「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

階段や廊下の幅の確保@七里ガ浜自宅

2009-12-19 00:09:39 | 建築外観・構造
住宅設計のための下絵を書く作業は、豪邸を設計するようなケースを除き、多くの場合90cm(厳密に言えば91cm近くはあるだろうが)を一つの単位と見なしたマス目の紙の上で長年行われてきたらしい。マス目を2つ並べれば、畳1枚と同じである。マス目4つで1坪だ。それらは日本の土地建物の基本的モジュールであるからして、誰にもわかりやすく設計もやりやすい。

しかし今や畳の部屋は、どこの家でも激減している。我が家も畳の部屋がない。必ずしも伝統のマス目に固執する必要がないのである。



このマス目を使って設計すると、十分な総面積のある一戸建てにおいてすら、階段や廊下の幅が狭くなってしまうことが多い。

普通の住宅の階段あるいは廊下の幅としては、2マス使って180cmでは広すぎる。1マス半なんてやり方もあるが、それをすると、それ以外の部分でいろいろと調整が必要となるので、一般的には行われない。階段や廊下の幅としてあてがわれるのは、たいてい1マス(90cm)なのである。

さらに、マス目に書かれた家の平面図は壁の厚みを考慮していない。廊下の幅に1マス充てて90cmにしたとしても、それは壁の芯から芯への幅なので、実際の廊下の有効幅はそれより15cmほど縮まり、75cmほどとなってしまうのだ。

これは例えば押し入れ内収納の大型プラスチック・ケースを、そのまま横にして持っては歩けない水準である。だから引っ越し等の際に壁が傷ついたりする。クロスなら破れる。塗り壁ならこすり傷がつく。一般に押し入れは廊下幅と同じ発想で半間(90cm)の奥行きを基本設計として作られることが多い。そんな押し入れの中にギリギリに収納することを想定して、プラスチック・ケースが製造されているのだから、それが同じ発想で作られた廊下を通れないのは当り前だが。



このマス目で設計の下絵を書く習慣は、すでにかなり崩れている。インチ単位で設計する米国型ツーバイフォーの輸入住宅屋さんは、昔から90cmなどという単位を設計時に意識して来なかった。ログハウスのビルダー達もそうだ。RC造の人達もそうかもしれない。和風建築でも豪邸の場合は昔からそんな単位に固執しなかっただろう。



大抵のものを楽々運ぶためには、階段や廊下の有効幅としては100cm程度は必要である。すると我々素人施主が鉛筆で下絵を書いて工務店にそれを渡して工事を依頼する場合、幅としては、壁の「芯・芯」で少なくとも120cm近くを表現しておいた方が良いことになる。我が家の総面積は小さいが、私もそれくらいの階段や廊下の幅を確保した下絵を、工事を請け負ってくれたブレイス代表の丸山さんに手渡した。

一方で幅が狭い階段や廊下もなかなか味のあるものだ。しかしもしあなた自身が広めの幅を希望するのに、あなたの工務店や設計者が伝統のマス目の便利さにいまだに固執し、「芯・芯」で90cm(有効幅75cm程度)を主張するなら、あなたははっきりと自分の希望を通すべきだ。マス目に従わないといけないわけはでないのだ。
コメント (8)
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カマクラトーシンを訪問する

2009-12-19 00:04:19 | あちこち見て歩く
昨日のこと。我らが鶴岡八幡宮。なんだ、市内観光か・・・違うんだなぁ~、今回は。

これを正面に見ながら右へ。つまり金沢みちを行く。遠浅な海しかない鎌倉から、朝比奈を抜け、天然の良港だった金沢(現横浜市金沢区)へ抜ける古くからの重要な交通路。今ではここの道路はいつも渋滞。



本題とは関係ないが、この鳥居の脇にあるのが鎌倉彫の店「博古堂」だ。私は昔から鎌倉彫に関心がなかった。どう見ても鎌倉彫は、私にはあまり面白いと感じられなかったのだ。でもこの博古堂の作品は全く違う。鎌倉彫などまったく知らない人でも、一目見ただけで、「これだけはちょっと別物」と思うことだろう。是非お立ち寄りを。



