じいばあカフェ

信州の高原の町富士見町:経験豊富なじいちゃん・ばあちゃんのお話を
聞き書きした記録です
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石積み

2005-07-15 22:41:12 | Weblog
 (百間堤防)
「蔦木は、昔から、おおかわ(釜無川)がしょっちゅう突っ切れて、水が入ってきたもんだ。今じゃ、バラスをとったから、川底が低くなっとるが、昔は、川底高くて、かえって田圃のほうが低かっただ。 蔦木のあたりは『せいすいてい』といってちょっと堤防が低かった。 もともと蔦木と武川の争いみたいなことで、内務省がそれぞれに堤防を作らせた。 
あれは昭和47年ごろだったかなぁ。 台風でおおかわがあふれて、蔦木のしものほうまで、田が流されるちゅうことがあった。 稲刈り直前だったもんで、被害が大きくて、それで、前からあった堤防に『かさあげ』ちゅう工事をした。 『百間堤防』も確かそのころ、『からづみ』ちゅうやり方でやっただ。 場所かい。 場所はちょうど、切掛の橋の下の辺りだな。」

(のづらづみ)
 「そけえらの河原から拾ってきたような石で積むのを、『のづらづみ』といって、基本は1個の石を6~7個の石で巻いていくだ。 1個の石が6~7個の石と接してるっちゅうこんだ。 8個になると、「やつまき」といって、へぼな石屋と言われるだ。 表に出てるとこを「顔」、見えないとこを「ひかえ」と言う。「顔」が8寸だと、「ひかえ」は1尺2寸くらいないとだめだ。石は一段ずつ低い方から、積んでいって、こっち側にむいとる石が、4~5個になったら、こんだ違う向きにする。 出来るだけあっち向いたり、こっち向いたりしたほうがいい。 5個以上おんなじ方を向いちゃあだめだ。 それと、堤でも土手でも、則面に直角に石を積まなきゃだめだぞ。 これは、田の土手でも堤防でもおんなじだ。 石を積んだ後ろ側には、1尺くらいバラ石を入れる。これを「からづみ」ちゅうだ。 バラ石でなくてコンクリをつめるのを、「ねりづみ」ちゅうだ。 「からづみ」はおらとのほんの若い頃までだな。 後はもう「ねりづみ」ばっかしになったな。」

 (石工の道具)
 「石を割ったり、加工する道具は、みんな自分でつくったもんだ。 「げんのう」や「やじめ」は、鋼は買ってきて、柄のとこは「うしころし」っちゅうくじけない木があちこちの山にあってな、それを普段から集めといて、使ったな。 今でも、ほらここに何本かとってきてあるが、今じゃなかなかこんな真っ直ぐないいもんは、手に入らねえな。 昔はどこにでも生えてたんだがな・・・。 割るときに使う「や」や「せっとう」は、廃車になったハイヤーの車軸をもらってきて、自分であっためて、たたいて作ったもんだ。 今でもそこに「ふいご」がある、時々、いたずらしてるがな。 道具も自分で作って一人前ちゅうこんだ。」 

 お話を伺った、蔦木の窪田さん。 80歳を過ぎているとは思えない「腕っぷし」。 石を積む“技”、“道具”へのこだわりは並大抵ではない。 石積みの「技」は、ちゃんと残っていくのだろうか。 「若い衆でも、土方に出たような衆は、覚えてきて、石積みをするぞ」と言う言葉に、少し安心して、席をたった。
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