テレビ番組のブラタモリで明らかなように、タモリさんは地理や地学や歴史が好き。
これはタモリさんのちょっと前の著書だが、とても楽しい。
日本坂道学会という不思議な学会の副会長でもあるタモリさん。
タモリさんは都内23区を歩き回って多数の坂道を体験し、鑑賞に耐えうる良い坂道の4つの条件を挙げている。
その条件とは以下の通りだ。
1.勾配の具合
2.湾曲のしかた
3.まわりに江戸の風情をかもしだすものがある
4.名前に由来、由緒がある(画像には出てない)
鎌倉市内の住所区分である七里ガ浜あるいは七里ガ浜東では、4.はまず望めない。名前に古い由来がある坂道なんてないのだ。道路に歴史がないからだ。
しかしこのあたりにも、1.や2.を満たす坂はある。
また3.を部分的に置き換えて「まわりに海の風情をかもしだすものがある」とするなら、それを満たす坂道はありそうだ。
ということで・・・
1.勾配の具合
2.湾曲のしかた
3.まわりに海の風情をかもしだすものがある
これ(↑)を鎌倉七里ガ浜あるいは七里ガ浜東において日本坂道学会的「良い坂の条件」としよう。
「おとーさん、どこかに出かけるのではないですか?」と警戒するドガティ君。
ドガティ君はニンゲンが出かけようとすると緊張し、なぜか玄関にあるベンチの下に入る。
なぜでしょうね。
その通りだよ、おとーさんとおかーさんは出かけるのだ。
江戸の実家の両親のお世話で江戸に戻る妻を、JR鎌倉駅に送るためクルマを運転。
そして数十分後、私は自宅に戻る。
そしてそのまままた出かける。今度は徒歩で。
本日は音楽を付けちゃう。ポピュラー音楽の中の古典。
天才音楽家のひとりだろうね。バート・バカラック。彼のTHIS GUY'S IN LOVE WITH YOU ♪
ボーカルもいいが、この演奏もいいね。途中、バカラック自身の声も少し聞こえる。
この演奏が入ったLPレコードを持っていたなぁ。
この日の散歩にぴったりな音楽だ。
さて、これが七里ガ浜住宅地を代表する坂道だ。
そりゃね、これはドラマやポスターやテレビのCMで過去に何度も登場した景色だ。
いいですよ。
でもそれは目の前に海が広がり、景色がずば抜けて良いということであって、先述の「良い坂道の条件」には合致しない。
日本坂道学会的に「良い坂道」とは、その坂道自体が景色とは無関係な上記条件を満たして「良い坂道」である必要があるのだ。
なので、このまっすぐで幅広で景色が良い坂道は、それはそれで景色を楽しむとしましょう。
あ、なぜかここに畑からとれたばかりみたいないびつなカボチャが・・・。
どうしてここに落ちているの?
話をもとに戻すと、日本坂道学会的にはやはり坂道は曲がっていないといけない。
こちらは近所の通称「蛇坂」だ。風情ある風景ではないが、左へ右へと曲がっている。
曲がるところは、それが一部ではあっても、先に何が見えてる来るかわからないというワクワク感があるのだ。
関西の実店舗で今も気を吐く数少ない百貨店、阪急百貨店の内装デザインの特徴のひとつと一緒だ。
壁をつくり角を曲がらないと次にどんな店舗や売り場があるかわからない状態を所々につくることを、阪急百貨店本店は昔から得意としてきた。
一方グループとして統合された相手の阪神百貨店は、フロアの端っこに立てばフロア全体がよく見えるという昔からある形式が多かった。
この蛇坂はその点とても優秀だ。左へ右へとね。先は見えない。
近くには歴史的に重要なポイントである日蓮上人の雨乞いの池もある。
わざわざ訪れる人もほとんどいないが、ここはかなりの名跡。
ご存じ鎌倉友青会の石碑もあるよ。
でも私が今回ご紹介したいのは蛇坂でもなく日蓮上人の池でもなく、海に向かって下るただの細い坂道なのだ。
タモリさんが先の著書で紹介していた坂道も、ほとんどが細い道だった。人が歩いて楽しい道って、細いところが多い。
七里ガ浜高校の向こうに由比ヶ浜が見えてその向こうに逗子や葉山が見えるという山の上。
そこを越えて一気に海へ降りる坂道。
ここがその坂の始まり。私が日本坂道学会的な意味で推薦したい坂道だ。
こうやって見ると、なんとも特徴-lessで平凡な坂道の始まりに見えるかもしれない。
でもねこの坂道は、先ほどの日本坂道学会が言う「良い坂道の4条件」をこちら風に改良した3条件に合致する坂なのよ。つまり・・・
1.勾配がある
2.湾曲している
3.海の風情をかもしだしている
それらの条件をばっちり満たす坂道の風景がここから展開する。
大島まで見えますぜ。鎌倉市七里ガ浜の真南は大島(東京都)なの。
海なんて坂の途中で何度も見えるし。
勾配もかなりのものだし。
