「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

八ヶ岳西麓原村(6) 八ヶ岳山麓(山梨県北杜市)のビルダーであるブレイスについて

2023-01-08 17:00:56 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
今回はブレイスについて語りましょう。

ブレイスは八ヶ岳南麓(山梨県北杜市小淵沢)にオフィスを構えるビルダー(=建築家あるいは工務店)集団である。

私の山荘はそのブレイスに建ててもらった。

設計や工事は1998年から1999年にかけて行われたので、それ以降ブレイスとのお付き合いは、四半世紀ほどになる。


ブレイスの代表は丸山さん。

これは24年前の丸山さんだ(↓)。若いな。

山荘の玄関ドアを開けるとこの写真が見える。


トイレにも丸山さんの写真がある。


トイレの便座に腰掛けると右手から丸山さんがほほ笑む。

丸山さんには、ずいぶんお世話になった。

1.この山荘を建ててもらった。
2.両親の家を蓼科に建ててもらった。
3.鎌倉の自宅を建ててもらった。
4.山荘の外側木部の塗装をお願いした。
5.鎌倉の自宅の木部の塗装、外構や破風の変更をお願いした。
6.鎌倉の自宅の外壁や木部の塗装、屋根の張替をお願いした。

それ以外にもあれやこれや設備の故障等、細かいことは全部お願いしている。いつもとても丁寧に対応してもらっている。


以下にブレイスの特徴を挙げる。

① ブレイスは会社組織の形態を取っていない
「ブレイス」は単に屋号である。したがってブレイスで働く人達は会社員ではない。個人としての丸山さんに雇われているだけだ。みんなよく働く人達だし、とても親切だ。


② あらゆる構法に対応している
丸山さんは1980年代にログ・ハウス建築(主に高原での別荘建築)から仕事を始めて、この世界に入っている。だから八ヶ岳山麓の高冷地での建築のノウハウを知り尽くしておられる。住宅の構法なんていろいろあって、どれがいいとか悪いとかいうものではない。在来の木造軸組構法、枠組壁(いわゆるツーバイフォー)構法、ティンバー・フレーム構法、ハンドカットやマシンカットのログ・ハウス。構法に拘わらず、ブレイスでは対応が可能である。

因みにこの山荘はティンバーフレーム構法で建てられている。北米では19世紀に枠組壁構法が使われ始め、20世紀には木造建築というとほとんどそれになってしまった。今では日本でもよく見られる構法だ。工事で壁がいきなり立ち上がる構法がその枠組壁構法である。しかし昔は北米でも柱や梁を用いるティンバー・フレーム構法でもっと多くの木造住宅が建てられていた。ティンバー・フレーム構法は、日本の在来軸組構法と構造的にはほぼ同じである。ただし材が日本のよりかなり太い。ご覧の画像の柱は18cm、梁は30cmの角材である。

柱と梁に斜めにかかるブーメランのような形の部材がブレイスと呼ばれるもので、それがこのビルダー集団「ブレイス」の屋号になっている。構造的には日本の建築でいう筋交いのような役割を果たすが、インテリア的装飾としても面白い効果をもたらす。


話を元に戻しましょう・・・

③ 工事を自分達で処理する
ブレイスでは、かなりの範囲を自分達で施工する。大手住宅メーカーに施工を依頼すると、設計以外の仕事が下請けに回る。現場で大工工事をしている人に、その住宅メーカーの社員などいない。一方、ブレイスでは作業可能な部分はそこで働く人達によってすべて仕上げられる。例えばハンドカットのログ・ハウスの場合なら、原木の皮むきからブレイスにより仕上げられることだろう。ただし現在ではハンドカットのログ・ハウスを依頼する施主などほとんどいないだろうけれど(笑)。


