昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章:1970~73年 石ころと流れ星  80

2012年06月21日 | 日記
「学生、どっちかと言うと嫌われてんねん。気い付けんとあかんで」 髭の男は小声で肩を叩いた。微笑みの奥に、鋭く光る目があった。 「ちょ、ちょっと、すんません」 立ち去ろうとする男の腕をすがるように掴んだ。ドヤ街にやって来て2週間。やっと、きちんとした話ができそうな気がした。 「話あるんやろなあ。あるわなあ、それは。ずっと相手にされてへんもんなあ」 くるりと向き直った男の目から鋭さが消えてい . . . 本文を読む