もう海の風情ありありの風景ばかり。
下の画像では電線がうるさいけれど、松も海を感じさせる状態。
つまり強風にやられ、折れ曲がり、さらに剪定されるが、それでも海風にあおられながら成長し続けた姿。これぞ海辺の松。海の風情だね。
この坂道はあっちこっちと屈折してますます魅力的だ。
大事な条件が「湾曲」だ。
細くなるしね。
坂道に限らない話で、道が太くてまっすぐなのが魅力的なのは、大都市の目抜き通りだけだ。
郊外や田舎の道は、適度に細い方がいい。しかも曲がっている方がいい。
旧鎌倉の中なんて、寺所有の借地が並んでセットバックなんかしていない細いクネクネ路地が人気だ。
なかなか先が見通せない、期待感や不安感がある坂道。
振り返る。結構な傾斜を下って来たね。
画像右上のお宅(↓)なんて、すごい眺めを毎日満喫しているだろうね。
まだ下る。やや左へ曲がりながら。
今度はやや右へ曲がりながら。いいねぇ。
この坂は、このあたりに限れば、日本坂道学会的にベストな坂道だと思うよ。
先ほどの3条件に当てはまる。勾配、湾曲、海の風情。
やっと下りたよ。この先で終わりだ。
「鎌」の字の鎌倉市のマンホール。
よく下りました。
さらに下がって全体を見る。
見えてきた、江ノ電の踏切。
何度も振り返る。
線路内は立入禁止だが、この踏切は渡れますよ。
これが最後だ。
また振り返りましょう。
あぁ、楽しかった。
日本坂道学会七里ガ浜支部からの報告書でした。
ここからは平坦。
眩しい太平洋を好きなだけご覧ください。
老舗のイタリアン料理店、アマルフィ。
アマルフィに隣接し、アマルフィが経営する鉄板焼きのお店。
七里ガ浜地区の店舗で海辺最前線。
いかにも七里だ。
そして定番の風景。
稲村ケ崎公園や七里の駐車場から見える、おなじみの風景。富士山は隠れちゃってるね。
これがいつもの平和な七里ヶ浜。
文字通り、長い長い浜辺。
どんなに寒くても、どんなに雨でも、かならず出てくるサーファーたち。
西の方にはいつも江ノ島。
私が勝手にご近所ではベストだと考える坂道のご紹介でした。
【つづく】
これはタモリさんのちょっと前の著書だが、とても楽しい。
日本坂道学会という不思議な学会の副会長でもあるタモリさん。
タモリさんは都内23区を歩き回って多数の坂道を体験し、鑑賞に耐えうる良い坂道の4つの条件を挙げている。
その条件とは以下の通りだ。
1.勾配の具合
2.湾曲のしかた
3.まわりに江戸の風情をかもしだすものがある
4.名前に由来、由緒がある(画像には出てない)
鎌倉市内の住所区分である七里ガ浜あるいは七里ガ浜東では、4.はまず望めない。名前に古い由来がある坂道なんてないのだ。道路に歴史がないからだ。
しかしこのあたりにも、1.や2.を満たす坂はある。
また3.を部分的に置き換えて「まわりに海の風情をかもしだすものがある」とするなら、それを満たす坂道はありそうだ。
ということで・・・
1.勾配の具合
2.湾曲のしかた
3.まわりに海の風情をかもしだすものがある
これ(↑)を鎌倉七里ガ浜あるいは七里ガ浜東において日本坂道学会的「良い坂の条件」としよう。
「おとーさん、どこかに出かけるのではないですか?」と警戒するドガティ君。
ドガティ君はニンゲンが出かけようとすると緊張し、なぜか玄関にあるベンチの下に入る。
なぜでしょうね。
その通りだよ、おとーさんとおかーさんは出かけるのだ。
江戸の実家の両親のお世話で江戸に戻る妻を、JR鎌倉駅に送るためクルマを運転。
そして数十分後、私は自宅に戻る。
そしてそのまままた出かける。今度は徒歩で。
本日は音楽を付けちゃう。ポピュラー音楽の中の古典。
天才音楽家のひとりだろうね。バート・バカラック。彼のTHIS GUY'S IN LOVE WITH YOU ♪
ボーカルもいいが、この演奏もいいね。途中、バカラック自身の声も少し聞こえる。
この演奏が入ったLPレコードを持っていたなぁ。
この日の散歩にぴったりな音楽だ。
さて、これが七里ガ浜住宅地を代表する坂道だ。
そりゃね、これはドラマやポスターやテレビのCMで過去に何度も登場した景色だ。
いいですよ。
でもそれは目の前に海が広がり、景色がずば抜けて良いということであって、先述の「良い坂道の条件」には合致しない。
日本坂道学会的に「良い坂道」とは、その坂道自体が景色とは無関係な上記条件を満たして「良い坂道」である必要があるのだ。
なので、このまっすぐで幅広で景色が良い坂道は、それはそれで景色を楽しむとしましょう。
あ、なぜかここに畑からとれたばかりみたいないびつなカボチャが・・・。
どうしてここに落ちているの?