スタスタ歩くとやがて岐れ道の交差点に着く。昨日私はカマクラトーシンに行ったのだ。カマクラトーシンって何? 「岐れ道ってことは、きっとカマクラトーシンは鎌倉宮の別名でしょう」と思う人もいるかもしれない。いや違う。漢字で鎌倉投信と書く。投信会社が鎌倉に誕生したのだ。私は同社の鎌田社長を訪ねたのである。



同じ鎌倉市内にあるとは言え、我が七里ガ浜住宅地の妙に明るく軽いムードに比べれば、このあたりは重厚でシックな印象。風格がちゃう。このあたりの住所は雪ノ下、浄明寺、二階堂、西御門等が入り混じる。いい雰囲気だねえ。



大谷石の石積みに生垣や立派な樹木。これには遥か及ばないものの、七里ガ浜住宅街においても、同じようなエクステリア造作が散見される。ところが七里では只今あちこちで破壊が進行中。全部を掘り返して道路からフラットにしてコンクリートで固める工事。緑も石積みなくなり、土地を分割。せめて住民協定くらい守って欲しい・・・あっ、いけない。また愚痴が出た。



で、こういう景観のところを歩いて行くと・・・古い日本家屋が(下の写真)。立派だ。これが鎌倉投信の社屋。「ホントかい?」と目を疑う人もいようが、本当だ。私が到着した時、鎌田社長は屋根に上がり、落ち葉を掃除されていた。

自らが儲けることしか念頭になく、自らのキャパシティーを超えた巨額なカネを集めて運用し、しっかりと高い運用手数料を取り口先であれやこれや言い訳するのは上手だが、絶対的にも相対的にもろくなパフォーマンスを達成出来ない運用会社や、そうした商品を次々と売り込もうとする販売会社。言い過ぎかもしれないが、それが今の資産運用ビジネスの実態である。

鎌倉投信は、そうした業界カルチャーとは無縁の投信会社として誕生した。日本の個人投資家に長期の投資を呼び掛け、日本の将来を背負う立派な企業に投資する。おそらく投資先企業は株式時価総額的にあまり大きくないものが中心になるだろう。当然ポートフォリオはユニークなものになろうが、スタッフはその特性を正しく認識し自らのキャパシティを踏まえた運用を行い、その原則は将来もしっかり守られよう。立派な会社だ。



私は建築が好きなので、同社のオフィスとなっているこの築80年の家屋のあちこちを見せてもらった。立派な庭も見せてもらえた。根太を入れ替え床にチーク材を貼ってリフォームした部屋でお茶を飲みながら、鎌田社長と建築の話をし、さらに運用会社の盛衰や、良い運用会社がダメになるプロセスや、それを避けるための方策等について話をした。私と鎌田社長に共通の知人はいるが、直接お会いしたのは初めてだ。穏やかな方だが、信念に基づき独立系投信会社を興すだけあり「熱い」方だと思う。



一般の投信会社他、あま多の資産運用会社の運用商品の多くは、投資家から高い手数料を巻き上げてはいるが、結果としてそれに見合うだけの、投資家が望むようなパフォーマンスをまったく達成出来ていない。さらに言えば、販売会社や信託銀行の報酬など運用に絡む諸コストが信じられないくらいにかさむ。これを考えると、投資家があれこれファンドをスイッチすることなど馬鹿げている。ところが個人投資家も機関投資家も欲に目がくらみ、こうした商品を売る側の情報に踊らされ、状況はますますひどくなっている。皆、目を覚ました方がいいだろう。



鎌倉投信のように真面目に運用を考える会社はこの世界では稀である。第一号のファンドは来年ローンチされる。鎌倉投信のホームページはこちらだ。http://www.kamakuraim.jp/ 
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