④ 施主のカネが余計なところに流れ出ない
ブレイスにはモデルハウスはない。カスタムメイドでまったく異なる家を次々とつくるのだから、モデルハウスなど意味がない。またブレイスのオフィスは半世紀近く前に建てられ、以前はスナックだった建物である。モデルハウスがないことやオフィスにカネをかけないことは、ブレイスがビルダーとして余計なコストがかかりにくい体質であることを示す。さらに会社組織ではないことも、仮にそうであったとしたらかかるコストが不要となり、施主にとっては有有利だ。ブレイスで働くビルダー達自身が、多くの作業工程を自分達で処理してしまえることも、同様にコスト面で施主にとってプラスに働いているだろう。

試しに大手ハウスメーカーの巨大な本社ビルに入ってみよう! 1階や地下に受付があり、その横や後ろの壁面に社内各部のリストが掲げてあるだろう。役員室、秘書課、人事部、経理部、財務部、法務部、コンプライアンス部、営業部(第一、第二、第三・・・)、海外営業部、総務部・・・などいろんな部署があるが、それらは施主の家とほとんど関係がない。あるいは全国にある営業所のビルやモデルハウスにいる営業担当者も同様だ。然しながら、それらにかかる建設費や税金や維持費や光熱費、さらにそこに働く何万人ものハウスメーカー社員の給料・ボーナスの他、社会保障負担は、すべて施主が払いこんだおカネから出ている。施主のおカネの多くが施主の家ではなく、まったく無関係なところに消えて行くのである。
 

⑤ カスタム・メイドで家をつくる
ブレイスがつくる家に、基本プランやスタンダード仕様みたいなモノがあるわけではない。細部まであらゆるものがすべて施主の希望に沿って決まる。施主も素人なりに勉強し、自分の希望をドンドン述べて、ブレイスと一緒にプランニングをすることになる。多くの施主はブレイスとホンモノの木の家を建てている。もちろん施主が希望すれば、ブレイスは新建材で固めた家も作ってくれるだろうけれど、それなら他にそれを建ててくれる工務店がたくさんあるのだから、別にブレイスに依頼する必要はないということになる。


⑥ 詳細を見せる見積書、契約書
施主と契約をする際、ビルダーの中には、建物それぞれの部分の工事、部材、設備の調達にかかったコストをあれこれ合わせて「ぶっ込み」のラフな数字を並べた明細書しか出してくれないところがある。彼らだっていろんな細かな計算を積み上げて施主にカネを請求しているわけだから(そうでなければビジネスとして成り立たない)、本来細かな明細書が出せないわけはないが、それをしてくれないところがある。ブレイスの場合、調達コストと自身の作業料金と利益を掲載した非常にわかりやすい明細書がもらえる。プランを決める段階で資金的にきついと思った施主は、例えば「この256,000円のオークのドアは止めて、カタログにある半額以下のヘムロックのにするわ」とか、「この部分に貼る予定のタイルが高い。だったらコンクリートの打ちっ放しでいいわ。そのかわり表面はザラザラって感じで仕上げてね。その場合工事費はいくらになるの?」などと会話すればいいのだ。


とまあ、ブレイスって、こんなところかな。


こちら(↑)は屋根裏部屋で、寝室になっている。

登り梁ってやつだ。屋根の傾斜にしたがい上がって行く太い梁が露出している。

こちら(↓)は屋根裏部屋から下を覗いたところだ。


こちら(↓)が食卓のあるスペース。


全体で東西に8m、南北が6mほどの長方形の建物だ。

つまり48平米。かわいいねえ。

妻壁側はこうなっている。


1階だけ柱を立ち上げ、そこからカネ勾配(45度)で登り梁を組んで屋根を載せてある。それは自宅も同様だ。こうすることで全体の高さを低く抑えられる。

外壁の1階部分はモルタルと藁。


屋内の壁は珪藻土がベースで、3種類の色を僅かに混ぜてムラを出しながら、ベテランの左官屋さんが面白く塗ってくださった。


思えば長く通ったもんだね。

1998年にこの土地を見に来てから何度ここに来たことでしょう。


あ、これ(↓)はケニアのもの。


いい顔しているね。

ブレイスに関心がある方は、どうぞリンク先のホームページをご覧ください。

コメント (24)
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