話をもとに戻すと、日本坂道学会的にはやはり坂道は曲がっていないといけない。
こちらは近所の通称「蛇坂」だ。風情ある風景ではないが、左へ右へと曲がっている。
曲がるところは、それが一部ではあっても、先に何が見えてる来るかわからないというワクワク感があるのだ。
関西の実店舗で今も気を吐く数少ない百貨店、阪急百貨店の内装デザインの特徴のひとつと一緒だ。
壁をつくり角を曲がらないと次にどんな店舗や売り場があるかわからない状態を所々につくることを、阪急百貨店本店は昔から得意としてきた。
一方グループとして統合された相手の阪神百貨店は、フロアの端っこに立てばフロア全体がよく見えるという昔からある形式が多かった。
この蛇坂はその点とても優秀だ。左へ右へとね。先は見えない。
近くには歴史的に重要なポイントである日蓮上人の雨乞いの池もある。
わざわざ訪れる人もほとんどいないが、ここはかなりの名跡。
ご存じ鎌倉友青会の石碑もあるよ。
でも私が今回ご紹介したいのは蛇坂でもなく日蓮上人の池でもなく、海に向かって下るただの細い坂道なのだ。
タモリさんが先の著書で紹介していた坂道も、ほとんどが細い道だった。人が歩いて楽しい道って、細いところが多い。
七里ガ浜高校の向こうに由比ヶ浜が見えてその向こうに逗子や葉山が見えるという山の上。
そこを越えて一気に海へ降りる坂道。
ここがその坂の始まり。私が日本坂道学会的な意味で推薦したい坂道だ。
こうやって見ると、なんとも特徴-lessで平凡な坂道の始まりに見えるかもしれない。
でもねこの坂道は、先ほどの日本坂道学会が言う「良い坂道の4条件」をこちら風に改良した3条件に合致する坂なのよ。つまり・・・
1.勾配がある
2.湾曲している
3.海の風情をかもしだしている
それらの条件をばっちり満たす坂道の風景がここから展開する。
大島まで見えますぜ。鎌倉市七里ガ浜の真南は大島(東京都)なの。
海なんて坂の途中で何度も見えるし。
勾配もかなりのものだし。
もう海の風情ありありの風景ばかり。
下の画像では電線がうるさいけれど、松も海を感じさせる状態。
つまり強風にやられ、折れ曲がり、さらに剪定されるが、それでも海風にあおられながら成長し続けた姿。これぞ海辺の松。海の風情だね。
この坂道はあっちこっちと屈折してますます魅力的だ。
大事な条件が「湾曲」だ。
細くなるしね。
坂道に限らない話で、道が太くてまっすぐなのが魅力的なのは、大都市の目抜き通りだけだ。
郊外や田舎の道は、適度に細い方がいい。しかも曲がっている方がいい。
旧鎌倉の中なんて、寺所有の借地が並んでセットバックなんかしていない細いクネクネ路地が人気だ。
なかなか先が見通せない、期待感や不安感がある坂道。
振り返る。結構な傾斜を下って来たね。
画像右上のお宅(↓)なんて、すごい眺めを毎日満喫しているだろうね。
まだ下る。やや左へ曲がりながら。
今度はやや右へ曲がりながら。いいねぇ。
この坂は、このあたりに限れば、日本坂道学会的にベストな坂道だと思うよ。
先ほどの3条件に当てはまる。勾配、湾曲、海の風情。
やっと下りたよ。この先で終わりだ。
「鎌」の字の鎌倉市のマンホール。
よく下りました。
さらに下がって全体を見る。
見えてきた、江ノ電の踏切。
何度も振り返る。
線路内は立入禁止だが、この踏切は渡れますよ。
これが最後だ。
また振り返りましょう。
あぁ、楽しかった。
日本坂道学会七里ガ浜支部からの報告書でした。
ここからは平坦。
眩しい太平洋を好きなだけご覧ください。
老舗のイタリアン料理店、アマルフィ。
アマルフィに隣接し、アマルフィが経営する鉄板焼きのお店。
七里ガ浜地区の店舗で海辺最前線。
いかにも七里だ。
そして定番の風景。
稲村ケ崎公園や七里の駐車場から見える、おなじみの風景。富士山は隠れちゃってるね。
これがいつもの平和な七里ヶ浜。
文字通り、長い長い浜辺。
どんなに寒くても、どんなに雨でも、かならず出てくるサーファーたち。
西の方にはいつも江ノ島。
私が勝手にご近所ではベストだと考える坂道のご紹介でした。
【つづく】