紹介する。画像多数。非常に簡単だ。お楽しみに。
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-01-23 22:34:51
フリカッセ、こんなに引っ張って次回に持ち越しなんてはずるいですよ~。
ところででおちゃさんは何ヶ国語の会話が出来るのですか?
私は伊予弁と讃岐弁だけですけど。

カイザーのお姉ちゃんですが、今日葉山のフドッグランで遊んだそうです。
会えましたか?。
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Unknown (ユミ)
2010-01-23 22:35:31
またまた、やっちゃいましたー。
↑は私です。
返信する
Unknown (おちゃ)
2010-01-23 22:40:53
ユミさん

何カ国語って?
2つだけ。大阪弁とスワヒリ語だけですけど。

あ~~~会えなかった。あの公園、
遠いので、そうしょっちゅうは行けません。

ところでカイザーのお姉ちゃんってお名前は?
カイ子?

今度葉山方面の散歩の時は、探します。
小さい街なので、会えるかも。


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