ふいご屋の日常

ポジティフ・オルガン&チェンバロ貸出屋の傍ら歌手、の日記

2013年楽器研究+イタリア演奏旅行(2) ~Lemgo(ドイツ ノルトラインヴェストファーレン州)

2013-05-26 21:50:29 | オルガン
ブレーメンの宿を早朝に出て2か所目の滞在地へ移動。3回も電車を乗り換えて、着いた先はノルトラインヴェストファーレン州の町レムゴ(あるいはレムゴー)。

町の名前を言っても、そこ、いったいどこ?という反応が返ってくることが多かったのでしたが、デトモルトの北方にある、歴史ある旧ハンザ都市で情報はこちら
主だった施設をすべて見てもさほど時間がかからないような小さな町ですが、こちらはそういう町ばかり歩いて周っていて(歴史的オルガン巡りの行先は基本的には大都市ではありません)、駅から町の中心部に向かっていくにつれ、何だかいつものいい感じの光景(笑)が目の前に広がっていくので嬉しくなってきました。

5月8日 Schwalbennestorgel(ツバメの巣オルガン) Familie Slegel(1586-1595)/Familie Scherer(1612-1613)/Rowan West(2010)
(St.Marien zu Lemgo)

�/20/P 
ミーントーン 470Hz
ショートオクターヴ

Hauptwerk
Praestant 8'
Quintatien 8'
Gedackt 8'
Octave 4'
Holfloyte 4'
Mixtur 2-4f.
Scharff 3-6f.
Barpfeiff 8'

Oberwerk
Praestant 4'
Holpfeiff 8'
Nasatt 3'
Waltpfeiff 2'
Cimbell 3f.
Trumpett 8'
Zinke 8'

Pedal
Bordaunen Bass 16'
Bassunen Bass 16'
Trumpeten Bass 8'
Cornet Bass 2'
Gemshorenfloyt 1'


ご覧のように「ツバメの巣」の通称がぴったりの姿。Schnitzwerkはタンゲルミュンデとイメージが近い。

オランダのビルダー一族のSlegelによる最初の楽器は一段鍵盤、ルネサンスオルガンによく見られるような前扉が付いていたもののようであるが、これをハンブルクのScherer一族が拡大し扉も外された。この楽器もこれまた後世の改造を蒙ったが、現在見られるのはそのSchererによるちょうど400年前の姿につい最近復元されたもの。
前日のGanderkeseeの楽器と事情が異なり、この楽器に残されたオリジナルの笛はHWのPraestant8'(Scherer)のみであるが、その他の笛は他の場所に現存するSlegelやSchererの楽器の笛などを元に綿密に復元された(特筆すべきHWのBarpfeiffはミヒャエル・プレトリウスの文献からの再現)。

この楽器からは実に深い感銘を受けました。基本的に17世紀の音楽に強い関心を持っているせいもあるとはいえ、前日のSchnitgerよりもずっと仲良くなれそうな感じ(笑)。スウェーリンクやシャイデマン、ヴェックマンやブクステフーデを弾くのが楽しすぎ、この日は十分時間をもらえたこともあって市内観光をすべてやめてしっかり弾き込ませていただいたのでした(途中で疲れたのでちょっとホテルに戻ってうたた寝した後にまた戻ったり…汗)

アクセスするのがちょっと難しい場所にあるオルガンですが、自分にとってはタンゲルミュンデのScherer同様、時間をおかずにまた必ず再訪したいと思う楽器のリストに堂々と加わわることとなった次第。

この楽器による録音は、ちょうどハラルド・フォーゲル氏によるスウェーリンクのCDが出たばかり(SACD: MDG 914 1690-6)。師のインプロによる、この楽器のディスポジション紹介トラックもとても素晴らしいです。




オルガンとお別れした後は、歴史的な市庁舎前の広場でこの時季ならではの味覚を食す。当然です(^_^)





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