昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章:1970~73年 石ころと流れ星   30

2011年07月11日 | 日記
20歳の年の暮れ、大晦日の東大路をリヤカー一つで夏美さんは引っ越した。店の二階の納戸に住まわせてもらうことになったのだった。 「柿本君、私の部屋覚えてるでしょ。納戸言うてもねえ、あんな感じやと思うわよ」 和恵が横から注釈を入れる。 「まあ、そやろなあ。家の造り、ほとんど一緒やから、京都の町屋は。三畳くらいの部屋で私には十分やったし、安アパートいうてもなあ、一人住まいにはもったいないし、&ld . . . 本文を読む