隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

ありそうな秘密だけど~『百年の秘密』 ナイロン100℃

2018年04月16日 10時26分24秒 | ライブリポート(演劇など)

2018.4.16(月)



 昨日の日曜日、もっと雨が降るかと予想していたが、昼前に晴れ間が出て・・・。
 駅近くの市の文化会館でピアノの発表会? 目いっぱいのおしゃれをした子どもたちが走り回っていた。
 子どもの演奏とかスポーツ競技のようすとか、ときどき見ることがあるけれど、「みんながんばれ」的な気持ちでちょっと胸が詰まったり(笑)。歳をとりました。
 将来なんてどうでもいいから、今だけ輝ける場所が誰にもあるといいね。
 いろんな可能性を一つ一つ捨てながら大人になっていくんだとしたら、想像でも妄想でもいいから、最初にたくさんの可能性をもてるといい。


 先週、ナイロン100℃の「百年の秘密」を観てきた。
 駅の南口が閉鎖されてから初めての下北沢。これからどんな街になっていくんだろう。
 臨時の北口から出てくねくねと歩いてかつての踏切をわたったら、いつの間にか本多劇場付近。この街は思ったとおり、狭い空間だ。 

 

2018.4.13
「百年の恋」ナイロン100℃
 at 本多劇場

 http://sillywalk.com/nylon/schedule.html

 作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 出演:犬山イヌコ/峯村リエ/みのすけ/大倉孝二/松永玲子/村岡希美/長田奈麻
    萩原聖人/泉澤祐希/伊藤梨沙子/山西 惇 ほか

 ケラ氏が「どうしても再演したい演目などはあまりないが、もしどうしてもと言うならばこの作品」と語っていたので、それに惹かれてチケットをとる。作者が「再演したい」と言うのなら、それはもう最強の芝居じゃないの?という感覚。

 主人公は二人の幼なじみの「少女」であり「女性」であり「老女」。だって百年のわたるお話なんだもの。彼女たちが亡くなったあとの曾孫の時代まで話は飛んでいく。
 しっかりと結びついた関係は「友情」という平べったくて上っ面の空気感をはるかに越えている。疎遠になることもなく結びついて時を重ねて、家族以上?の歴史を作っていく。
 そんなのあり?なんて無粋なことは言うまい。だって、こんなふうな関係があるとしたら、ちょっと煩わしい気もするけれど、でもステキじゃないか!と、この年になると思えるし。ありえないと思うからこそ、貴重だし憧れだ。

 ティルダ(犬山イヌコ)とコナ(峯村リエ)。
 二人は12歳のときに出会い、恋をして結婚して母親になって、そして同じ時にショッキングな亡くなり方をする。
 時間の軸は、私たち観客をそのスピードの上に乗せて、過去へ未来へと縦横無尽に飛び跳ねる。一気に20年後に行ったり、今度は40年前に戻ったり。観客はそのたびに一瞬のリセットを求められる。そして、話の伏線が巧みに隠されていて、それが明らかになるときの密やかな快感が隠し味。
 進行役でありナレーターの役割も担う女中メアリー役の長田奈麻の、まろやかで深く優しい声がなんとも心地良い。
 年齢によって巧みに演じ分ける犬山イヌコの演技と、少女のときも大人になっても、どこまでも役者の個性を主張する峯村リエの演技の、その対照性もおもしろい。
 ティルダの兄を演ずるのは大倉孝二。抑え気味のこともあるが、本来の彼の持ち味である枠を越えた人物描写も健在。溌溂としたスポーツ青年の頃から、父親との確執で斜めった人生を歩んでいる中年の苦悩の時代までを演じ分ける。

 小さな秘密から、人の人生に影を落とす秘密まで、重なり合って、じわりじわりとでかくなっていく。その秘密は案外と陳腐で、よくある?類のものだけれど、秘密は個人のものではなく血をたどって悲劇さえをも生む。
 そんな彼女たちの秘密も日常も、舞台中央に存在感を見せて古い大木が見守る。ベイカー家の庭と居間が舞台の上に両立していて、その中央に大木がある。その中を役者たちが行き来して、最初はちょっと戸惑ったけれど、そのうちに自然に受け止められるようになる。
 オープニングの映像を駆使した独特の役者紹介から、出演者全員によるパフォーマンスに導かれて物語の中心へと私たちはいざなわれ、時空を越えた人間たちのドラマがスタートする。
 たぶん観客のそれぞれが些末な人間模様の、そして事件の観察者、目撃者、証言者となって、壮大な家の歴史や騒がしい人間たちの嘆きや叫びを受け止めていく。彼らの旅路に付き合わされて、疲れと、ああ、人間なんてこんなもんだという達観とあきらめをもらって、カーテンコールまでたどりつく。
 
 百年か・・・。それは長いのだろうか、短いのだろうか、などと考えながら、劇場をあとにした。
 実際の自分自身の長い時間の経過は、私の想像を越えて見事なほどにあやふやだ。それでもときどき、振り返ってみることはある。だけど先のことはいつになっても未知の世界。
 そんな当たり前のことを考えつつ、観劇後の不思議な安堵感はなんだったのだろう。



                              

  
■ サヨナラの会 大杉漣さん
 https://www.cinematoday.jp/news/N0100150
 https://www.cinematoday.jp/news/N0100025
 https://www.cinematoday.jp/news/N0100026

 映像で見ていただけの一ファンだけれど、こんなふうに身近な人や仕事仲間から真の言葉で見送られた存在の大きさを改めて感じる。
 それでもファンは、過去の映像や作品で、彼の死や演技者としての魅力を再確認しつつ、過ぎていく時間に逆らうことはないだろう。生の彼を知っていた人たちの時間はもっと違うところで抵抗していくのかもしれない。
 亡くなって改めて、どんなに好きだったかと知ったという、ご子息の発言が胸をつく。そんなふうに思われる親も、そんなふうな言葉で親を見送れる子どもも、ただただうらやましい。



■ 渋谷すばるくん

 http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2018/04/15/kiji/20180415s00041000217000c.html
 関ジャニ∞のファンではないし、メンバー個々の名前がどうにか一致する、という程度の私だが、このニュースにはちょっと足を止めた。

 https://blog.goo.ne.jp/kakera1221/e/bb5a21a2b056e7c30e93309e2f8c816c
 ここに記したように、2014年10月13日に行われたイベント「DREAM FESTIVAL」で彼の見事なソロパフォーマンスを見たからだ。
 ソロでやりたいとか思わないのかな、とか、そんなことをちょっと感じていたので。
 記者会見での真摯なようすとメンバーとのつながりを見て、ちょっと応援してみたくなりました。
 リスタートはたやすくはないだろうけど、見える世界があるのはいいよね。

 
でもファンの悲しみはどれほどだろう。アイドルはいくつになってもアイドルなんだろうし。
 それでも飛び立ちたい彼をきっと応援するしかないんだろうと思う。


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2 コメント

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百年の秘密 (おたま)
2018-04-21 00:54:01
かけらさん
お久しぶりです。
「百年の秘密」5月に地元の劇場に来るので見に行く予定です。サイトであらすじはざっと調べたのですが、やはり時代が行ったり来たりするのですね。私の理解がついていくかしら?
田舎なのでお芝居を観に行く機会は貴重で、チケット取った後、同じ日に別のお芝居が地元の他の劇場であると知り、「どっちがよかったの?」とちょっぴりうだうだしていましたが、かけらさんのレポを読んで、「百年の秘密」楽しみになりました!ありがとうございます!
百年ですものね。 (かけら)
2018-04-21 12:53:07
おたまさん
こちらこそ、お久しぶりです。
この前は、私の「竹野内豊遭遇事件~ただただステキだった!」に食いついてくださったんですよね?(笑)

「百年の秘密」
私の文章なんかはるかに越える壮大なドラマを、100℃らしく、重すぎず、でも浅くはなく進めてくれる感じです。
笑いは少し控えめかもしれないけれど、役者の個性や暴走やおかしさは健在ですから。
どうか楽しんできてください!
ここの全然レビューと全然違うけどおもしろかった!となるかもですよ。

コメント、ありがとうございました。

(私も東京の田舎に住んでいるので、芝居はなかなか貴重です)

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